下北沢SHELTERが今年10月でオープン35周年を迎えることを記念して、2015年よりつづくSHELTER企画イベント『POOL SIDE』が、9月21日(月)、25日(金)、27日(日)の3公演開催された。『POOL SIDE』はオルタナやエモなど、往年のSHELTERらしいバンドが世代を問わず出演するイベント。35アーティストによる35公演連続ワンマンを開催する怒涛の周年月間を盛り上げるべく行われた、カラーの違う3公演の模様をレポートしていく(※21日のレポートはこちら。27日のレポートは後日公開)。
2公演目、9月25日(金)は、2015年よりKONCOSがSHELTERを拠点に開催してきた自主企画パーティー『AFTER SCHOOL』と『POOL SIDE』のコラボレーション。TA-1(Key/Vo)、佐藤寛(Gt/Vo)が在籍するRiddim Saunterが2011年の解散より1年間限定での復活を遂げ、全国ツアーの合間を縫っての開催となったこの日。出演は、KONCOS、風呂敷、Ewoks、DJ TOMMY(BOY)。シルバーウィーク明けの金曜日、仕事を終えて徐々に観客が集まって来る地下空間は、まるで大人の秘密基地のようだった。
一番手はEwoks。SUMMERMAN、SLEEPLESS、Japanese Football 、shuto、chieなどで活動するメンバーにより2020年に結成のインディーロックバンドで、現在は、25日に出演したDead By Inchesのベース、Towaが加入し活動中。『AFTER SCHOOL』は、KONCOSが毎回、全国各地を拠点にインディーなスタンスで活動するアーティストを集客ではなく、‟音楽”で選ぶという趣旨のブレないイベントであり、EwoksはSHELTERスタッフの薦めもあって今回オファーしたとのこと。
開場時よりプレイするTOMMY(BOY)のDJから、1曲目「Lucky Boy」。湖畔にいるのかと錯覚するようなフォーキーでまったりとしたサウンドに癒されながら、「Good News」「episode I」など、音源以上に骨のある演奏に高揚感がこみ上げる。
「35周年おめでとうございます。他のライブハウスの年数も調べてみたんですけど、35年ってなかなかないんですよね」(中村もも / Gt&Cho)
bedとのスプリットシングルに収録の「Fable」など、連休明けの気怠さを丸ごと包み込んでくれるような温かみのある演奏に満たされた。
次に登場したのは、 uminecosoundsなどでの活動や、ウミネコカレー店主としても知られる古里おさむ(Gt/Vo)、藤村頼正(Dr/ex.シャムキャッツ)、岡崎英太(Ba/ex.YOMOYA)による風呂敷。ドラムセットの前に立てられた提灯のこうこうと輝く灯りと、1曲目「犬の遠吠え」の温かみのある演奏、柔らかい歌声に心がほぐれていく。同じフレーズを延々繰り返すベース、TA-1が「いびつ」だという岡崎の全身で叩くドラム、段々と荒ぶっていく轟音ギター。平穏な日常から気が触れていくような「ありえないね」「まちのあかり」は圧巻だった。
「ドラムデカいでしょ?(笑)」(古里)
「久しぶりにまたSHELTERに出れて嬉しいです」(藤村)
カレー店が青森へ移転するという話や、陸前高田市にカレーの缶詰を作りに行った際、缶詰工場の人々から感じた「伝承」についての話を経てラストの「流水」を聴くと、すべてが地続きで循環しているという歌詞に実感がこもった。
そしてラストはKONCOS。「Palette」「The Starry Night」「Citrus」と、多幸感のある楽曲と演奏に会場全体が華やかになる。キーボード台や最前列の柵に上ってフロアに飛び降りたりと、TA-1の危なっかしいパフォーマンスは、後先顧みず、今この瞬間を全力で楽しむ子供のようだった。実際、フロアに子供の姿が目立っていたが、このキラキラした大人たちの姿を見て何を感じていたんだろう? ディスコ感のある「Parallel World」で楽しそうに踊る観客やステージを見ながら、自分が子供の頃、バブリーな大人たちに滑稽さを感じつつも、遊ぶことに命を燃やすパワフルな姿にかっこよさ感じていたことを思い出す。同時に、今の自分がスカしたダサい大人のような気がしてきた。
「Ewoksも風呂敷もやっぱり生で観なくちゃ分かんない。Instagramのチラシなんかじゃ分かんない。パッと変換できるようなのじゃダメだ。やっぱりライブハウスに来なきゃ。ロックンロールだ。だからライブハウスは残さないと」(TA-1)
21日に出演したMIRRORの木元(Gt)も同じような話をしていたが、TA-1のこの言葉にこめられた想いや熱量もまた文章では伝えきれないのがもどかしい。佐藤がソロ名義でリリースした初のEPに収録の「青いベル」、そして「月待つ島まで」では、ステージとフロアの境界がすっかりなくなったパーティー会場全体が一緒に歌った。
昨年10月に開催された『POOL SIDE - SHELTER 34th Anniversary -』(出演:片想い、MUSIC FROM THE MARS、DJ:TA-1)事前座談会での「日常の延長にある、ちょっとした現実逃避のようなパーティーにしたい」という話や、誰よりもまず出演者本人たちが全力で楽しんでいたあの日のライブに通じるハッピーな空気感に、ただ夢中で遊ぶ、‟いま”を楽しむという、一番純粋で大事な気持ちを思い出させてもらったような気がした。
Text:小野妙子
Photo:山川哲矢(@tetsuyayamakawa)
KONCOS × SHELTER presents『POOLSIDE AFTER SCHOOL』SHELTER 35th Anniversary IGNITION GIGS
2026年9月25日(金)下北沢SHELTER
【出演】
KONCOS
風呂敷
Ewoks
DJ:TOMMY(BOY)














