中東のアラブ諸国が燃えている。チュニジア、エジプトに次いで、現在のターゲットはリビアのカダフィ大佐である。いずれも長期軍事独裁政権がインターネットの伝播力によって大規模な市民集会の渦を巻き起こし、死者の出る流血の惨事に発展し、諸外国からの批判と相俟って政権が崩壊するという市民革命につながっている。その影響力は北アフリカから中東全域のアラブ国家に及んでいる。今後もサウジアラビア、イエメン、バーレーン、イラン、イラク、あらゆる国に飛び火しそうな勢いだ。中東と言えば、石油の産出国が多く、その富を独裁者や国王一族が支配し、富める者と貧しい庶民の格差は歴然としている。これまで、30、40年もこうした前近代的政治体制が続いてきた方が異常だった。しかし、今やインターネット・メディアが中東の夜明けを切り開きつつある。新しいメディア・ツールが21世紀型の市民革命の起爆剤になることに期待したい。
翻って日本はどうか。有権者の過大な期待を受けて、我が国は前代未聞の政権交代を成し遂げた。合法的な市民革命と言っていい。しかし、この市民革命により、日本が大きく変わるという期待感はほとんど絶望的だ。特に対等な日米関係を掲げ、過重な基地負担を強いられてきた沖縄の普天間基地は県外・国外に移設するとの公約も雲散霧消しつつある。鳩山由紀夫前総理が、この普天間移設の挫折の真相として「沖縄海兵隊の抑止力は方便」だと告白して永田町に衝撃が走った。しかし、辺野古新基地建設を容認せざるを得なかった理由は、防衛・外務官僚の妨害、米国の圧力、霞が関に洗脳された沖縄関係閣僚がバラバラに県内移設を進めた結果であることも鳩山氏は率直に告白した。当時の総理大臣が日米両政府の圧力に負けて辺野古新基地建設を容認したことを告白したのである。鳩山氏が日米両政府の内幕を暴露したこと自体は大いに評価したいが、騙された沖縄県民は怒り心頭である。中東には遠く及ばずとも、沖縄県民も戦時下以来続く沖縄差別に対して、ロック魂でそろそろ直接行動すべき段階に来ているのではないか。立て! 沖縄よ。