沖縄からの「核(書く)ミサイル」などと比喩的言い方を使って官邸や霞が関官僚の中央政府批判を続けてきたが、東日本大地震により派生した大津波、福島第一原発の壊滅的事故を思えば、まさに核ミサイルに直撃されたような瓦礫の山を出現させた。特に原発に近い、20、30キロ圏内は大地、空気、海、人体に至るまで放射線物質がバラ撒き続けられている。農産物や魚介類は長期にわたりほぼ壊滅状況だ。風評被害という言い方がされるが、「健康に害はない」などという政府の情報統制、東電のデマゴーグが信じられないためである。
原発は安全という神話を振り撒いてきた東京電力や通産省(現・産業経財省)、電事連、原子力安全委員、原発御用学者といった「原発利益共同体」はA級戦犯である。しかし、それを追及すべきメディアも東電から巨額の広告料をもらって懐柔されてきた。何を信じたらいいのか。結局、一番バカを見たのは、原発は安全という神話に騙されて、交付金や雇用機会に目を奪われて原発を誘致した自治体と住民である。今となっては、原発の街・双葉町の「原子力で明るい未来」という道路のアーチに掲げられた標語が虚しい。
こうした原発誘致と共通するのが、沖縄の米軍基地である。今でこそ沖縄県民は辺野古新基地建設に反対しているが、かつては補助金によって基地は地域経済活性化の起爆剤になると思われていた時代もあった。辺野古新基地建設対策のために、年間1000億円を10年間バラ撒く北部振興策を国がやった経緯もある。しかし、そのお金は無駄な箱物に形を変えただけで、地元経済に寄与することはなかった。本土企業が搾取して持ち帰ったためだ。そのことを沖縄県民も気付いたのである。
原発と米軍基地、人類の未来を脅かす危険な施設を作るために札束で頬っぺたを叩くという国のやり方は恥ずべき過去の失政として即刻封印すべきではないのか。
▲沖縄のアメリカ軍再編計画について記された最新のアメリカ側の文書で、日本政府が今年秋にもキャンプシュワブで大規模な工事に着手する方針だと報じる4月22日付の『沖縄タイムス』。枝野官房長官は「米側の実務者による推測だ」との認識を述べているが──。