苦渋の思いで116分にまとめ上げた
──そういう苦渋の決断でカットしたシーンは山ほどあるんでしょうね。
川口:僕が撮っていないライブ映像とかもナベちゃんから見せてもらったんですけど、初期の映像とかは別にして、結局は自分が撮った映像に絞っていったんです。自分の撮った映像を116分に収めるだけでも相当苦しみましたし、3部作とかもやろうと思えばやれるんですけど、それはやりたくなかった。どうしても2時間以内に収めたかったんですよ。90分くらいに収めるのを目標にして、結果的に116分になっちゃった感じでしたね。
──でも、冗長な印象がまるでないのが凄いですよね。
中込:凄いですよ。それは多分、ギリギリまで削ったからなんでしょうね。無言のシーンも含めて無駄がないと言うか。
川口:そうであればいいですけどね。
中込:私たちライターも、原稿を書いていて削りたくない面白い話がいっぱいあるわけですよ。でも、文字数の制限があるから泣く泣く削るんです。
川口:バンドも本来は2枚組にしたいところを1枚のアルバムに絞るじゃないですか。だからそういうのはみんな同じなのかなと思って。
吉村:いや、俺は売れたら2部作、3部作を作りたいけどね(笑)。
中込:ようちゃん、今の話の流れが台無し!(笑)
──加入当時のひさ子さんが「3人が売れたいと思っているのが凄く意外だった」と話すエピソードには笑いましたけど(笑)。
川口:知らない人はみんなそう思うでしょうね。僕はある程度付き合いがあったので、ちゃこちゃんが加入する前からバンドが売れたがっているのは分かっていたんですけど。
中込:それをちゃこちゃんが言うっていうのが凄くおかしかったですね(笑)。
──小磯さんも話していましたよね。「ようちゃんはバンドの認知がまだまだ足りないと思っていて、それが凄く意外だった」って。
川口:表現する人には常にそういう貪欲さがないとダメですからね。
吉村:まだまだだよ。2部作、3部作を作るつもりだからさ(笑)。ヒット・チャートに入るくらいじゃないと。
川口:そういうことを吉村さんが酔っ払いながら延々と話しているインタビューも残っているんですよ。「ヒット・チャートの100位以内だったら嬉しいな」とか話しているんですけど。
中込:また微妙な順位だなぁ(笑)。
川口:そうなんですよ。決して1位を求めているわけじゃないんだなっていう(笑)。
──そのインタビューも是非DVDの特典に入れて頂きたいですね(笑)。
中込:本編よりも特典のほうが長かったら笑えますよね(笑)。
川口:キングの長谷川さんは「特典映像を入れられるだけ入れたい」と言っているので、これからその話を詰めたいと思っているところなんです。僕が一番特典に入れたいのは、この映画のプレビューを観ているメンバーの姿なんですけどね。4人の姿を選んで観られるようにして(笑)。
中込:それ、凄くいいですね!(笑)
吉村:まぁいいけどさ、それ、テーマがちっちゃくない?
川口:テーマは本編の映画で語り尽くしていますから。劇場で公開されている間にこそ映画は生きているんですよ。DVDは映画の記録ではあるんですけど、あくまで劇場がテーマなんです。だからDVDにはある程度のサービスがあっていいと思うんですよね。