ARBの創設メンバー、KEITHがオレンジ・ペコのドラマーとしてデビューしてから今年で40周年を迎える。これを記念して、ARBを敬愛してやまないニューロティカのアツシと新宿ロフトの呼びかけのもと『KEITH 芸能生活四十周年 誕生日だョ!全員集合』と題された一大祝賀イベントが来たる2月3日(日)に開催されることになった。
活動停止から7年を経てもなお僕らの魂を激しく揺さぶり続けるARBの珠玉の"WORK SONGS"が、KEITHの刻むリズムで息を吹き返す。それだけでも充分に嬉しいことだが、特筆すべきは実に30年ぶりに田中一郎(1977年の結成から1983年までARBに在籍)とKEITHが公の面前で共演を果たすことだ。となれば、この2人の邂逅に誌面を割くのは今も昔もARB広報機関誌を自称する本誌の使命。イベントの首謀者であるアツシとARB OFFICE代表の藤井隆夫を交え、今も色褪せぬARBの深淵なる魅力と特性について語り合ってもらった。(interview:椎名宗之)
一郎とまた一緒に演奏したくなった
──去年もKEITHさんの還暦祝いライブがロフトでありましたけど、今回のライブはどんな趣旨のもとに行なわれるんですか。
アツシ:去年はARBと同世代のバンドマンが集まるような感じでしたけど、今年はガラッと変わって出演者が僕と近い世代なんですよ。KEITHさんからも「あっちゃんと同じ世代の顔ぶれをチョイスしてくれないか」とオファーをもらって、僕がケータイのアドレスを知ってる人たちを中心に声を掛けさせてもらいました。有名人から優先的に(笑)。
──去年よりも若い世代と言っても、皆さんほぼ40代ですよね(笑)。
一郎:(宮田)和弥が46くらいだっけ?
アツシ:そうですね。この世代はいつまで経ってもロフトの若手と呼ばれちゃうんですよ(笑)。チョイスに関しては、有名・無名に関係なくARBのことが大好きなのが大前提ですね。
──KEITHさんと一郎さんが共演するのは、あっちゃんたっての希望で?
アツシ:いや、僕からは畏れ多いので、ここはもうKEITHさんにお任せして…。
KEITH:せっかくこんなイベントをやらせてもらえるなら、やっぱりARB最初期のメンバーである一郎と一緒にやりたいと思ってね。今年(2013年)がちょうどARBのデビュー35周年にあたる年でもあるし。
──KEITHさんと一郎さんはこれまでずっと連絡を取り合っていたんですか。
KEITH:いや、全く。
一郎:あれは1976年かな。僕がシンコー・ミュージックからオファーを頂いてバンドを作るっていう時に、まず最初にKEITHに電話して「一緒にやらないか?」って声を掛けたのがARBのそもそもの始まりだったし、その時の思いは自分が脱退した後もARBが解散した後もずっと記憶としてあったんだよ。KEITHとはジュンスカの森純太の結婚パーティーで一緒に演奏したことがあったけど、今まで共演したのはそれだけじゃない?
KEITH:あと、野音でやったロフトの存続イベントもあったよ。
一郎:俺は高橋まことと一緒にBOφWYのパートで弾いたから、一緒のパートではやってないよ。
藤井:アンコールの「LOFT 23時」で出演者が総出だったから、一応は同じステージに立っていたけどね。
一郎:そうだったっけ? オープニングで「LOFT 23時」をアコギで弾いて、(仲野)茂や(甲本)ヒロトが一緒に唄ったのは覚えてるけど…。
──それも1994年7月のイベントですから、かれこれ19年前の話になりますよね。
一郎:そう、まだザ・イエローモンキーがあまり知られてない時期だもんね(笑)。[編註:吉井和哉は田中一郎(g)、林田正樹(b)、高橋まこと(ds)という布陣でBOφWYの「NO. NEW YORK」を唄った]
アツシ:ARBが解散した後に、KEITHさんと僕がパワステに横道坊主を見に行ったことがあるんですよ。その時に一郎さんも見に来てて、お2人が会って、KEITHさんが「解散して初めて会ったよ」って言ったのはよく覚えてるんですよ。
一郎:FM長崎のディレクターの紹介で長崎にある活水女子大の文化祭に出て、そこから帰ってくるのがARBの国立代々木競技場のラスト・ライブの日だったんだよね。そのディレクターに「俺は行くけど、一郎は行く?」って訊かれて、「今はそういう関係でもないので遠慮しておきます」って答えた記憶がある。
──一郎さんがARBを脱退したのは1983年9月のことでした。
一郎:俺の最後のライブは『アッパーカット・ツアー』の福岡市民会館。翌日は台風で飛行機が飛ばなくて、みんなで一泊したよね。俺はその後、ツイストにいた松浦善博のライブのために大阪へ行ったのかな。
アツシ:僕が一郎さんのいたARBを最後に見たのは浦和の埼玉会館小ホールでした。「BLACK & RED」を久しぶりにやってくれて感激しましたよ。関東はあれが最後だったんじゃないですか?
一郎:いや、関東の最後は野音だね。『クレイジー・ダイヤモンズ』。
──サンハウスの再結成ライブですね。ARBと大江(慎也)さんが復帰したばかりのルースターズがオープニング・アクトを務めて。
アツシ:いずれにしても、このお2人の共演をファンとしてもう一度見たかったんですよ。しかも30年ぶりの共演ですからね。
KEITH:「誰と一緒にやるのが一番見たい?」ってファンに訊くと、「一郎と一緒にやってるのを見たい」っていう意見が統計上やっぱり一番多いんだよね。それもあったし、俺も純粋にまた一郎と演奏してみたいと思って。