エロ本エロ漫画を好きな友達がいて、彼は街に出ると、必ずその街にあるエロ本屋に行き、いろいろ物色をします。彼の趣向は、漫画では巨乳系で、写真は投稿もののおばさん熟女系でした。それも新刊ではなく、売り出されてから数ヶ月経ち、値段の安くなったものをものすごい慎重に、時間をかけて選ぶのでした。
ですから彼と一緒に街に出ると、必ず一緒にエロ本屋に立ち寄ることになります。そのようなときは、どうせなら自分も選んでみようとするのですが、マニアックなものばかりで、どれを選んだら良いかわからず、自分の趣向はどんなものなのかとか真剣に考えてみるのですが、そんなことをしていると、なんだか頭の調子が混乱してくるのでした。わたしの場合は、週刊誌のエロページとかでじゅうぶんなのでした。じゅうぶんというのは、ルースターズの「どうしようもない恋の唄」でいうところの「あの娘の体を思い出して〜、ひとりでアレを〜」の「アレ」です。しかし、ルースターズの「どうしようもない恋の唄」は本当に名曲です。恋とセンズリをあんなに清々しく、格好良く唄った曲を、他に思い浮かびません。しかしながら今回紹介するのは、この曲ではありません。
そんなこんなで、20年以上前、エロ本エロ漫画好きな友達と街に出たとき、われわれは、エロ本屋に向かったのです。
店に入ると、二手に分かれ、というか彼の物色は真剣なので邪魔をしないように、わたしは一人でうろつきました。店内のBGMは、どこかのラジオ曲で、そのとき、フリートウッド・マックの「アルバトロス」が流れてきたのです。しかしわたしは、その曲が何なのかわからなかったので、エロ本物色中の友達のところに行き、「この曲、良くない?」と言うと、彼もそう思ったらしく、でも曲名がわからないので、エロ本を手にしたまま、二人で聴き入っていたのでした。そして音楽が終わると、ディスクジョッキーが、「フリートウッド・マックの『アルバトロス』でした」と言ったのです。なんといいますか、毎日がやるせなかった若き日、エロ本屋で流れていた「アルバトロス」は、わたしたちの心情に、ものすごくマッチしたのです。
その後、CD屋に行って、すぐさま購入。フリートウッド・マックは、前期、後期があり、後期はAORみたいになって、ヒット曲を連発しますが、断然、ピーター・グリーンが在籍していた時期のブルース感溢れるころが最高なのです。まったく違うバンドとしか思えない。あと、アルバトロスといえばPIL(パブリック・イメージ・リミテッド)のも良いです。ちなみにアルバトロスは、アホウドリ、漢字だと「信天翁」と書きます。