フリートウッド・マックに、「アルバトロス」という曲があります。インストゥルメンタルで、漂っているような、ギターがふわふわと鳴り、太鼓やシンバルが、ひかえめに響いている、なんとも、浮遊感があって、すっとぼけた名曲です。
最初にこの曲を聴いたときのことは今でも覚えていて、『音楽番外地』の37回目に書いておりますので、読んでみてください。
とにかく、浮遊感があり、どこか知らない世界に連れていってくれるようで、だらっと、溶けていくような気分になれます。
今はどうだか知らないけれど、確か、エミレーツ航空だった気がします。飛行機が、飛び立つ前に、この曲がかかりました。快適な、ゆったりリラックスをしたフライトをどうぞぉ〜、といったところなのでしょう。
ビートルズの「サン・キング」という曲は、「アルバトロス」に、なんだか似ています。これも、良い曲なのですが、音が良すぎるというか、へにゃへにゃした奇妙な、やわさがなくきちっとした感じがします。つまり、「サン・キング」には、すっとぼけた感じがないのです。
いま、なんとなく、「アルバトロス」と検索してみたのです。「アルバトロス」は、「アホウドリ」ということですが、曲の「アルバトロス」も出てきて、ウィキペディアなんつうもんを見てしまったら、なんと、「サン・キング」は、「アルバトロス」を念頭に制作されたと書かれていました。そうなのか!
なんと、本当にそうだったのか! やっぱりそうだったのか! 「サン・キング」は、ビートルズ好きな友達に、「アルバトロス」を聴かせたら、似た曲がビートルズにあるよと教えてもらったのですが、「サン・キング」は「アルバトロス」を念頭にと、みなさん知ってましたか? いやいや、そんでもって、勝手な想像ですが、きっと、ポール・マッカートニーが、「アルバトロス」を聴いたとき、「をを、この曲良いじゃん、似たの作ってみよう」と言った気がします。【編注:「サン・キング」の作詞・作曲はレノン=マッカートニーですが、作者はジョン・レノンと言われています】
他にもポールには、自身のアルバム『McCartney II』に収められている、「チェック・マイ・マシーン」という曲があるのですが、この曲は、当時流行っていた、ニュー・ウェイブかテクノに影響され、クラフトワークかディーヴォだった気がするのだけど、「流行ってるし、似たのやってみよう!」と作ったらしいのですが、なんだか、珍妙な方向にはたらいてしまい、とんでもない珍曲で名曲になりました。
わたしにおいては、この曲を、初めてラジオで聴いたときから、だいぶ長い間、勝手にフィッシュマンズの曲だと思っていたくらいで、そのことは、『音楽番外地』32回目に詳しく書いてます。
そんなこんなで「サン・キング」もいい曲だけれど、やはり、どうも、すっとぼけた感じがありません。ということで、「アルバトロス」のような曲のジャンルを、わたし、勝手に、「すっとぼけ」と命名させていただきます。
そして、わたしは、ジャンル、すっとぼけ、を日々求めていたのです。そんな、ある日、突然、iTunesが勝手におすすめするリストから、ジャンルすっとぼけの曲が流れてきました。
それが、マロンボ・ジャズ・メーカーズというバンドの「Tribute To A Motjuoadi」という曲でした。とてもいい感じで浮遊してるし、ばっちり、すっとぼけている、素敵な曲でした。
マロンボ・ジャズ・メーカーズは、南アフリカのバンドで、南アフリカのジャズ・シーンで活躍し、大きな影響を与えていたそうです。このバンド、他のアルバムも全て良いです。
しかし、どうにも「アルバトロス」に似ているから、「アルバトロス」に影響されたのかな? もしくは、「アルバトロス」が影響されたのかな、などと思って、またまた検索してみましたが、そのような情報はなく、発表は「アルバトロス」が先でした。
でもって、またまた、ウィキペディアなんつうもんを見て下のほうにスクロールしてみたら、「サン・キング」は、「アルバトロス」の影響下にあるけれど、実は、「アルバトロス」は、なんとチャック・ベリーの「ディープ・フィーリング」という曲との類似を指摘されているとのこと、なんだって?
そんでもって、わたし、チャック・ベリーの、その曲を知らなかったので、聴いてみたら、確かに似てました。
いやあ、すごいな、音楽は、音楽の影響下のもと、名曲が、どんどん作られていくのだな、そして、「ディープ・フィーリング」、とても良い曲だ。これもジャンル、すっとぼけ決定。
もしかしたらマロンボ・ジャズ・メーカーズも、このチャック・ベリーのほうに影響されたのかな?
でも、マロンボ・ジャズ・メーカーズは、アフリカの土着性も見られて、打楽器なども、実際に、アフリカのものを使ったりしているから、勝手にあのような音楽をつくっていったのかもしれません。わかりません。
とにかく、「Tribute To A Motjuoadi」は、とてもすっとぼけていて、良い曲です。で、そもそもMotjuoadiのトリビュート、Motjuoadiってなんだろうと思って調べたら、Andrew Tshidiso Motjuoadiという、南アフリカの画家のようです。絵を見ると、緻密な線画で、不思議な感じ、すっとぼけ系なのかどうかは不明ですが、とても良い感じです。
マロンボ・ジャズ・メーカーズは、この人の絵に影響されて、「Tribute To A Motjuoadi」という曲を作ったのかな? いろいろ想像力が膨らんでいきます。
なにはともあれ、それぞれが、何かを作るときは、きっと何かの影響下にあるわけで、昨今、日本のある名曲は、アメリカのある名曲をパクったとかいうのが話題になっておりますが、音楽とは、もともと、このようなものなんじゃないかとも思います。良い影響を与え合って、名曲が制作されていくのではないかと。これからも、影響を与え合って、どんどんすっとぼけた名曲が生まれてくれば嬉しいです。
そんなこんなで、ジャンル、「すっとぼけ」をまとめてみますと。
チャック・ベリーの「ディープ・フィーリング」
フリートウッド・マックの「アルバトロス」
マロンボ・ジャズ・メーカーズの「Tribute To A Motjuoadi」
といった感じです。
これをプレイリストにしてまとめて聴いてみれば、暑さもふっとぶくらい、溶けていくことができるかもしれません。


































































