ジャズ、インストゥルメンタルシーンの気鋭レーベルであり、現代の音楽シーンでも重要なレーベルの一つである"Playwright"が7月23日、24日に10周年を記念したイベントを新宿LOFTにて開催する。今回はレーベルの代表である谷口慶介(Playwright レーベルディレクター)と、レーベル立ち上げ時から在籍し、昨年、自らも10周年を迎えたfox capture plan(Double Bass:カワイヒデヒロ / Drums:井上司 / Piano:岸本亮)の3人にレーベルやイベントのことを中心に話を聞いた。(interview:山田昌俊 / 新宿LOFT)
ここまでレーベルが続くとは、バンドが増えるとは思わなかった
──まずは10周年おめでとうございます。
一同:ありがとうございます。
──いろんな所で聞かれるとは思うんですけど、レーベルを始めたきっかけをまずお伺いできたら。
谷口:僕はディスクユニオンの制作部で2002年ぐらいからずっとやってたんですけど、その頃から違うレーベルもやっていて。で、そんな中フォックス(fox capture plan)、orange pekoe、bohemianvoodooっていう3つのグループからリリースに対する相談を受けて、まあ何か今までやってたレーベルで出してもいいかなと思ったんですけど、それなら1個レーベルを作ったらどうかなって思ったのがきっかけです(笑)。
──けっこう軽い感じの…(笑)。
谷口:そうです、めっちゃ軽い感じの(笑)。
──軽い感じとは言え、もともとレーベルをやっていた中で敢えてPlaywrightを作った理由みたいなものってありますか?
谷口:もともとやってたレーベルっていうのが、メインではThink! Recordsって言って今でもあるんですけど、それは復刻モノがメインで、レアグルーヴだったりとか、最近の音楽のCD化したものをレコードで出しましょうとか、そういう焼き直し系のレーベルだったんです。そこでカワイヒデヒロの前にやってたImmigrant's Bossa Bandっていうバンドもリリースはしたんですけど、復刻専門のレーベルから新録の現在進行形のバンドを出してもなんか埋もれちゃうようなところがどうしてもあったので、それだったら一つ屋号を作ったらいいんじゃないかっていうのは思ったことですね。
──フォックスはもともとあったThink! Recordsの存在は知ってましたか?
岸本:Think!は僕はもともと知ってました。Immigrant's Bossa BandとJABBERLOOPが仲良かったんでThink! Recordsの存在は知ってたんですけれども、そういや当時そういう話をしてたのを思い出しました。
──リリースの相談をして、Think! Recordsではなく新しいレーベルから出そうって言われたときはどうでした?
岸本:あ、もうなんか楽しそうだなって思いましたね(笑)。なんなら最初、谷口さんに相談したとき、Think! Recordsのつもりだったので。それこそ新しいムーヴメントを起こせたらと思いましたね。
──フォックスも去年10周年でしたが、立ち上げからほぼ同時期に動いてきた感じですよね。Playwrightを立ち上げたとき、10年続けようっていう考えはありましたか?
谷口:全然ないです(笑)。
──(笑)実際、続いてみてどうですか?
谷口:いやあ、もう10年経ったのかっていうのが一番。早かったなっていうのはありますけど。そうですね、もう、頭の中は「次、11年目どうしようかな?」ってことしか考えてないですね(笑)。
一同:お~!(笑)
カワイ:そうなんだ?(笑)
谷口:続けるか、やめるか、誰かにあげるか、みたいな(笑)。
カワイ:あげるってなに?(笑)
井上:ここまでバンドが増えるとも思ってなかったですもんね、最初。
谷口:みんなも言ってるけど、ここまでバンドが増えると思ってなかったので。それは自分でもびっくりしています(笑)。
──今、レーベルには何バンドいるんですか?
谷口:23、4、5ぐらいか……?
カワイ:そんないるとは思わなかった。1カ月丸々、毎日ライブできそうじゃない?(笑)
谷口:ワンマン23Days(笑)。次にLOFTでやるときそうしようか(笑)。
──あ、ぜひぜひ(笑)。
岸本:でも、イベントを積極的にやってる感じしますね。ブルーノートで僕らがホストバンドで、レーベルの仲間呼んだり。そういうのも含めて年間通して動いてる感じがありますね。
──フォックスも10年続いてみてどうですか?
岸本:早かったっていうのはすごく思いますね。
井上:僕らだって10年やるつもりじゃなかったですもんね(笑)。
岸本:でも時代がちょっと変わった感じはしますね、始めた頃と。いわゆる洗練された感じの音楽が台頭してきたなって、2010年代後半ぐらいから。それは全く予想してなかった感じではありますが、その中をやり続けてきたんだなと思います。