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十三回「二人組バンドの深淵な面白さが充分に詰まっている、Angine de Poitrine、Lightning Bolt、巨人ゆえにデカイ」

第百十三回「二人組バンドの深淵な面白さが充分に詰まっている、Angine de Poitrine、Lightning Bolt、巨人ゆえにデカイ」

2026.02.23

AnginedePoitrine.jpg

 もうすでに話題になっているようですが、Angine de Poitrineというバンドがいます。鼻の長い二人組で、一方の鼻は硬くてピンっと張っている。一方の鼻はふにゃふにゃで垂れていて、ぶらーんぶらーんしている。見た目、その奇妙な感じが、とにかく凄い。とにかく、見た目がよくわからないため、ずっと見てると、こちらの頭が変になっていきそうです。とにかく雰囲気も衣装も、てらいまくっている感じだけれども、とんでもなく演奏が格好いいのです。
 

 少ない情報によれば、カナダのケベック州出身のバンドのようですが、いろんな情報を得ていくのが、野暮に感じてきます。わたしたちは、このままの雰囲気を、ダイレクトに感じるだけでいいのかもしれません。Angine de Poitrine、恐るべしでございます。
 
 なにはともあれ、ドラムとギターの二人組という最小限編成もいいのです。このように、極端に最小限(でもひとりではない)で、音を出そうとすると、無限の訳わからなさが出てくるのかもしれません。
 
 最小限バンド。弦楽器とドラムの二人組。このようなバンドは、他にもいろいろあります。でも、歌いあげるとか、素晴らしいハーモニーとかのバンドではなく、まず思い浮かべたのが、Lightning Boltです。ドラムの人が、マイクのついたボロボボロの覆面を被って、歌いながら、激しく演奏、がなるような歌、雰囲気は、カオス全開。ベースの音が、はたしてベース音なのかすらわからない。
 

 こちらの映像は、けっこう前だけど……
 

 これは、5年くらい前の映像なのでしょうか。やってることが変わらず、この後も変わっていかない感じがとてもいいです。
 
 こちらの勝手な考えなのですが、たぶん、少ない人数で、最大限、なにかをやろうとすると、そもそも人数の派手さはないから、いい意味で、どんどん、てらって、変になっていくのではないかと思うのです。そこに、いろんなアイデアを最大限にぶちこんで、意図せずユーモラスになったり、訳がわからないものになっていくのかもしれません。
 Lightning Boltの覆面然り、先のバンドAngine de Poitrineのよくわからない衣装しかり、しかし、どちらも、なんだか演奏が超絶で、不思議に格好いいのです。
 
 そんでもって、我が日本にも、二人組のヤバいバンドがいます。「巨人ゆえにデカイ」です。ギターが水内義人さん、ドラムが和田晋侍さんの二人組。和田さんは、DMBQでもドラムを叩いています。
 

 とにかく、魅力的なお二人が、ドラムとギターの、巨人ゆえにデカイ。バンド名の通り、巨人、大きな人がギターを弾いています。
 ワイルドで、変で、なんだか、哲学的な、不思議なバンドです。
 

 いやあ、二人組バンドって面白いですね。
 
 Angine de Poitrine
 Lightning Bolt
 巨人ゆえにデカイ
 
 今回は、この三つをお勧めさせていただきましたが、この三つのバンドには、なにやら、二人組の深淵な面白さが充分に詰まっている気がするのでした。
 
 
【戌井昭人(いぬい・あきと)プロフィール】
1971年、東京都生まれ。ヘンテコなパフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げして、脚本を担当、自身も出演する。なんだかんだと、いろいろあって、小説を書きはじめ、2009年「まずいスープ」で芥川賞候補になる。その後、「ぴんぞろ」「ひっ」「すっぽん心中」「どろにやいと」と、4回、芥川賞の候補になるがすべて落選。一方で、2014年「すっぽん心中」で川端康成文学賞、16年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で野間文芸新人賞。現在も、作家として活動中です。
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