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INTERVIEW

トップインタビューモアザンハウス インタビュー vol.2「FUCKER×藤原亮」- モアザンハウスをパンクムーブメントとして全国に波及させたい!

モアザンハウスをパンクムーブメントとして全国に波及させたい!

2021.09.21

福祉の仕事をするパンクスが全国各地にモアザンハウスを作っていく

──音楽があるから正気でいられたっていうのと、音楽があるからカッコつけてしまったっていう。

藤原:そうなんですよ。定期的に人との関わり合いがあって、それが支えになってたけど、だからこそ強がってしまって。生活保護の申請に行っても良かったんですよね。数カ月生保で暮らして、その間に浮上すればいい。だけど平気の体でみんなの中に入っていってるんで、自分でもなんだか分かんなくなってるんですよ。たぶんね、二度と会わない人には話せたかもしれないけど、たまに会う、今後もずっと会い続けるであろう人には何も話せないし、「助けて」なんてとても言えない。だから谷さんには家まで紹介してもらったけど、本当の理由は言えなくて。

FUCKER:まだまだだってことですよね、俺が。ホント、気軽に言ってもらえる存在になりたい。

藤原:本当は誰かに全部話したかったし、そうしたら良かったんですよね。プライドって言えば分かりやすいんだろうけど、プライドだけじゃないんですよ。何かに負けてるんですよ。呪いとか後ろめたさが凄いあったし。

──さっき谷ぐちさんは自己責任論って言ってたけど、社会が「自己責任だ」って空気を作っているのはありますよね。

FUCKER:ありますよね。追い詰めてるのは絶対社会ですよ。ホント、クソ。一人の人間っていうのはいろんなものが積み重なってできてるんだから、甘えだって断罪したり、表面的に線を引いたり、そういったものは絶対に良くない。人間ってそんなに簡単なもんじゃない。

藤原:あとこれは、語弊を招きそうだと思いつつも言っておきたいんですけど。モアザンハウスは障がいを持つ人と住む家に困ってる人が入居してるじゃないですか。下の階に住んでる佐山さんは、生まれながらに脳性麻痺なんです。でもね、困ってるときの僕と佐山さんと、その困り具合は佐山さんのほうがより困っているってことはないと思うんです。

FUCKER:そうだね。

藤原:僕は健常者として、困ってない側の人間として、ここに住んでるわけじゃないんです。

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──障がいのある人のサポートをするために住んでるわけじゃない。

藤原:そうです。自分だけでなんとかならないんだったら助けが必要っていうのはみんな一緒です。人は誰しも困り事がある。個人である以上、それぞれにマイノリティのところはあるし、マイノリティの瞬間って誰でもあると思うんです。マイノリティとマジョリティって分けられるものではない。それぞれ一つに括ってはならない一人一人なんだけど、でも全部を自分一人だけで抱えなくていいってことも意識していければ……。だから、当時の俺のような、健常者であってもどん底の人に、我慢しなくていい、助けてって言っていいって分かってほしい。

──誰もが劣っているわけじゃなく、ただ困り事があるってだけなんだから。

藤原:そうなんですよ。それって、全部が繋がってることだから。俺がパンクに居場所を見つけたことと、生活に困窮したことって、社会がこんなだからっていう意味で一緒だなって今は分かる。パンクが居場所になっていったのって自分にとってはとてもピュアな行為だと思っていて。でもピュアな行為をしていると困ることになるのが今の社会で。

──ピュアな行為というのはわがままで甘えだってなるのが、今の社会ですよね。

藤原:社会と全く接点を持たずに生きていくことは難しすぎるなって思うから、どうしたって困ったり傷ついたりすることはある。そのとき、「そうは言っても何とかなることだから、自分が何とかすることだ」の圧は強すぎるんです。それで、実名で、できるだけ生々しく、「分かってたつもりだったけど、いざ自分がなってみると全然だめだった」っていう文章で、対抗できる強度が出せたらと思いました。もし追い込まれたときは助けを求めてくれって。

FUCKER:俺はね、もちろんCDを出す以上、音楽を聴いて欲しいというのはあるんだけど、レーベルやるってことで活動を広くアピールしたいっていうのがあるんですよ。さっき言ったように、パンクムーブメントです(笑)。福祉の仕事をやってるパンクスやこれから福祉の仕事を始める人たちが一軒家を借りて、全国各地にモアザンハウスを作っていく。

藤原:うんうんうん。

──しんどかったら、しんどくなくても、来なよって場所がモアザンハウス。

FUCKER:もうモアザンハウスを全国に広げたい。自分は、津久井やまゆり園事件のことがあってモアザンハウスを作ろうって発想になったんです。障がいを持ってる人って生き方の選択肢が極端に少ない。特に知的障がいを持っている人なんかは、地域で生活していくのが難しくて、最終的に入所施設に行かなきゃいけないってケースがメチャクチャ多いし。入所施設を否定してるわけじゃないんですけど、それ以外の選択肢があまりにも少ない。たとえば親に介助されながら生活していて、親が歳を取って介助できなくなったら施設に行ってそこで一生過ごすってことが多い。本人の意思とは関係なくね。言ってしまえば押し込められるんですよ。それは絶対におかしい。

藤原:僕、学生時代とかは障がいを持った人と知り合うことはなかったし、街で見かけることもなかった。障がいのある人の人数って少ないんだろうって思ってたんです。そしたら全然そんなことなくて。いっぱいいるんですよ。毎日必ず街で一人は見かけるぐらいの数いるんです。それが街で会わない、なかなか見かけないっていうのは、選択できる場所が少な過ぎるからで。

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