民主党の混乱ぶりにはあきれ返る他はない。辞めて若い人にバトンタッチすると語った菅総理は、その後70日の会期延長を勝ち取り、当面は居座る魂胆のようだ。未曾有の原発事故は誰がやっても同じという醒めた見方があり、それが菅総理の首に誰も鈴をつけられない原因であると解説する向きもある。しかし、いまだに、仮設住宅の建設も瓦礫の撤去も、被災者への救援策も進んでいない。特例公債法案も二次補正予算もメドすら立っていない。政治的リーダーシップこそ急務だろう。原発を含めた被災者たちにすれば、政治や行政の不甲斐なさに対して怒り心頭に発しているはずだ。
それでも、菅総理は開き直ったせいか、最近はニヤケタ表情をよく見せる。沖縄を完全に米国に売り渡したというのに、「慰霊の日」にはのこのこ沖縄にやって来た。しかし、言うことは決まりきった「沖縄の基地負担軽減」だけ。沖縄県民で信用している人物はいない。世界一危険な米軍基地と言われる住宅密集地・普天間基地に欠陥機と指摘されているオスプレイを来年から配備すると米軍は発表した。ワシントンで開かれた先の2プラス2(日米安全保障協議委員会)では、沖縄県民の総意を無視して、辺野古にV字型の滑走路を作ることを正式決定した。決めたのはクリントン国務大臣、ゲーツ国防長官、北沢防衛大臣、松本外相の4人組である。沖縄県民が「NO!」と言っているのに、どうやって新基地を作るつもりなのか。日米の軍艦を総動員し、海兵隊員に機動隊員代わりの警備をさせて強行するつもりなのか。血塗られた新基地を作っても日米関係は崩壊同然だろう。日本の御用メディアはほとんど触れていないが、米国の次期バネッタ国防長官はグアム移転も辺野古移設も見直しを提案している。上院のケビン軍事委員長も国防予算の大幅見直しを迫っている。また、防衛官僚が米国へ秘かに飛んでロビー活動をするのだろうが、まさに亡国的防衛官僚どもと言う他はない。
▲沖縄の圧倒的な民意を無視した日米合意に対し、6月22日付けの『琉球新報』社説は「沖縄の基地負担軽減に逆行する合意は同盟関係の劣化にとどまらず、民主政治を蝕(むしば)む汚点として歴史に刻まれることだろう」と喝破している。