中国の高速鉄道(中国版新幹線)が追突事故を起こし、高架橋から車両が落下するという大事故があった。高架橋から落下した車両の最前部をそのまま地中に埋めるという乱暴なやり方が衝撃映像として世界中に発信された。中国自慢の高速鉄道だったが、自動制御システムが作動しなかった可能性が強まり、安全についての対策は極めてお粗末だったことが露呈した。中国当局は、いったん埋めた車両を慌てて掘り起こして事故原因の究明を進める姿勢を示している。しかし、事故後1日半で通常運行を再開したことを見ても、中国の情報隠ぺい体質は根深いものがあるようだ。むろん、共産党による一党独裁政権が最大の元凶だろうが、今や、インターネットは瞬時にして世界を駆け巡る。日本のメディアもここぞとばかり、中国バッシング報道に熱を入れた。
しかし、福島第一原発は現在どうなっているのか。3号機などはいまだに高温化が続き、メルトダウンの状況すら確認できていない。原子炉という特殊事情があるにせよ、日本の東電や経済産業省の情報隠ぺい体質も中国を笑えないのではないか。3・11以降、原発事故による放射線の垂れ流しは無限に拡大しており、最近ではセシウムに汚染された藁を食べた肉牛にまで拡大。ようやく、全頭検査が実施されることになった。節電で「緑のカーテン」を作るために利用が増加していた腐葉土からも基準値を上回る大量のセシウムが検出された。
そんな中、経産省資源エネルギー庁が2008年から報道機関の原発関連記事を監視・チェックする事業を行っていたことが発覚。原発事故が発生した今年度は「ツイッター」やブログなどのインターネット情報を監視する補正予算が計上されたという。東電の広告費やマスコミ対策の予算は巨額であり、一説には2000億円。自民党に東電が巨額の政治献金を出していた事実も発覚したばかり。その上、インターネットにまで監視を広げるという国策は、中国の強権性とは違うにせよ、ソフト・ファシズムそのものだ。沖縄の普天間基地への事故の多いオスプレイ配備も最近まで極秘にされてきた。人命を軽視する国家なんて絶対信用するな!の教訓である。
▲高速鉄道事故の幕引きを急ぎたい中国政府は遺族に対する賠償金を標準50万元(日本円で約600万円)にすると発表。これは中国の平均年収のおよそ15倍にあたる。金で口封じをする当局のやり方に遺族の怒りが収まらないのは当然だろう。