民主党政権になってほぼ二年。野田佳彦が三人目の総理に選ばれてほぼ一ヶ月が過ぎた。政権交代で日本の政治も大きく変わるだろうという期待感はどんどん薄くなる一方だ。政権交代のマニフェストは有権者を欺くための方便だったとは思わないが、民主党内にも小沢一郎流の霞ヶ関改革や「国民の生活が第一」というスローガンを快く思わない、霞ヶ関官僚依存で親米派の抵抗勢力の連中が数多く存在していたということだろう。自民党政治家ならともかく、民主党内の大臣病患者の多さにも呆れるほどだ。悲しい現実だが、政治家たるもの国民や有権者の為に汗をかくよりも自分の権力欲や名声を優先する人種ということなのだろう。
野田新政権も御多分に漏れず、霞ヶ関依存を強め、親米迎合路線を明確にした。初の外交デビューとなった国連演説では、「日本の原発技術を世界最高水準に引き上げる」という官僚作文を読み上げ、今後の原発維持と原発輸出にまで宣言した。エッ、脱原発路線はどうした!? これじゃ、まだ菅直人の最後のあがきとして、脱原発で国民の意志を問う解散総選挙の方がマシだったのではないか。菅総理時代には霞ヶ関官僚が総力をあげて阻止したのが訪米によるオバマ大統領との会談。野田新総理誕生で何とか実現にこぎつけて米国へのすり寄り発言をしたものの、日米合意=辺野古新基地建設に早期のメドをつけるように要請されたり、TPP参加の決断を迫られたり、一方的な押しつけ外交だけで終わった。オバマ大統領自身が、米国議会と激しく対立したり、共和党の攻勢にさらされたりして保身のための焦りがあったのだろうが、野田総理の言う「日米関係が基軸」との言い分は、米国側を強気にさせただけだった。
玄葉光一郎外相と共に、米国で辺野古新基地建設に対して空手形を切った野田総理が沖縄にもやって来るという。しかし、野田総理と同時期に訪米して講演した仲井眞沖縄県知事は、新基地建設に反対して県外移設を強く要求したばかり。野田総理が沖縄に来ても、新基地建設問題が進展する可能性はゼロ。無駄足どころか、県民から「怒」プラカードを掲げられるような、歓迎されざる客であることは自明。無為無策もここに極まれり、だ。