平野悠に文化勲章を?!
平野:最近のトークブームに火をつけたのはうちでしょ? だから俺は本当は紫綬褒章をもらえてもいいはずなんだよ(笑)。今の政権だったら絶対ないだろうけど。これがもっとマトモな政権になったら文化勲章をもらえるんじゃないかな(笑)。
──いつも「老いた自分は去るのみ」って言いつつ、新しいことを始めていますけど。
平野:テーマ主義者なんだよ。何か次のテーマがないと生きていられないの。今は、「ロックバーはあるけどロック居酒屋やロック喫茶ってないよな」って思って、そういう店を作りたいと思ってる。いい音楽を一人で聴いてもつまんない、人がいて同じ空間で聴くっていうのとは全然違うんだよ。映画だってそうだろ? 見たあとに今日の映画はどうだったねって話をするでしょ。そういう場を作りたいんだよ。音楽に詳しいお客さんがいたら、その人にレクチャーしてもらえばいいんだから。
椎名:そういうところは初期のロフトプラスワンと同じなんでしょうね。
平野:ひょっとしたらめちゃくちゃ流行ってチェーン展開とかしてさ、コメダ珈琲みたいになるかもよ。
──そしてロック居酒屋ブームが全国に起こって文化勲章をもらう、と。
ライブハウスと社会との関わり
平野:時代は若い人のものだから、自分が場所を作ってもあとは若い人に繋げていかないと意味がないと思っているわけ。
椎名:9.11でNYに行ったり、バグダッドに行ったり、3.11のあとに反原発デモをしたり、ライブハウスの本なのに社会運動の話も出てきますよね。
平野:ライブハウスっていうのは、社会と関わり合って生きているし、文化のるつぼなんだから。開店してライブやって終わりじゃなくて、そこからが始まりなんだから。自分たちも一緒に参加をしていくっていうのが大事で。だって、出演者は本を作ったり、音楽をしたり、アピールしたいことがある人たち、いわば運動者、活動者なわけですよ。そういう人たちとライブハウスも一緒に行動をしたいと思っていて、それが反原発デモだったり、下北沢の「Save the 下北沢」だったり、小倉あやまれデモだったり…いや、あれは違うな(笑)。他のライブハウスに言いたいのは、社会運動に参加しなくちゃだめだよって。儲けだけじゃダメ。自分たちも一緒に参加をしていくっていうのが大事で。だって、出演者は本を作ったり、音楽をしたり、アピールしたいことがある人たち、いわば運動者、活動者なわけですよ。そういう人たちとライブハウスも一緒に行動をしたいと思っていて、それが反原発デモだったり、下北沢の「Save the 下北沢」だったり、小倉謝れデモ…あれは違うな(笑)。他のライブハウスに言いたいのは、社会運動に参加しなくちゃだめだよって。ライブだけで終わってはダメって。
椎名:なんでそんなに儲けることに興味がないんですか?
平野:俺は中小経営者がよくやっているような、銀座のバーで一晩に30万使うとかできないんだよ、電車が動いているのにタクシーに乗れないし。もう貧乏人根性丸出し。
──今まさに、100円ショップのスリッパが壊れたのを両面テープで直して履いてますもんね。
平野:アハハハ(笑)。やっぱり会社を大きくするよりも、自分の会社で働いている人に安心して生活が送れるお給料を払いたいし。
──最高の経営者じゃないですか……!
平野:そうだよ。平野さん頑張ってきたんだから。でもこれだけは言いたいのは、今の俺はもう未来に属することは考えたくない。未来なんていいとこオリンピックまで。スポーツ観戦は趣味だから、「ニッポンチャチャチャ」だよ(笑)。オリンピックは日本が潰れようとも、断固やってほしいね。
──でも今後は作家になって、どんどん本を書くって言ってましたけど。
平野:それで、文学賞に投稿するの。今年の夏はまた100日以上をかけてピースボートに乗って世界旅行に行くから、船の上で恋の小説を書きますよ。そしてロフトブックス以外から本を出す(笑)。
──また断られちゃうようなら、大手出版社にデモしましょう。
平野:俺はもうややこしい話は嫌なんだよ(笑)。次の小説は誠心誠意書いて、賞に応募するんだから。
▲左から:平野悠、鈴木邦男、園子温
▲左から:加藤梅造、平野悠、鈴木邦男、枡野浩一、椎名宗之
▲左から:加藤梅造、平野悠、鈴木邦男、DJ急行、椎名宗之
本文中の写真:2017年7月18日、ロフトプラスワンで開催された『「TALK is LOFT 新宿ロフトプラスワン事件簿」刊行記念パーティー』より