もうすぐ公開される映画、『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』(監督:田口トモロヲさん、脚本:宮藤官九郎さん)、楽しみで仕方ありません。
この映画に出てくるモデルになった、ミュージシャンの方々を、青春時代に聴きまくっていた、昔が蘇ってきて、予告を見ただけで興奮している次第です。
もちろん、その音楽やミュージシャンを観たのは、リアルタイムではありません。雑誌や古本を漁りまくって、あと追いだったのですが、余計に、勝手に、いろいろと想像を膨らませていたのでした。
映画のイメージ的な写真になっている、新宿ロフト前の写真があります。わたくし、あの写真を、どれだけ憧れを持って眺めていたことか、いろいろ思い出してきました。
昔の、小滝橋通りのあった新宿ロフトは、中学のころ、ライブを観るわけでもなく、とりあえず、ロックを知ろうとするなら、どんな所なのか確認しに行かなくてはと思って、行きました。
休日の昼間でしたが、その日のライブをやる人たちだったのか、強烈なパンクス風情の方々が、店の前にたむろしていて、怖くなって、引き返したのを覚えています。わたし、まだまだ子どもでした。
▲小滝橋通り沿いにあった頃の新宿ロフト
それにしても、映画の予告や写真を見て、「そうかそうか、あの、小滝橋通りのロフト、懐かしいなぁ〜」なんて思いながら、いま、この文章を書いたら、このルーフトップとうWEBの記事の母体は、そもそも、LOFTなんでした! などと、書きながら、そのようなことを思い出す、間抜けな人間なんです、わたくしは……、どうしようもないヌケ作なんです、自分は……、社会的に大丈夫なのか? どうなんだ? これまでも、いま現在も、ちゃんと生活しようとすればするほど、粗相ばかりやらかしてしまいます。税金とかよくわからないし、冷蔵庫は、五回に一回開けっ放しだし、右と左がわからなくなってしまったり、牛乳飲もうとしたら、ほぼこぼすし、いろいろとグレーゾーンばかりの己なんですが、それでも、生きていかなきゃなんないんだ! やんなきゃなんないんだ! なんてことを、強烈に教えてもらったのは、この映画の登場人物のモデルにもなっている、じゃがたらの江戸アケミさんなのです。なんだか、江戸アケミさんの存在から、そのようなメッセージを、勝手に受け取り、勇気づけられ、わたし、いまも、なんとか生きています。
そんでもって、映画で、江戸アケミを演じる、中村獅童さんの写真が、なんとも、これまた江戸アケミで、期待度マックスになっております。
とにかく、江戸アケミさんの、じゃがたらの音楽は、青春時代、一万円で買ったキャラバンという日産のワゴン車の中で、いつもテープを聴いていました。大好きな曲は、もちろん「タンゴ」です。最終的には、テープがびろーんと伸びて、アケミさんの歌声が、「たぁとぉんぐお〜う」って聞こえてきて、変な歌になっちゃうくらい聴いていました。
スバラシイ。ああ、思い出したけど、江戸アケミの詩集『それから』というのを、わたしは持っていたんだけれど、好きな言葉のページを、ハサミで切って、ノートに挟んだりしていたら、無くなっちゃったんだ。いま見たら、二万円とか一万円もするんだ。
当時、江戸アケミさんが亡くなったのを知ったのは、学校に行く前でした。朝、新聞を読んでいたら、お風呂場で亡くなったという記事が出ていたのです。その日は、悲しい気分でジョークも言えないまま、学校に行き、「江戸アケミ、死んじゃったよ」と言っても、わかってくれる友達は、ほとんどいませんでした。
さきほど調べたら、江戸アケミさん、享年36だったようです。そんな若かったのか! なんだか、自分が、やたら無駄に生きているような気がしてきた。さらに最近、いろいろ大変だなぁ〜と思えることばかりなのですが、江戸アケミさんは、きっと、「ガッツでのりきれ!」と言ってくれそうな気がする。それを糧に乗り切ろう。
アケミさんが亡くなり、だいぶ経ってから、YouTubeが盛んになり、下の映像の、じゃがたらのライブを見たとき、えらく興奮しました。とにかく、なんの説明もなく、ご覧ください。
もう説明はしません。
江戸アケミさんの人間力が炸裂しています。
他にも、すごい映像、鮎川誠さんと江戸アケミさんの対談。
対談なんだけど喋らない二人。ほぼタバコ吸ってる二人。これなんなんだ。
あとは、江戸アケミさん、三年くらい休んでからの復活してのライブの映像。
これ、熱気が、びしびし伝わってくるすごいライブです。
よし、じゃがたらを聴いてみようという方、まずは、最初のアルバム、暗黒大陸じゃがたら『南蛮渡来』がお勧めです。
ワン、ツー、スリー、フォー!
【戌井昭人(いぬい・あきと)プロフィール】
1971年、東京都生まれ。ヘンテコなパフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げして、脚本を担当、自身も出演する。なんだかんだと、いろいろあって、小説を書きはじめ、2009年「まずいスープ」で芥川賞候補になる。その後、「ぴんぞろ」「ひっ」「すっぽん心中」「どろにやいと」と、4回、芥川賞の候補になるがすべて落選。一方で、2014年「すっぽん心中」で川端康成文学賞、16年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で野間文芸新人賞。現在も、作家として活動中です。


































































