夏といえば、まず思いだすのが「蚊」だ。いましがた蚊に噛まれたばかりなので、まさに夏といえば蚊なのだ。皆さんは蚊を退治するためになにを使っているだろう。電気蚊取り器やプッシュ式の防虫剤がもっぱらで、火をつける蚊取り線香を使う家庭は減っているのではないだろうか。まして「蚊遣り豚」(かやりぶた。豚の形をした、蚊取り線香を設置するための陶器)なんて昭和の映画やドラマでしか見たことがないという若者も多いだろう。
しかし、蚊取り線香のことは嫌いでも、蚊遣り豚のことは嫌いにならないでほしい。蚊遣り豚の一大産地は三重県の四日市市。ここでは蚊遣り豚の普及のため、毎年8月「アートな蚊遣り豚展」を開催している。僕はこれを見るため毎年、四日市へ通っている。
「アートな蚊遣り豚展」は蚊遣り豚を使ったアート作品展で、豚の口がシアトル系コーヒーチェーンのシンボルになった「ブターバックス」や、人口芝を貼ってゴルフ場を表現した「全ぶーオープン」、鏡をびっしり貼ってミラーボールに見立てた「サタデーナイトフィーぶー」、筋肉隆々の「ライザップ ~かとり違い~」、蚊遣り豚が骨だけになった「透けるトン」などなど、どれも発想の飛び方がすごい。そう、飛べねえ豚は、ただの豚だ。
15回目を迎える今年も8月6日(土)~8月28日(日)まで近鉄「四日市」駅前「じばさん三重」1F名品館にて開催。ぜひ憎き蚊をやっつける精鋭ブタ隊の雄姿を見届けられたし。
吉村智樹(よしむらともき)
吉村智樹(よしむらともき) 街ネタ好きな放送作家。最新著書は『ジワジワ来る関西』(扶桑社)。NTTのニュースサイト『いまトピ』にて毎週京都の珍スポットを紹介。。