衆議院北海道5区の補欠選挙で自民党の重鎮として官房長官などの要職を務めた町村信孝氏が民主党新人候補に勝利した。前回の衆議院選挙において、この選挙区で勝利した小林千代美民主党議員が支援団体の北海道教職員組合から不正献金を受けていた事実が発覚したことで議員辞職。その補欠選挙の結果である。面白いのは、選挙結果を受けて、「政治とカネ」の問題が敗因であり、メディアも自民党などの野党も一斉に小沢国会喚問を求めている。検察審査会で起訴すべきと言う議決が出たのだから、議員辞職か離党せよと迫っているメディアもある。
しかし、これはおかしくないか。仮に検事役を務める弁護士の手によって強制起訴されたとしても、有罪が確定するまでは「推定無罪」が原則である。そうでなくても、司法のプロたちですら小沢氏を有罪にするのは困難だろうと見ている。東京地検特捜部が一年以上にわたり、秘書3人を逮捕してまで徹底的に捜査したにもかかわらず起訴できなかった事件であることを忘れていないか。それ以上に問題なのは、この検察審査会そのものが、謎めいた秘密主義の組織とシステムで運営されていることだ。そもそも誰が検察審査会に申し立てたのか。審査委員はどういうメンバーなのか。議決内容はどういう経過で決められたのか。なぜ民主党総裁選の当日に議決され、正式発表は菅総理による内閣改造後初の国政選挙である北海道5区の補欠選挙前だったのか。シロウト目にも突っ込みどころ満載の「事件」ではないか。
ところが、日米両政府や霞ヶ関官僚、官邸の小沢嫌いで知られる仙谷官房長官などに操られたメディアは「とにかく小沢を潰せ!」の一辺倒なのだ。それだけ、既得権益を守りたい守旧派連中にとっては小沢一郎の革命的霞ヶ関改革や政治主導は恐怖なのだ。小沢のいない民主党なら、霞ヶ関もメディアも安泰であることを知り尽くしているためなのだ。
強制起訴される以前から「潔白を主張したい」と述べていた小沢氏(写真は9月3日の朝日新聞夕刊)。さる10月27日には「起訴すべきだ」とした東京第5検察審査会の議決の執行停止などを認めなかった東京高裁決定を不服として、最高裁に特別抗告している。