年が明けたのに、日本社会は閉塞感に覆われており、若者から高齢者まで先行きの展望が見えない。その最大の要因は長期にわたる不景気感だろう。首都・東京でもそうだろうが、地方都市はもっと疲弊している。我が故郷である南九州は再び鳥インフルエンザの大量発生に加えて、桜島に次ぐ雄大な風景を誇示してきた霧島連山の新燃岳が爆発し、周辺一帯に噴煙と火山灰をまき散らした。まさに不景気に加えて天変地異の襲来である。そこで消費税アップを目論む菅内閣は時代の空気が全く読めていない。うまく逃げ出した東国原元知事は運のいいヤツなのだろう。
ところで、沖縄の成人式は毎年荒れるということで、東京からも週刊誌が取材にやって来る。今年も『週刊文春』が、「不肖・宮嶋」こと宮嶋茂樹カメラマンを送り込んで守礼の門の前で荒れる成人たちのおふざけ集合写真を掲載した。写真も下品だが、文章も浅くてオチョクリ文体。確かに沖縄の成人式が荒れた時期もある。しかし、メディアがそれを毎年煽り続けたことで、目立ちたがり屋の被写体側もその期待に応えようとノせられている部分があることを見ておく必要がある。
それだけではない。沖縄は全国一所得が低い。失業率は逆に日本最高である。学力も低い。若者は高校を卒業しても仕事がないのである。在日米軍基地の74%が沖縄に集中しており、さらに本島北部の辺野古に近代装備をそなえた新基地の建設を進めようとしている。学校で授業を受けていてもジェット機の凄まじい爆音が教室まで轟く。キャンパス内に軍用ヘリが落下した事件もあった。こういう社会で生きていかなくてはならない若者に対し、未来に希望を持てと言う方が無理筋というものだ。成人式が荒れるというのは、こうした希望の持てない沖縄社会に対する苛立ちや怒りが背景にあることをもっと理解すべきである。戦場にも出向く不肖・宮嶋カメラマンもそのくらいは分かるのではないか。始まった通常国会では、今日も菅総理が原稿を読み上げるだけの虚しい答弁を続けている。
▲枝野幸男官房長官兼沖縄担当相は先月沖縄を訪問したものの、米軍普天間飛行場の辺野古移設を推進する考えに仲井真弘多知事を始め沖縄側は冷ややかだ(写真は1月15日発行の『沖縄タイムス』)。