Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューWho the Bitch×ヒダカトオル(MONOBRIGHT)

名うてのポップ・マエストロの助力を得て完成させた
キャッチでエモーショナルなオモチャ箱のような音楽

2011.06.02

miya38の死から教えられたものを風化させたらいけない

──録りで一番手こずったのはどんな部分だったんですか。

ehi:ギターの技量がないからどうしても指を追っちゃって、感情を込めて弾くのがとにかく難しかったですね。ヒダカ君にはその大切さを教えてもらったので、拙くてもいいからちゃんと気持ちを込めて弾くことに気を留めました。そこはきちんとやらなければと思って。

ヒダカ:そこを徹底するために、俺が『ガラスの仮面』の月影千草先生ばりにスパルタ教育したんですよ(笑)。

──真に迫る『Telephone』のリフはエッジが効いてたっぷりと情感が籠もっているなと思いましたけど。

ehi:あのリフはyatchが考えてくれたんですよ。

ヒダカ:もともとyatchはガレージ系のバンドをやっていましたけど、そのガレージ感は女性2人のフィルターを通すともっとポップな感じに聴こえるはずだと俺は思っていたんです。今までは技量的にそれができなくて、単にヘタなガレージ・バンドみたいだったわけですよ(笑)。

yatch:確かに(笑)。

ヒダカ:それが、ちゃんと気持ちを乗せることによって判りやすくなったと言うか、整理された感じは凄いしますよね。

──過去のレパートリーで4つ打ちと言えば『sadistic』みたいにクールに徹する感じだったのが、ヒダカさんが味付けをした『ベクトル』の場合は同じ4つ打ちでもクールさとアッパーさが絶妙にブレンドされているし、見事に整合性が取れているのが大きな違いですよね。

ヒダカ:そう、メリハリを付けた結果ですね。

ehi:ホントに見事でしたね。私なら絶対にああいうサビのメロディは浮かばないし。

ヒダカ:キャラのメリハリはあるんだけどね。ライヴでもキャラのメリハリは付いてるんだけど、サウンドがメリハらない(笑)。

──サウンドのメリハリはバンドの課題点としてずっとあったんですか。

ehi:ありましたね。今回のアルバムを作ったことでライヴでもメリハリを付けてステージに立つことができた気がします。メッセージ色の強い楽曲をより強く訴えかけるためにはどうすればいいのかを考えられるようになりましたね。今さら何を言ってるんだ!? って感じですけど(笑)。

ヒダカ:ようやくちょっとプロっぽくなってきましたね。セミプロからプロへと(笑)。

──『Chicken Heart』と同じく人間の生死をテーマにした『赤いレモンティー』というヘヴィなナンバーも必聴ですね。個人的には『ベクトル』と並んで本作のベスト・トラックとして挙げたいナンバーですが。

ヒダカ:『赤いレモンティー』はPVがまた凄くいいんですよ。

Nao★:PVは『ベクトル』と『赤いレモンティー』の2本を作ったんです。

──“赤いレモンティー”というのは、抗ガン剤の赤い液体のことですか。

ehi:そうなんです。miya38が闘病中に遺してくれたもの…願いや藻掻きだったり、周りを囲んでくれた仲間や家族の思いだったり、言葉で言うとくさいけど愛だったり、生き様だったり…そういった思いを遺された私たちはしっかりと受け止めて、明日からまた生きていかなきゃいけない。抗ガン剤から着想を得てそんなストーリーを描いてみたんですけど、彼の死とそこから教えられたものを風化させたらいけないと思って。彼の命の闘いを主題にした曲はこれまでにいくつかあるんですけど、私の中の思いをここで全部出し切ってしまいたかったんです。それをメンバーに伝えて、出し切らせてもらったところがあるんですよ。もう何も包み隠さずに生きたい、言っちゃってもいいかなって。

──いつまでもショボクレてばかりもいられないぞという思いやmiya38さんのことも含めて、ここで洗いざらい吐き出してしまおうと?

ehi:そうですね。WtBの初期は無邪気なまでに明るくて、そこにmiya38の死があって、この3人で暗くて長いトンネルを抜けて…今は彼の死から教えられたものも無邪気な明るさも引っくるめて羽ばたきたいんですよね。もっと強くなって、聴いてくれるみんなが元気になれるような曲を作っていきたい。そのひとつの区切りとして『赤いレモンティー』を今回のアルバムの中に入れたかったんです。

ヒダカ:俺はmiya38が元気な時のイメージしかないし、仕事があって葬式にも行けずに死に顔も見られなかったんですけど、俺の中での2人はいい意味で“バカな夫婦”だったんですよ。打ち上げでも異常に呑んで騒ぐし、そんな2人の人柄の良さを知ってる俺だったからこそ明るさも無理なく入れられたんじゃないかなと思います。バカ騒ぎ、空騒ぎだけじゃなく、2人のいいところを見ておけたのは良かったと思いますよ。miya38のお陰で俺も『BECK』のサントラを上手く作れたと思うし、あいつが唄う俺が作った曲は文句なく格好良かったし、調子に乗って「これからずっとお前に曲を書いてやる」とか言ってたんです(笑)。そんなやり取りはそのままWtBにも通じる部分がありますね。だから凄くやりやすかったです。

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2,500yen (tax in)
2011.6.08 IN STORES

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02. Know a way
03. ベクトル 〜いつの日かたどりつけるこの足で〜
04. Telephone
05. idaho
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09. 赤いレモンティー
10. Rest
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12. Chicken Heart
13. 手

LIVE INFOライブ情報

Who the Bitch 対決列島TOUR 2011
頂上決戦 FINAL

2011年6月9日(木)Shibuya O-WEST
OPEN 18:00 / START 18:30

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