ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの第一人者である伊藤政則が各界著名な豪華ゲストを招くトークイベント『政則十番勝負2026』、その<Part2>が10月8日(木)から12日(月・祝)までの5日間、オープン10周年を迎えたLOFT9 Shibuyaで行なわれている(<Part1>は9月17日(⽊)から9月21日(⽉・祝)にかけて開催)。
後半戦三日目、通算八番目の勝負となる10月10日(土)開催のゲストは、今年結成39周年を迎えたハードロック・バンド、人間椅子の鈴木研一(Ba, Vo)。
前日の『十番勝負』ゲストだったみうらじゅんは2023年9月に発表された人間椅子のアルバム『色即是空』のジャケットイラストを手がけており、図らずもみうらから鈴木へとトークバトルのバトンが受け渡された格好だ。
本公演の会場観覧チケットは早々に完売し、場内は満席。登壇するなり「今日は鈴木さんいっぱい喋りますよ!」と煽る政則先生。前日の話の流れで「人間椅子のリーダーは誰?」という話になり、「和嶋(慎治)君でしょう」と即答するも「向こう(和嶋)はリーダーは研ちゃんだって言うでしょうけど」と補足する。
客席にTシャツを着用している方がいたことからユーライア・ヒープの話、前日ゲストのみうらじゅんと出会った契機、和嶋が常にハンダゴテを持ち歩いている話(楽器に相応しいハンダゴテを所有しているらしい)と、序盤から対話が弾む。
政則先生は鈴木の腰の不調を気遣い、鈴木はライブ中に腰の痛みを軽減するために激しいアクションをするのだと弁明。本気でノっているのか、腰の痛みを和らげているのかは「顔でわかる」とのこと。
今日も正装である袈裟を身に纏った鈴木は、ふんどし着用と白塗りのため入り時間が早かったとか(18時半開演の前に17時入り)。そこからふんどしの話となり、以前の鈴木はコーラしか飲まなかった話(鈴木いわく「コーラを命の水と呼んでいた」)を先生が振る。コーラやコーヒーの飲み過ぎなど偏食と不摂生が祟って尿管結石を患った鈴木は、酒はもとからほぼ飲まないものの、タバコは依然やめられないとのこと。
その後、先生に「趣味は何ですか?」と訊かれ、昔は鉄道が好きだったと答える鈴木。以前は「あけぼの」(上野駅と青森駅を結ぶ寝台特急)を利用するのが好きで、この日持参した「あけぼの」の車内チャイムを再現したオルゴールを披露。ちなみに曲名は「ハイケンスのセレナーデ」なのだとか。
人間椅子は年末にかけて還暦記念ツアー『猟奇覚醒』を全国8カ所で開催。そのセットリストをどう決めるかの話題はファンならずとも実に興味深いもので、ファンのことを大切に思う一面が垣間見られた。
人間椅子の「針の山」はバッジーの「Breadfan」を原曲としてオリジナルの歌詞を付けたことで知られているが、そこからバッジーの話、「Breadfan」が収録された3rdアルバム『Never Turn Your Back on a Friend』のこと、浪人時代にブラック・サバスのベストテープを編集して和嶋へ送ったことなど音楽愛に溢れた話が続く。
それから鈴木が高円寺SHOW BOATで定期開催していたDJイベント『ハードロック喫茶ナザレス』の話に移り、ロジャー・グローヴァーがプロデュースを務めたナザレスの3rdアルバム『Razamanaz』のこと、青森産の林檎の話(蜜がないのがちょうど良いらしい)を経て十代のリスナー時代のピュアな音楽話に花が咲く。昼食を抜いてレコード購買に充てた経験がある人なら共感できるエピソードの連発だ。
再び盟友・和嶋慎治の話題となり、高校時代から「弘前に和嶋あり」と有名だったという和嶋のギタリストの腕前(ロン・ウッド的?)、和嶋が長いソロを弾いたときに指が攣るのが鈴木にはわかるという話、自身のベースとの向き合い方、弾きすぎるベーシストが苦手だという話など、一向に話題は尽きない。
感受性豊かな十代のころ熱心に聴き込んだ音楽の話になると、鈴木は津軽弁が強まり雄弁となり、純真なリスナーのように活き活きとする。40年近いキャリアを誇る辣腕ベーシストである以前に、今なお古今東西の音楽を溺愛し、いちリスナーの感覚を大切にする生粋の音楽人なのだろう。
共に東北人として(政則先生は岩手県花巻市出身、鈴木は青森県弘前市出身)、共に音楽に人生を捧げる両者の言葉のキャッチボールは実に心地良いもので、いつまでも聞いていたくなる(次回は新装開店『ハードロック喫茶ナザレス』をぜひLOFT9 Shibuyaで!)。90分に及ぶ二人の濃厚濃密対話、津軽弁が恋しくなること必至の絶品トークはぜひ配信アーカイブで堪能していただきたい。
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チケットは10月16日(金)21:00まで購入可能、アーカイブは同日23:59まで視聴可能となっている。
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