「過去の偉大なアーティストを21世紀の今、ゾンビの如く蘇らせる」をテーマに2年間も好き勝手書かせていただき、ご愛読ありがとうございました。最終回は手前味噌で恐縮ですが、BEAT CRUSADERS(ビート・クルセイダーズ。以下ビークル)をテーマにお別れです。
1997年、CR JAPANというPUNK専門輸入盤CD問屋(V.A.『Skankin' In The Pit』のリリース等も手がける)にてサラリーマンをしていたワタクシが、高校の同級生イワハラさんと共に始めたローファイUNIT(当時はBeckやSEBADOHのような音楽性)がビークルでした。HIP HOP的サンプリングや、リズム隊にサポートを迎えてダルなオリジナル曲を演奏。
サポ面が入れ替わり立ち替わりする中、徐々に広まってきたメロディックPUNKの影響もあり、スターリンやラフィンでBANDに目覚めた俺の血が騒ぎ、オリジナル曲がPUNK化。仕事が忙しくなったイワハラの脱退を受け、araki、umu、thaiとメンバーが固定化された99年、俺はyes, mama okやシンバルズが在籍し、後にガガガSP等を輩出するLD&Kに転職しており、自身の仕事とBAND活動をキッチリ分けるべくビークルはLASTRUMよりインディー・デビュー。サラリーマンゆえ正体を隠す+DEVOやTOY DOLLS風に記号化、匿名化を図るため、紙のお面を着用。
メロディックのみならずSKAでもEMOでも、PUNKと名の付く音楽であれば何でも吸収したビークルは4枚のアルバムを制作後、大学復帰や家業を継ぐ等実務的な理由でメンバー脱退。それを機にメンバーを一新し、思い切ってメジャー・デビュー。アニメ『BECK』を皮切りに数々の主題歌を担当させていただき、四つ打ちから、ブッチャーズ吉村さんを迎えてノイジーなサウンドまでいろいろなPOPを表現。その後も引っ切り無しに登場する若手BANDとも相対峙できるよう、ビークルのラウド化を目指した俺の意見に賛同して貰えず、2010年に解散の道を選択しました。
さて21世紀の今、LIVEだけお面を外すビークルのスタイルは、ネット生中継やスマホでのインタラクティブな試みができません……え? LIVEもお面すれば良いって? そんなのマンウィズもセカオワも(一人だけど)いるし、万一ネットで人面をトラッキングして顔が隠せるなら面白いかもしれませんが、その頃にはビークルの音楽性も完全に過去の遺物でしょう。10年もすれば同窓会的な気持ちも出るかもしれませんが、とにかくオールディーズから最新の音楽まで好きな自分にとっては、ビークルでできることはやり尽くしてしまった気持ちです。他に何か新しい面白いこと思いついて実行できます? もしそうならアナタこそ今すぐお面を被ってビークルを演るべき……何たってお面BANDですから! 連載共々本当にありがとうございました。気が向いたらザ・スターベムズのLIVEで会いましょう。
ヒダカトオル
1968年6月5日、千葉県生まれのB型。働きながらインディー・デビューした元リーマン・ロッカー。
1997年BEAT CRUSADERS結成、2010年散開。BEAT CRUSADERSで活動中から数々の楽曲提供やプロデュースも行ない、木村カエラ、高橋瞳、メロン記念日ら女性陣のバックアップから、GOING UNDER GROUND、磯部正文等、男性アーティストのプロデュースを手掛ける。
2010年10月にはMONOBRIGHTと結婚(電撃加入)、2012年離婚(脱退)。2011年には“A.O.R”をテーマにヒダカトオルとフェッドミュージックを結成、2012年岩手のイベントで有終の美を飾る。
そして、2013年、新バンドTHE STARBEMSが始動!
http://www.thestarbems.com/
http://www.hidakatoru.com/