“バンドとはこういうもの”ととらわれる時代は終わり
──バンドらしい連携プレイですね。ERYさんのメインボーカル曲をレイコさんが作詞するというコンビネーションの妙、強固なチームワークはバンドの状態がすこぶる良好であることの表れに思えますが、宙也さんはどう感じていますか。
宙也:結論から言えば、「バンドとはこういうものだ」という定義や固定観念にとらわれる時代はもう終わり。バンドはどんな形であってもいいし、それは生き方にも繋がる。こう生きなきゃいけない、こうしなきゃいけないと何かの型に嵌めるのが息苦しい世の中だしね。昔はスタジオにみんなで集まって断片から曲を作り上げていったものだけど、もうそういう時代じゃない。今は秀樹が持ってきたデモで8割方その曲の世界観ができていて、そこから俺たち3人が練り上げて色づけをしていく。
秀樹:そのやり方のほうが、みんなでああだこうだ言いながら作るよりも広がりが生まれるんです。
宙也:でもそこで無理に一つにまとめる必要はなく、4人の中にある宇宙がそれぞれ違っていい。秀樹がこういう曲だと持ってきて、そこで仮に誰かが違う色づけをしても「それはない」ってことにはならない。そういう解釈も面白いねと純粋に感じる。それは全幅の信頼を寄せているメンバーだからだし、このバンドが好きだからこそだと思う。
──宙也さんと秀樹さんによるソングライティングもDe-LAX時代からだいぶ変化を経たように感じます。音楽的ジャンルや曲調に縛られることなく、親しみやすく趣のある歌づくりを優先させる作風に舵を切った結果、海外のロックを基盤としながら日本特有の情緒が滲むという和洋折衷の楽曲が増えたように思えるんです。
秀樹:おそらくいろんなことが削ぎ落とされてきたんだと思います。もっとストレートに、思いのままに表現する方向になってきたというか。歳を重ねて余計なことをしなくなったのが吉と出たんじゃないでしょうか(笑)。
宙也:昔はメンバー各自がデモテープを持ち寄っても、スタジオでアレンジを固める作業が難航するケースがよくあった。今は効率よく進めなくちゃいけないのもあるけど、秀樹が予め作ってきたデモを基に新曲を仕上げていくのがこのバンドには合ってる。でもそれで秀樹の狙い通りにいかないのが面白い。秀樹とは長く一緒にバンドをやっているから何をやりたいのか察知できるけど、いまだにそこをひっくり返してやろうと思うことがある。そこが楽しいんだよ。
──それもまた鋳型に嵌まらないバンドの自由さ、面白さと言うか。
秀樹:歌詞に関しては基本的に丸投げなんです。自分の作った曲に対して宙也さんがどんな歌詞を投げ込んでくるかがいつも楽しみなんですよ。
宙也:たとえば今回の「SORA」の歌詞は、「今までとは違う世界へ入っていきたい」という秀樹のリクエストを受けて書いてみた。「SORA」に限らずだけど、今までのキャリアを無駄にしないっていうのかな。自分でも若いときには書けなかった世界へ踏み込みたいし、ここまで生きてくると自分にしかできないこと、ファロキでしかやれないことがわかってくる。結成して7年、それをいい具合にやれていると思う。
秀樹:7年経ってもいまだに模索しているんですよね。ファロキの持ち味はこういうものだと作品を発表するたびに提示してきたけど、まだこんなものじゃないだろうと模索して構築し続けている。
──7年かけて多彩な楽曲を発表し続けてきましたが、たとえば「KOSMOTOKIO」のようなサーフインストのリズムを主軸としたダンスナンバーは異色だし、まだまだ引き出しがあるんだなと実感しますね。
宙也:今はサブスクの時代なので、いろんな引き出しを見せておかないと聴き飛ばされてしまうから(笑)。
──前回のインタビューで、ドラマー脳ではない秀樹さんが作曲したからこそ生まれるリズムパターンの面白さがあるとレイコさんが話していたのが印象に残っているのですが、今回はどうだったのでしょう?
レイコ:今回は私のドラムを想定して作ってきた曲が多いように感じましたね。叩きづらいところは特になかったし、今回が一番ラクなレコーディングでした。曲も覚えやすかったし。
秀樹:良かった(笑)。レイコさんのドラムが定着してきたから想定した曲作りがしやすかったんでしょうね。
──「SORA」は抒情性に溢れた名バラッドで本作における屈指の名曲ですが、その場凌ぎの勢いや付け焼き刃のアレンジではごまかせないがゆえの試行錯誤はありませんでしたか。
秀樹:リズムもそうだし、ジャンル的にも今までやってなかったことに取り組みたかったんです。「SORA」の音色は上物(うわもの)を入れやすいんですよ。ホーンセクションを入れたり、キーボードを入れたり。でもそこをこの4人でやりきるアレンジにしたくて、ああいうシンプルの極地みたいなところへ辿り着いたんです。
宙也:ベースはリズム&ブルースなんだよね。ああいうタイプの曲を4人だけで成立させるのが大事なポイントだった。
















