“KOSMOLOGY”という宇宙論は宙也の真骨頂
──その「SORA」で余韻に浸らせて終わることもできたのに、宙也さんとNickeyさん(NICKEY & THE WARRIORS)によるスペイシーなデュエット曲「星音 Stella Tone」で終幕を飾るのがサービス精神過剰なファロキならではといいますか(笑)。
秀樹:「星音 Stella Tone」は、自分たちとしてはボーナストラック的な位置付けなんです。「SORA」で締めるのも何か味気ないなと思ったし、どうせなら作りかけていた「星音 Stella Tone」を出しちゃえと。
ERY:リズムは前回の『META浪漫SONIC』で録ったんですよ。ボーカルは新しく録ったけど、それ以外は2年前のもので。だから私たちの意識としても「星音 Stella Tone」は別物という感じですね。
宙也:歌詞は他の曲と同じ時期に書いたし、『KOSMOLOGY』のコンセプトを念頭にして完成した曲だから聴く人の違和感はないと思うけどね。配信全盛の時代にアルバムの流れを意識して組み立てるのは古いのかもしれないけど、何せコンセプトを立てるのが好きなもので(笑)。
──コンセプトといえば、『KOSMOLOGY』(=宇宙論)の主題は宙也さんによると“宇宙”と“孤独”とのことで。リードチューン「KOSMOTOKIO」では「愛と詩と孤独を抱いて」という歌詞が繰り返されているし、「茜色デカダンス」は天涯孤独のまま堕ちていく歌だし、「SORA」は空に浮かぶ孤独な雲の描写がありますね。
宙也:孤独は孤立の“孤”だけではなく、パーソナルの“個”でもあるというか。“個”を貫くために宇宙があり、みんなそれぞれの“個”の中に宇宙がある。その宇宙とは愛に基づく異空間であり、愛も自由も人それぞれの形でいい。分断とヘイトが溢れる現代だからこそ、誰かと繋がるために“孤”と“個”を磨く。そんなことを描きたかった。秀樹はわかってくれると思うけど、宇宙という言葉自体は昔から歌詞の中でわりと使ってきたんだよ。
──De-LAXの「突然炎のごとく」でも“宇宙がパートナー”ですからね。
宙也:うん。でも自分の中で宇宙の意味がだいぶ変わってきた。何というか、自分を殺さなければ他者と渡り合えない、世界と繋がれないなんてとても苦しいことでしょう? だからこそ孤独を抱きしめながら生きていく。生きる手段としての孤独を。孤独は乗り越えるものでもなく、抗うものでもない。そして自分とは何かを突き詰める必要もない。なぜならそこにれっきとした宇宙があるから。つまり孤独を慈しみながら世界に立ち向かう。そんなことを伝えたくて自分は音楽をやっているんじゃないかと思う。音楽はいま聴かなくてもいつでもそこで待っていてくれるし、そんな宇宙もあるんだよってことを伝えたかった。宇宙も未来も希望も一つじゃないし、愛も自由も人それぞれで、答えは一つじゃない。
──“個”の異なる人と人の境界線を繋ぐために音楽があると?
宙也:そういう役目を果たす音楽をやり続けられたらいいなと思う。
──信頼を寄せるメンバーとの共同作業の集積であるバンドという創作活動において、孤独というワードは縁遠いもののように思えますが。
宙也:でもバンドは“個”の集まりだから。極東ファロスキッカーのために歩調や色合いを合わせるとか、そういうモードで来なくていい。そのままのあなたでここへ来て、共に創り上げる宇宙が“KOSMOLOGY”だったらいいなという願望だね。でもそんな簡単なことじゃないことはわかっているし、だからこそトライする価値がある。
レイコ:……話が難しすぎてよくわかりません(笑)。
宙也:わかりづらいだろうし、わからないままでいいの。「SORA」の歌詞にあるように、わからないまま何かを探し続けたり、わからないまま愛し合ったりできる孤独をしたためることが大事なんだよ。
──そもそも個体同士でわかり合えないのが当然で、わかり合えぬまま進むことは孤独かもしれないけど、決してネガティヴな意味ではないということですか。
宙也:そういう解釈も人それぞれでいい。無理やり説明することでもないし、答えは一つじゃないんだから。自分としては自由になりたい、解放されたいというシンプルな願いなんだけど。
──そうした境地へ至った経緯として、アルコール依存症の治療を継続していることも大きいですか。
宙也:そう思う。断酒してから4年の間に逝ってしまった多く友人たちに対する喪失感、自分が生き残ってしまった感覚が絶えずあるし。あと、2年前に現れた猫との生活と、その生き方に対して感じることも多分に関係している。
秀樹:でも宙也さんの芯の部分はあまり変わってないんじゃないかな。“KOSMOLOGY”という宇宙論、宇宙観というのは宙也さんにとって永遠のテーマなんだと思います。その探究心は昔からあったし、当時よりも客観視しながら表現しているように感じますね。僕なりにそう解釈したので今回も面白かったし、そういう独自の宇宙論は宙也さんの真骨頂ですから。
















