宙也(ボーカル|アレルギー、De-LAX、LOOPUS)、榊原秀樹(ギター|De-LAX、VERUTEUX、HIDEKI & HARD PUCHERS)、ERY(ベース|KiLLKiLLS、Raglaia)、ムカイレイコ(ドラム|スリルラウンジ)が2019年に集結、昭和平成を超えて令和に生まれた男女混合4人組ロックバンド、極東ファロスキッカー(略称:ファロキ)。
2024年6月に発表したファースト・フルアルバム『META浪漫SONIC』以来、2年ぶりにリリースされた通算4枚目となるオリジナル作品『KOSMOLOGY』は宇宙と孤独をテーマにした、結成7年を経てますます勢いに乗るバンドのアンサンブルと珠玉の楽曲を堪能できる渾身のミニアルバムだ。ファロキの最新型にしてポップなダンスチューン「KOSMOTOKIO」を筆頭に、性急なリズム&ビートが通底した「Neo-Nero」、ブルージーで昭和歌謡のエッセンスも内包した「茜色デカダンス」、ムカイレイコの作詞によるERY初のメインボーカル曲「Poison Chocolate」、バンド史上屈指の名バラッド「SORA」、Nickey(NICKEY & THE WARRIORS)と宙也のデュエット曲「星音 Stella Tone」という精選された6曲が収録されている。
メンバー全員が『KOSMOLOGY』の制作について振り返るこのインタビューは、宇宙の摂理と人間の生き方を結びつけた宙也独自の"KOSMOLOGY"=宇宙論を味わえる一方、個々の卓抜したスキルが調和した合奏の妙味、妖艶さと退廃美が格段に増した深淵なる歌をなぜここまでアップデートできたのかが窺える上でとても興味深い。日本のロック史にその名を刻むバンドとして功績を残した面々が本気でバンドを楽しむときに開花させる真価と進化と深化、その化学変化と爆発力は伊達じゃない。6月某日、下北沢CLUB Queで行なわれる独演会に向けたリハーサルを終えた直後の4人に話を聞いた。(Interview:椎名宗之)
ERYの歌を全面に押し出したバンドの新機軸
──今作『KOSMOLOGY』は如何にもファロキらしいポップでキャッチーな楽曲が凝縮した作品だと感じましたが、それは前作『META浪漫SONIC』が大作志向のフルアルバムだったことの揺り戻しというか、もっと軽快で小ぶりな作品づくりを目指したということなのでしょうか。
秀樹:結果的にそうなった感じですね。前回の『META浪漫SONIC』でファロキなりの一つの形を完成させることができたけど、そうなると今度はまた別の角度を掘り下げたらどうなるんだろう? というモチベーションが自然と湧き上がるもので。そうした新たな挑戦をしつつ試行錯誤したのが『KOSMOLOGY』でした。
──今回でいう“また別の角度”とは?
秀樹:ERYの歌を活かしたファロキらしさのある曲を作らなきゃとか、今までやったことのないリズムに取り組みたいとか。そういうファロキらしさの違う角度の見せ方はないか? という模索ですね。
──ERYさんが初めてメインボーカルを務めた「Poison Chocolate」を筆頭に、ERYさんの歌声を全面に押し出したのが新機軸と言えますね。
ERY:そうですね。こんなに目立つ予定じゃなかったんですけど(笑)。
──「KOSMOTOKIO」では宙也さんのボーカルと渡り合って華やかさが際立っているし、ERYさんのユニゾンがあることで情趣が深まる「SORA」のような曲もありますし。
秀樹:ERYの歌はファロキにとって大事な要素の一つなので、そこに焦点を当てたバンドの姿を打ち出したかったんです。でもそれはごく自然な流れというか。
──前作でERYさんによるコーラスの比重が増したという伏線がありましたからね。
秀樹:そこを今回はもっと突き詰めようと。ファロキの新たなスタイルとして。
──ERYさんはこれまでのバンド遍歴の中でメインボーカルを務めたことがあったんですか。
ERY:ないですね。自分のYouTubeチャンネルで唄うことはありましたけど、オフィシャルでリリースした作品の中で一曲全部を唄いきったのは今回が初めてです。秀樹さんから私のメインボーカル曲を入れると最初に聞いたときは悪ふざけかと思いました(笑)。
秀樹:どっきりなんじゃないか?! って(笑)。
ERY:そんなはずはないだろうと思っていたら、本当に全部私が唄うことになって。
秀樹:ERYはその存在感も含めて逸材だし、彼女の歌声を埋もれたままにしておくのはもったいないと思ったんです。それにERYのメインボーカル曲があるとライブ映えするし、メリハリも効くじゃないですか。
──そして、ERYさんが全面的にボーカルを務める曲の作詞をするならレイコさんが適任であると。
秀樹:ERYに「詞を書く?」と訊いたら躊躇されてしまって、そこへレイコさんが「私が書くよ」と助け舟を出してくれて。
──レイコさんはもともと作詞家として活動していた時代もありましたし、ERYさんのイメージに即した詞を書き上げることにかけて熟達していたのでは?
レイコ:専業的に歌詞を書くのがやりたくなくてやめちゃったし、また書きたくなったら書くスタンスだったんですけど、今回はERYが歌詞を書くのを迷ってたし、それならERYのキャラで当て書きしてみたいと思ったんです。秀樹君の曲もすでに身体に入っていたし、凄くいい曲だと思っていたからすぐに書けました。話を受けて、スタジオ帰りの電車の中でほぼ歌詞の内容が固まっていましたね。
──意中の相手へ挑発するようにアプローチするという、ちょっと気の強い女性像が脳裏に浮かぶ歌詞ですね。
レイコ:強気で負けず嫌いな女性なんだけど、高まる思いを強がって出せないみたいな。私が話す英詞の部分が彼女の本音なんです。
──その台詞の部分は秀樹さんの無茶振りで当日にいきなり録ることになったとか。
レイコ:そうなんですよ。レコーディングの流れで、ここで語りの部分を録ったほうがスムーズだという判断で。でも私は普段からコーラスをやらないし、発声練習をする間もなく録ったから案の定声が出なくて。
秀樹:だけど、あの台詞はこなれた感じじゃないほうが良かったので。
レイコ:“You're dizzy”や“precious girl”といったコーラスも全然声が出なかったんですよ。考えてみればそれまで一度もERYとの掛け合いで唄ったことがなかったんです。
ERY:「KOSMOTOKIO」だけ先行してライブでやっていたけど、他の曲はレコーディングで初めて取り組む曲ばかりでしたからね。
レイコ:とにかく自分の震えた声が今聴いても恥ずかしい(笑)。
ERY:秀樹さんが用意してくれた仮歌詞のデモはAIの女性ボーカルで、メロディはそれで覚えて。譜割りはレイコさんが唄ってくれたデモで覚えて。それらをうまくミックスして唄いました。私のキーはレイコさんの2、3個上なのかな。
レイコ:ERYのトーンの一番低めの所が私の声が一番出る所なんだよね。
















