ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの第一人者である伊藤政則が各界著名な豪華ゲストを招くトークイベント『政則十番勝負2026』、その<Part2>が10月8日(木)から12日(月・祝)までの5日間、オープン10周年を迎えたLOFT9 Shibuyaで行なわれている(<Part1>は9月17日(⽊)から9月21日(⽉・祝)にかけて開催)。
後半戦二日目、通算七番目の勝負となる10月9日(金)開催のゲストは、『十番勝負』のレギュラー的存在である漫画家/イラストレーターのみうらじゅんが、サンボマスターの山口隆を連れて強力タッグとして参戦。
会場観覧チケットは早々に完売し、場内は満席。勝手に観光協会(みうらじゅんと安齋肇によるユニット)の「ご当地ソングCD完結編」が開場中のBGMとして流れ、“勝負”とはおよそ縁遠いゆるい空気のなか開演の2分前に政則先生、みうら、山口が登壇。みうらと山口が席を譲り合うが、みうらが「僕が真ん中になると(隣の政則先生と)顔が被るから」と笑わせながら上手の席に座る。
政則先生はNHKでオンエアされた渋谷陽一の追悼番組で山口と共演したことがあり、楽屋では3人でボブ・ディランの話で盛り上がっていたという。そこからみうらが選曲・ジャケットイラスト・解説を手掛けた『ディランがロック』(当初は非売品プロモの試作品のみが関係者に配布された)の話題となり、週刊文春でみうらが連載している『アウト老のすすめ』の企画「人魚像ハンティングの旅」へと話が移る(熱海秘宝館に今もあるという、みうらが過去に描いた卑猥な色紙の話が最高!)。それがいきなりロキシー・ミュージックの話に転じるという完全なみうらのペース、独壇場に。
先日閉店となった西武渋谷店A館の外に立っていたマーメイド像の話、政則先生=ファンタジーの住人説、山口が初めて読んで感激した政則先生のライナーノーツ、銭形平次もプログレもファンタジー説、山口がいかに時代劇が好きかなど、四方八方へ話題が飛びながらも3人のトークが絶妙の間とスピードで矢継ぎ早に繰り広げられていく。
その後、山口が坂上二郎主演のドラマ『夜明けの刑事』(1974年〜1977年)や『刑事コジャック』(1973年〜1978年)の話題を持ち出し、『刑事コジャック』の主人公であるテオ・コジャック警部補の愛称がなぜか「チョーさん」だったことを回想&力説。現代のチョーさん的リーダーの不在を嘆く。それからリンゴ・スターの歌はクセになる話、かまやつひろしとキース・ムーンの邂逅エピソードを挟みつつ、サンボマスターのリーダーは誰なのか? チョーさん的リーダーの条件とは何なのか? という話題に。こうして字面だけ追うと一体何の話なのかさっぱりわからないだろうが、場内はずっと爆笑の渦である。
音楽評論家の福田一郎先生がゴルフのホールインワンを記念して制作したテレホンカードの話、みうらと政則先生の顔が似ていることから対談を実施した話(それが両者の初対面)、政則先生が名古屋の居酒屋でみうらと勘違いされた話(店主に「『ラジオDEごめん』見てるよ!」と言われたとか)など鉄板トークが続くと思いきや、「伊勢丹メンズ館はポイントが貯まらない」という話をいきなりぶち込むみうらの当意即妙ぶりが冴えまくる。そこから政則先生が「ドット柄のシャツを着るとみうらさんと似ちゃう」と話を戻す縦横無尽かつ予測不能な展開がただただおかしい。
緩衝材的立ち位置としてトークの軌道修正をしようとする山口は、政則先生が横浜そごうにあったMM21スタジオから公開生放送していた話を振るが、みうらは我関せずで伊勢丹メンズ館の話を続けようとする。なんとか有意義な話をしようとする山口、有意義な話からいかに脱線させるかに力を注ぐみうら。対照的な二人のちぐはぐトークが至高の話芸に昇華するのだから末恐ろしい。
最後の30分はお歳暮や年賀状の話から政則先生のカレンダーの話となり(山口いわく「十二(十三)政則!」)、興が乗った政則先生はクラフトビール(Masa Ito Beer)を販売したこともあると山口に話す。政則先生がそうしたグッズの数々を販売していること、『政則十番勝負』のようなトークライブを10日にわたり展開していることに山口は驚愕、「やっぱり政則さんは凄い人ですよ!」と言う山口に「山口君もカレンダーを作るべきだ!」とアドバイスするみうら。ただし売れ残ったカレンダーは安く売ることもできないので注意が必要だとサゲを忘れない。そしてこれから売れるライブグッズは尿瓶(しびん)だとみうらは力説。来たるべき高齢化社会に求められるグッズの重要性を説いた。この日、3人が語り合ってきたトークの要点が「尿瓶とカレンダー」だったとは(それと「セイレーン」?)、会場を訪れたオーディエンスはつゆにも思わなかっただろう。
気づけばファンタ爺かつアウト老な抱腹絶倒トークに終始した90分。実のある話はほぼないが(失礼)問答無用に笑えるというロフト系列トークライブの王道を行く三者のやり取りはとにかく絶品ゆえ、ぜひ配信アーカイブで堪能していただきたい。
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チケットは10月15日(木)21:00まで購入可能、アーカイブは同日23:59まで視聴可能となっている。
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