アクシデンツの登場に「戦車みたいなバンドが出てきた」
──同時代のバンドとして、アクシデンツのことはどう見ていましたか。
岡本:まだ東京にいた頃、水戸君から「博多に戦車みたいなバンドが出てきた」という話は聞いてました。“戦車みたい”って(笑)。
水戸:ぜんぜん覚えてない。
MAGUMI:水戸君だったらそう言いそうだよ。
水戸:まあでも、そういうイメージやったよね。
岡本:元モッズと元ロッカーズのメンバーが集まってバンドを作ったって噂も凄くて。
延原:ジューク・レコードで作ったレコード(1984年に発表された自主制作12インチ『Nite Time』)があったでしょ? あのジャケットの写真でハメチがサングラスかけててさ、そのイメージしかなくて。で、アクシデンツと共演したスターレーンへ行ったら、さっきも言ったけどハメチはフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドみたいな髪型で。あとでハメチが自分で言ってたよ、「ああ、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドやったときやろ?」って(笑)。そのときは喋ったけど特に印象に残る話はなくて、その次にたぶん福岡で会ってるはずなんだけど、そこで「俺の若い頃はお前に顔がそっくりだった」とか言われて。
水戸:どういうこと?!(笑)
延原:当時でもまだぜんぜん若いし、原島君とは3歳くらいしか違わないんだけど。そもそも顔は全く似てないし(笑)。
穴井仁吉氏提供写真
──のちにイベントのMCやラジオのパーソナリティへ転向する予兆めいたものはバンドマン時代から感じていましたか。
延原:でも当時は楽屋や打ち上げで凄く喋ってるのに、ステージではぜんぜん喋ってなかったからね。「面白いんだから喋ればいいじゃん」って勧めても「喋れんのよ」なんて言って。ドクターズまでそんな感じだった。
岡本:スマイリー&ザ・ドクターズまではわりとその路線を保って、コネクションズでトークの才能を爆発させた。最初の1曲目が始まるまでに20分くらい喋ってたし、それでショーネン(手塚稔)は本番中に帰ったことがあった(笑)。
MAGUMI:一緒に野球をやってても、原島君がキャッチャーだとうるさいんですよ。バッターボックスに立つと、ずーっと話しかけてくるので(笑)。
水戸:しかもそれが野村(克也)監督みたいな戦略じゃないんよ。MAGUMIがおるのがただ嬉しくて、犬がキャンキャン鳴くように話しかけてくる(笑)。素直っちゃ素直なんだよなあ。
松岡モトキ氏提供写真
──原島さんと最後に会ったのは?
杉本:去年(2025年)の7月かな。
水戸:ハメチが『下北沢音楽祭』に来たときね。
MAGUMI:俺もそれくらいに会ったのが最後だった。
水戸:その年の4月に恭一と華恭で熊本へ行ったときは打ち上げに来てくれたし、5月に博多でイベントをやったときもMCで出てくれた。ここ近年では一番よく会ってたし、一番喋ってた年だった。
──今年の4月から5月にかけては華恭が『ゆらゆらゆらぐ』と題したツアーを行なっていて、時節柄、2人でいらっしゃると原島さんのことを思い返すことが多かったのではないかと思いますが。
杉本:今年の華恭のツアーでは、水戸君がどの会場でも原島君の話をしてた。2人はこんなに深い付き合いだったんだ? と初めて知るくらい、いろんな話が飛び出した。
水戸:ライブ1本につき1エピソードは絶対に入れようと思ってたから。7、8本ライブをやって、同じエピソードは話さなかった。
──水戸さんが原島さんのことを語るMCだけを収録したアルバムが作れそうですね。
水戸:2枚組、3枚組にもできるだろうね。テレビなら3時間特番は余裕(笑)。アパートの火事をファイナルとして、その前に車にはねられたとか、酔っ払って階段から転がり落ちて顔がボコボコになったとか、いろいろあってね。アクシデンツというバンド名にしたばっかりに事件や事故がやたら起こると自分でも言ってたし。
岡本:一時期、バンド名はエルヴィス・コステロの「Accidents Will Happen」じゃなく、ブロンディの「Accidents Never Happen」から取ったって話してましたね。
水戸:験担ぎみたいにね。ハメチはコステロが好きだったから「Accidents Will Happen」が由来だったはずなんだけど、あまりにもトラブルが巻き起こるから、後付けでブロンディの曲から取ったことにしてた。姓名判断で改名するみたいに(笑)。
──“Will Happen”でも“Never Happen”でもあの良く通るダミ声とテンポの良さでまくし立てられると嘘も本当になるというか、妙な説得力が生まれて話を信じてしまうところがありましたね。
水戸:そうそう。だからこそあれだけ人を巻き込む力があったんだろうし、愛され力がずば抜けてたね。
MAGUMI:熊本へ帰るとよく原島君やぶんちゃん(熊本県を拠点に活躍するディスクジョッキー、かなぶんやのこと)と会ってわいわいやるんだけど、そこで俺の後輩が一発で原島君のことを好きになるもんね。また必ず原島君に会いたいって言う。
──そういう稀代の人たらしみたいなところがありましたね。
水戸:だから戦国時代に生まれたら良かったのにね。世が世なら、口が達者で敵方との交渉をまとめる役目として重宝がられたかもしれない(笑)。















