まだやってたんだ2マン!?
——長く続けていく秘訣は何だと思いますか?
景夕:秘訣? そんなのただの我慢ですよ。
ミド:でも確かに、我慢も大事だなっていうのは思いますね。
結良:我慢と、自分があるかないか、じゃないですか。
ミド:そうですね。そこはすごい思います。
ぶう:辞めようと思ったことはないんですか?
景夕::何回もありますよ。
ぶう:それは何で踏み止まったんですか?
景夕:その都度、メンバーの誰かしらの良さが見えてとか、うちの場合は事務所が長いんで、社長自身が説得するとか、今となってはいろんな人がその時その時で助けてくれてたっていうのが多かったですね、うちは。
結良:逆に全くないんですか?
ぶう:いや、あります。本当にバラそうっていうのが6年前くらいかな。そうなった時に、今所属している事務所の社長から「もったいないから、俺に見させて」って言われて、1度踏み止まりました。
ミド:なければね、バラしてたよね。
ぶう:たまに思うんですけど、やっぱりいないんですよね。今のメンバー以上にピックアップしても、こいつとバンドやりたいなっていう奴がいないんですよね。変な話、それがLUNA SEAとかでも、俺はあの4人とはやれないって思うじゃないですか。逆に同列くらいの歳の子たちで売れてる奴からいいのを選んできてもいいよって言われても、いや、今のメンバーの方がいいですっていう感じだから。すごくえんそくに不満があって、もうやってらんねーってなっても、バンド辞めたいわけじゃないから、またバンドをやるってなっても無理だなって思って、踏み止まったみたいな感じはあるかもしれないですね。
景夕:長く続けていくと、この次にバンドが出来るかってなったら、特にうちらなんて出来ないし。同じバンドで10年以上続けてくると、お客さんの層って決まっちゃってるから、見てくれてる、くれないは別として、名前くらいはみんな知ってるし。そうなったら次に音楽業界で何かやるってなっても、俺はボーカルだからサポートボーカルなんてないし。他に何が出来るって言ったら、特に出来ないし。俺はKraを辞めたらもう終わりで、実家に帰ってってくらいかなって思ってるんで。それで16年ですかね。
ぶう:今のバンドをやってる人たちって、「この5人でやってダメでした。2年やってこれだからダメだよ、辞めよう」って言って、どこどこのバンドの子と、どこどこのバンドの子って感じでまた集まって、それぞれの個人のファンが10人ずついるから、最初は50人の動員から始めましょうみたいな。それがどんなバンドだとか、関係ないんですよ、もう。「個人動員をいっぱい持ってる奴で集まってやろうぜ。最初から100人入るじゃん」って。で、下がっていって、ダメだね、辞めようっていうのを繰り返して。それはバンドじゃないだろ。それこそセッションメンの子たちがやってることと大差ないぞ、と思って。そういうのは、何か嫌なんですよね。そういうのが見えちゃうバンドは嫌だし、そういうのを仕掛ける大人も嫌だし、そういうのにホイホイ付いていくお客さんも嫌だし。本当に続いているバンドには、「まだやってたんだ」ってことを言う人たちが、すごく湧いて出るんですけど、「じゃあ本当に観たことがあるのか!」って思うから、そういう悔しさはすごく持ってて。10年経ってもあんまりそこは吹っ切れないというか。新しいもの好きで、広告をバーンと出してるような結成したバンドを観に行ってて、「えんそくと今度対バンなの? まだやってるんだ。まだやってて売れてないんだから、大したバンドじゃないんでしょ」って思ってる奴らは絶対いる。ほぼ被害妄想かもしれないんですけど、すごく思ってて、そういう悔しさをバネにやってるから、続いてるっていうのもありますね。
結良:それ、すごく分かる。
ぶう:でもすごい2マンですよね。Kraさんは大先輩だし、こういう言葉を使うとすごく失礼になるんですけど、言う人から言えば、「まだやってたんだ2マン」みたいな。
