音楽をディグる楽しさがビークルにはあった
──ビークルが残した功績を挙げるすると、どんなところでしょう?
ヒダカ:お面でしょうね。MAN WITH A MISSION(以下、マンウィズ)よりも早かった(笑)。ちゃんと許可取ってくれたのはFACTだけなんで、マンウィズは早く許可取りに来い! とここで言っておきます。本名バラすぞ!(笑)
クノ:マンウィズのメンバーの一人はヒダカさんじゃないか疑惑が一時期ありましたよね(笑)。
ヒダカ:TOSHI-LOWがいろいろ嘘を言いふらしてた。向井(秀徳)君と俺が中身だって(笑)。
──そうしたお面や卑猥なコール&レスポンスといった笑いのエッセンスがある一方、楽曲は異常なまでにポップでキャッチーでハイクオリティというギャップもまたビークルならではでしたね。
クノ:ビークルって「お前らちゃんと音楽を聴けよ!」と言ってくれてる感じがありましたね。ちゃんと掘れよ! っていうか。
ヒダカ:確かに啓蒙的ではありましたね。
サティフォ:曲のオマージュ元をヒダカさんの本で知って、そういうことだったのか! と新たな気づきがあったり。
ヒダカ:そこはオーケンさん(大槻ケンヂ)の影響ですね。オーケンさんは常に「啓蒙、啓蒙」って言ってたし、筋少にも「啓蒙してくれよ」と唄う曲があるし(「モーレツア太郎」)。
──私見ですが、ヒダカさんは大滝詠一さんや山下達郎さん、フリッパーズ・ギターといったリスナー型ミュージシャンの系譜に位置付けられると思うんです。膨大な音楽知識を蓄積するリスナーだからこそオマージュを多分に含んだ楽曲作りに長けていて、古今東西のポップ・ミュージックに精通していればいるほどビークルの音楽を多層的に楽しめる。
ヒダカ:ラッキーな世代なんですよね。YMOもいればLAUGHIN' NOSEもいるという奇跡に近い時代にいろんな音楽を享受できたので。今のほうが選択肢は多いけど、当時はそれぞれのジャンルで代表的なバンドやミュージシャンが限られていて、ディグっていくのが今よりラクだった。街自体がそういうディグを許してたというか、中古レコード屋が渋谷や新宿にいっぱいあったし、渋谷にはCSVっていうインディーズ主体のレコードショップが公園通りにあった。そこでWILLARDがインストアライブをやったりね。
──CSVは『FOOL'S MATE』の創刊編集長であり、YBO2のボーカル&ベースだった北村昌士さんが顧問として関わっていたからインディーズに強かったですね。
ヒダカ:今はタワーレコードがCSVの役割を担ってるんでしょうけど、当時はもっとピンポイントで、K-POPっぽいものやアイドルっぽいものが入り込む余地はなかった。ガチガチのインディーズの城がCSV渋谷。小滝橋通り沿いにあった新宿LOFTもそのスタンスに近いハコだったと思うし。
──当時のLOFTの周辺にあった新宿レコード、UK EDISON、VINYL JAPANといったレコード店や海賊盤ショップ然り、街全体が濃密な地下音楽文化を醸成することに貢献していましたね。
ヒダカ:エアーズとかね。ジミー・ペイジがLED ZEPPELINの海賊盤を熱心に買い漁ったり。日本のブートが一番いいって(笑)。
──世代でいうと、ヨシカツさん、クノさんのように30代後半の方々がビークル直撃世代ということになるのでしょうか。
ヨシカツ:ストライクだと思いますよ。とにかくメロがめちゃくちゃいい。
ヒダカ:最初に知ったきっかけはテレビ? 『BECK』とか?
ヨシカツ:いや、『BECK』じゃなかったですね。何だったんだろう? 軽音楽部に入ってたので、気づいたらみんな聴いてるみたいな感じでしたね。
ヒダカ:モンパチ的な立ち位置(笑)。
ヨシカツ:全員知ってて当然の義務教育みたいな。
クノ:モンパチ辺りからインディーズバンドも当たり前のように聴く流れができましたよね。そこにビークルがダーン!と出てきた。僕は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』のライブが各バンド1曲ずつ流れるみたいなスペシャの番組でビークルを見たのが最初かな。
ヒダカ:お面がモザイクみたいに入ってるバンドが急に出てきて驚いた?(笑) あれね、あとからお面を入れるのに1曲につき40万円かかるってスペシャに凄い怒られた(笑)。
クノ:ちゃんと角度を変えてお面が入ってましたからね(笑)。
ノブ:やってることはAVの編集と同じですもんね(笑)。
ヒダカ:そうそう(笑)。5人の動きに合わせて手作業でやってたから大変だったみたい。
クノ:×××コールもちゃんと音声処理されて(笑)。
ヒダカ:確かにあれは革新的だったかもしれない(笑)。
クノ:あと、『ポップジャム』か何かでマシータさんが恐竜の骨を持ってドラムを叩いてたんですよ。
ヒダカ:当て振りだったからね。
クノ:「これは当て振りですよ」っていうのを全面に出しながら叩いていたのが当時は凄い衝撃的で。そういうのアリなんだ?! って。
ヒダカ:(甲本)ヒロトさんやマーシー(真島昌利)もそういうのをやってたから。クロマニヨンズで口パクを無視してパフォーマンスしたり。ああいうのを一度真似してみたかった。















