下北沢SHELTER 34周年イベント『POOL SIDE - SHELTER 34th Anniversary -』が、開店からちょうど34年目を迎えた10月1日（水）にSHELTERで開催された。2017年のKONCOSとの2マンライブ以来、8年ぶりのSHELTER出演となる片想い、バンドの周年ライブを開催するなど長年SHELTERに出演しているMUSIC FROM THE MARS、そして、SHELTERを拠点にした自主企画パーティー『AFTER SCHOOL』が今年で10周年を迎えるなど、SHELTERにゆかりの深いKONCOSのTA-1がDJとして出演。イベントに向けてMC.sirafu（片想い）、藤井友信（MUSIC FROM THE MARS）、TA-1（KONCOS）の3人で事前に行った座談会では、シーンで長く活躍する40代ベテランミュージシャンたちの生活と音楽との付き合い方や、音楽をやり続ける理由などについて語る中で、今回のイベントについて土日のハレの日感ではなく、平日のちょっとした現実逃避のような、生活の延長にあるライブにしたいと話していたように、SHELTERの誕生日を祝いつつ、それぞれが鳴らすロマンティックで心地よいグッドミュージックに満たされた素敵な一夜となった。

 

　開場からジャズやブラジル、沖縄民謡などTA-1セレクトの曲が流れる中、片想いが登場。「グッドエネルギー、シンキングタイム」、「tristeza de carnaval」など、ロマンティックな心地よさと、ダンサブルな楽曲に乗せる片岡シン、オラリーの不思議なダンスとボーカル、そしてギターとトランペットを代わる代わる持ち替えるMC.sirafuの演奏にくぎ付けになる。戦隊モノのようなボーカルと民族的なリズムの「チャイスー 〜折れない心〜」のループしてヒートアップしていく高揚感と会場の熱狂には、得体のしれない恐怖を感じた。

 

　「チェイサーブルース」では、MUSIC FROM THE MARSの藤井が登場し、ギターで参加。MCでは座談会でも話題となった『下北沢インディーファンクラブ』（2010～2015年に下北沢のライブハウスで行われたサーキットフェス）の話に。「また復活させてほしいと思いませんか？」と片岡が呼びかけると、歓声が上がった。「最後は人の曲で終わります！」と玉置浩二の「田園」。片岡の熱唱と盛大な演奏に会場が沸き上がり、演奏後も拍手が鳴りやまず、なんとアンコールを求める声が上がるほどの大熱狂だった。

 

　アンコールではMC.sirafuが登場し、「Satisfaction」にトランペットで参加。「片想い最高。片想いと両想いになってツアーに行きたい。4泊5日で2公演（笑）」さらに2人の出会いについて話そうとする藤井に「早くやろうよ」と促すやり取りに仲の良さといい空気感を感じ、高揚感のある演奏と大合唱で盛大なラストを飾った。

　平日の地下のライブハウスに集まり、演者も観客も日常を忘れて、心地よくてちょっと不思議な音楽に満たされ豊かな気持ちでそれぞれ家路につくという、決して派手ではない、日常の中にある周年の祝い方にほっこりした気持ちになった。（Text：小野妙子 / Photo：Tetsuya Yamakawa）

 

『POOL SIDE - SHELTER 34th Anniversary -』

2025年10月1日（水）下北沢SHELTER

 

【片想い SET LIST】

1. グッドエネルギー、シンキングタイム

2. tristeza de carnaval

3. バタ供のうた

4. 街角煙突倶楽部

5. ハートフルエイト

6. ヨイトマケ

7. チャイスー 〜折れない心〜

8. チェイサーブルース（with 藤井友信）

9. 棒切れなど振りまわしても仕方のないことでしょう。

10. 田園

 

【MUSIC FROM THE MARS SET LIST】

1. After Midnight

2. Or anotheR

3. TRUNK

4. Weather Report

5. Everyday and Every night

6. summery

7. WHO CARES?

8. Happy Ending

9. K.I.K.O

 

en. Satisfaction（with MC.sirafu）