早いもので今年もあと1ヶ月。明るい材料も先行きも見えない世相の中で迎える師走だ。帝国主義の本家・米国NYでは長期にわたる反格差運動が起きているし、EUのギリシャやイタリアの経済危機はドイツにまで波及しつつある。中東のアラブ諸国では反独裁の運動が激化しており、遂にイエメンにも波及した。むろん、円高株安に加えて、東日本大震災の復旧・復興も遅々として進まず、福島第一原発の冷温停止状況は、いまだに見通しが立たず、3号機では、大量の放射線量が計測されたばかり。いまだに、放射線量が高すぎて炉心の状態すら確認できていないのだ。
政権交代を果たした民主党3人目の野田総理が就任してから3ヶ月が経過した。野田総理の関心はTPP参加、普天間基地のアセス強行、BSE牛肉対策の規制緩和などの対米関係だけ。財務省のダミー総理として消費増税の道筋をつけ、米国との関係さえうまくいけば政権は安泰だと信じ込んでいるのだろう。さすが、松下政経塾出身者らしく商売の論理しか頭の中にはないのだろう。まず、最優先すべきは大震災と原発処理なのに、苦手な分野は関係閣僚に丸投げ状態で、本人が陣頭指揮を執る気配は全くない。事業仕訳での失敗で目先を変えた「政策仕訳」にしても、法的拘束力のないパフォーマンスにすぎない。普天間問題もそうだ。総理就任後、いまだに沖縄には一度も訪問もしていない。防衛大臣や外務大臣、沖縄担当大臣、政調会長らを次々に派遣するだけの使い走りだ。しかし、いくら関係大臣が沖縄を訪問しても、県知事、名護市長をはじめ、沖縄県民の総意は「辺野古新基地建設NO!」である。
しかも、米国では巨額の財政赤字を解消するために大幅な軍事費の削減が急務であり、米国議会内でも辺野古新基地やグアム移転に反対する声が強まっている。それどころか、米国の海兵隊はオーストラリアへ常駐する計画も進行中だ。それでも、辺野古新基地建設に執着する防衛・外務官僚が、米国議会内の動きすら満足に掌握せず、親米のつもりで辺野古新基地建設に依怙地になっている姿はあまりにも滑稽すぎる。
▲NYの反格差社会デモの背景には、19歳から20代前半の若者(ハイスクール卒、大学卒)の4割が職のないことに対して有効な対策を打てない政府への不満がある。オバマ大統領の再選戦略に大きく影を落とすと見られるこのデモには、オノ・ヨーコやマイケル・ムーアなどの著名人も賛同している。