一同:(笑)
結良:そうね。
ミド:でもそれは全然覆らせるし、観れば分かるでしょって。
ぶう:逆に言うと、本当に観に来ている人たちっていうのは、ちゃんとお互いの音楽性とか表現しているものを知って付いてきてくれている。そうやって支えてくれる人がいるから、長く続いているバンド同士の2マンだから、すごく客層がいいことを願いますね。
景夕:今からタイトルを変えられないですか? 「まだやってたんだ2マン」に(笑)。
ぶう:「まだやってたんだでお馴染みのあの2組がついに共演!」って。今、すごい失礼なことを言ってますけど、俺(笑)。
結良:そんなことを言いつつも、自分のファンが対バンのバンドのライブを観てると、「何観てんだ、このやろー」っていうのは微妙に思う(笑)。「あっ、そうなんだ。他のバンドを観て、そんなにキャーキャーしてるんだ」っていう、すっげーちっちぇー心は持ってますよ。
景夕:ちっちぇーなー(笑)。
ぶう:僕は、結構逆かもしれないです。例えば、うちのお客さんがこの2マンで、Kraさんを観ないで外に出て行く奴がいたら、こいつらマジうんこだなって思っちゃいますね。だって、絶対まだ観たことがないでしょって。1人1人説教して回りたい。説教して、「いや、私実は3年Kraに通っていたことがあるんですけど、ちょっと見限ったんです」だったら、俺まだ許すよって思うんですけど。せっかくの2マンで、長いこと観れるからそのバンドが分かるのに、えんそくだけ観れればいいやっていう、その生き方はよくないし、本当に相手にも、なんならLOFTにも、全部に失礼だし、もう終わってるって思うから。それこそ思うのが、「○○(僕がCDを聴いていて、元々知ってるバンド)と対バンだ」って言って、外に出ていく奴がいるんですよ。信じらんないんですよ。俺だったら、「えっ、○○でしょ! このチケット代でえんそくを観にきて、○○も観れるんだったら絶対観る。どんなんだろう」って、知的好奇心みたいなのって、絶対あるじゃないですか。はなっからそういうところを外して、「私はぶうさんが好きなんで、ぶうさんだけ観れれば、あとはいいんです」みたいな。
結良:一瞬でも観ればいいのにね。
景夕:そう。1回目のMCまで観て、「あっ、これは自分的には違うな」って思ったら別にいいんですよ。
ぶう:無理してまで観ろとは、もちろん言わないですもんね。
景夕:ただ、2マンです、始まりました、AREAです。で、先にもう1つのバンドが出てます。なんで楽屋の横のエントランスからいっぱい声が聴こえてくるんだ! って。
ぶう:そうなんですよ、本当に。ともすると逆にファンレターとかで、「今度Kraさんとの2マンが決まったので、Kraさんが好きな友達からCD借りて、せっかくなんでライブを楽しみたいので、定番の曲とかを教えてもらってます」っていうのを見ると、「いやいや、知らんがな。うちのライブだけ楽しんで、Kraには絶対に行くなよ」って思って手紙を読むけど、「君の生き方は正しい。そういう正しい感性を持った子がうちのお客さんで良かった」とも思うんですよね。
景夕:結局、観てもらいたい。ただ欲を言えばそっちには行って欲しくない。
ぶう:そうですね。
結良:けどイベントは楽しんで欲しい。
ぶう:ダサイ客ではあって欲しくない。けどうちには、いて下さい。
景夕:もちろん、しっかりと応援してくれている子もいる。でもそういう子たちは、しっかり他のバンドさんを観てくれていて、イベントっていうものを楽しんでくれていて。じゃあ何で自分の好きなバンドがこのイベントに出ることになったのか。ここが仲がいいからだとか、こっから関係性をよくしていきたいからなんだとか。だったら会場を動いて2バンドとも盛り上げてくれたら、もっといろんなことが出来るのにっていうことに気付いてくれたら、いいですね。