オモチャ箱や幕の内弁当みたいな音楽
──ちなみに、ヒダカさんからのダメ出しが一番多かったのはやはりehiさんのギターだったんですか?(笑)
ヒダカ:そうですね。Nao★ちゃんもベースに関してはかなり酷かったですけど(笑)。まず普通の人よりも手がちっちゃいから運指がままならない。一番最初にアドバイスしたのは「立って弾いてくれ」と。座っちゃうとどうしても手の力加減が変わってくるので。つまりライヴを想定してくれってことですね。
Nao★:確かに効果てきめんで、立ったほうがリズムは良かったんですよ。
ヒダカ:まるで高校生に指導してるみたいでしたけど(笑)。
Nao★:もっと早くにヒダカさんと出会いたかったですね(笑)。
ヒダカ:ホントに授業料を頂きたい(笑)。俺やっぱり、専門学校を始めようかな?(笑)
ehi:私たちがヒダカ・アカデミーの第一期生になりますよ(笑)。
──夢と希望に満ち溢れた学生をだまくらかして、結構な授業料をふんだくれそうじゃないですか?(笑)
ヒダカ:やってみようかな、ロフトプラスワンで。チケット代10,000円くらい取って(笑)。
──後で打ち合わせましょう(笑)。まぁそれはともかく、本作だけと言わずに是非このチームワークでまた作品を発表して頂きたいですね。アルバムの中の3曲だけではあまりに惜しいと思ったので。
ehi:ヒダカ君、これに懲りずに是非よろしくお願いします!
ヒダカ:お金はあるのかな、お金は?(笑)
ehi:実は3曲以外にもヒダカ君にはいろいろとアドバイスをもらってるんですよ。
ヒダカ:そう、3曲以外は口頭で説明したんです(笑)。
ehi:時間がない中で「ああしたほうがいい、こうしたほうがいい」って言ってもらって。『Know a way』もヒダカ君に言われてめっちゃ構成が変わったんですよ。その言われたまんまやってみたんですけど(笑)。
ヒダカ:『Know a way』は曲自体は良かったんだけど、ただ単に繰り返してるだけの冗長さがあったので、「もうちょっと緩急を付けようよ」とアドバイスして。
ehi:あと、ギターのリフで「後ろにこんな感じのフレーズを入れたらいいんじゃない?」っていうアドバイスも全部録音したんですよ(笑)。
ヒダカ:会話の隠し録り? 『FRIDAY』かい!(笑)
ehi:まぁ、いくら隠し録りをしても技術的にやれることは限られているんですけど(笑)。なんでまぁ、3曲のプロデュースに限らずいろんなアドバイスをヒダカ君にもらったわけです。
ヒダカ:WtBにはいい意味でのアマチュアリズムがあるので、そうやって貪欲に俺のアドバイスに耳を傾けてくれたのが良かったですね。それは信頼関係があるってことですから。上手く演奏できちゃうと、「いや、こっちのほうがいいんじゃないですか?」なんてことになっちゃうし。でも、それもスキルがあれば解決できるんですよ。WtBにはスキルがないから何の解決にもならないんですけど(笑)。
ehi:ただ、こっちがアイディアを出すとヒダカ君はちゃんと聞いてくれるんですよ。決して頭ごなしってわけじゃないんです。一回音を合わせて、録って、それを聴いて確認した上で意見をしてくれる。「それはちょっと○×△□みたいだからやめておこう」みたいな感じで。
ヒダカ:コラコラ、それは書けないでしょ! そのまま書いちゃうよ、『Rooftop』なんだから(笑)。でもね、子持ちになると判るんですよ。女性の意見を頭ごなしに否定すると後で必ずしっぺ返しが来ることを(笑)。
──通り一遍のことを伺いますが、アルバム・タイトルの『Toys』というのは、オモチャ箱をひっくり返したような賑々しいニュアンスを込めて付けられたものなんですか。
ehi:はい、まさにそういうことですね。
ヒダカ:トイズ・ファクトリーから出したかったというわけではないと(笑)。
ehi:違います(笑)。オモチャ箱のような音楽性と言うか。
Nao★:昔から言ってたもんな。「WtBってどんな音楽なんですか?」って訊かれたら「オモチャ箱とか幕の内弁当みたいな感じです」って。
ehi:みんなの好きなカレーライスでもいいし。今までの活動の集大成的なアルバムだし、それを象徴する言葉としてぴったりだなと思って。
ヒダカ:『ウォーリーをさがせ!』っぽいジャケもいいんですよ。ちゃんと俺も描かれてるしね。せっかくならアナログで欲しいジャケだよね。
ehi:メンバーもスタッフも描かれてるし、ちゃんと探せるんですよ(笑)。あと、幸せのエンジェルっていうのが隠れていて、それを見つけ出せると幸せになれるよっていう噂を流そうと思っていて(笑)。
Nao★:(スタッフが持ってきた販促用ティッシュペーパーにあるジャケットを指さしながら)これなんですけど…『Toys』の説明文が英語で書かれてあるんですよ。「幸せのエンジェルを探しましょう」って。
ヒダカ:なるほど、そういうことなんだ。でもこれ、老眼だと見えないね(笑)。アラフォーだと余計に(笑)。
ehi:ヒダカ君が「アナログで欲しい」って言ってくれたから、これからレーベルに提案してみようかな。
ヒダカ:その前にまず「CD売れや!」って話ですよ(笑)。でも、こうやってCDを買う楽しみがあるっていうのは純粋にいいことですよね。
ehi:そうなんです。最近はCDのセールスが全体的に落ち込んでるから、ジャケットでも楽しめる要素を盛り込もうと思って。
ヒダカ:大人になったねぇ。とっくに大人のはずなんだけど(笑)。
ehi:ない頭を精一杯振り絞って、頓智を働かせましたよ(笑)。私がもともと『ウォーリーをさがせ!』が好きで、デザイナーさんにお願いしたんです。相当大変だったみたいなんですけど、しっかりと愛情を込めて描いてくれました。
ヒダカ:これは大変だっただろうね。全部手描きだし。
Nao★:一人ひとりの写真を送って、それを見て描いてくれたんですよ。
ehi:あ、椎名さんの写真も送れば良かったなぁ…。
ヒダカ:じゃあ、次の機会にまた。
Nao★:次もこれで行きますか!?(笑)
ehi:でも、シリーズ化するのもいいかもね。デザイナーさんには苦労を掛けるけど(笑)。