YDOことヤスエでんじゃらすおじさんが昨年12月24日に発売した1stアルバム『東京』のリリース記念ワンマンライブが、4月1日(水)下北沢SHELTERで開催された。数々のバンド経歴と長い音楽キャリアを持ちながら、ソロではこれまで1枚もアルバムを出さなかった彼がようやく形にした傑作集は、‟令和の大滝詠一”と称されるなど話題を呼んだ。また昨年は、新宿LOFT、下北沢SHELTERとの共同イベントを1年間行い、毎回錚々たるゲストを迎え、12月に渋谷クラブクアトロで盛大なフィナーレを迎えた。アルバムリリースから約3ヶ月、新年度初日となるこの日は、開演時間を過ぎても入場の列が途切れないほど大勢の人が集まった。
ヤスエでんじゃらすおじさんBAND SETでおなじみのサポートメンバー、飯田裕(Ba / SEBASTIAN X)、カメダタク(Key / オワリカラ)、おいたん(及川晃治 / Gt / ex.東京カランコロン)、イトマン(Dr / ちくわテイスティング協会)、桑原渉(Tp / MUSQIS)と共にステージに登場すると、アルバムラストの「劇場」からスタート。哀愁のあるドラマティックな演奏で声を枯らし歌い上げる。アップテンポな「湯気」で会場を沸かせ、笹口騒音オーケストラのカバー曲「THE MAN WHO…」、「春獄」では淡々としたメロディーから混沌としていく演奏に心がかき乱された。
「昨年、音源を作っていろんな人との出会いがありました。『東京』ってタイトル勝手につけられたんだけど(笑)。リリースできてありがたいです」。温かみのある「婚前旅行」、トランペットの音色が寂しさを煽る「孤独と海」など、温度感がころころ変わるセットリストにサポートメンバーたちの表情も豊かに変化し、彼らの人柄や楽曲への愛情をライブを観る度に感じる。ヤスエが生み出す楽曲の良さと心揺さぶるボーカルはもちろん、サポートメンバーたちの人間味溢れる演奏がステージを盛り上げていることは間違いない。「黄金」など、2019年リリースのEP『春の訪れ』からも数曲演奏された。「もうたくさん曲があって、次のアルバムは傑作になると思います」と、ギターを置いて新曲「煌めき」を披露。「往年のタイの国民的歌手が歌い込んできた曲のイメージなんだけど、伝わらないか(笑)」。ギリギリの境界線を彷徨う「闇光」、そして名曲「東京」ではフロアから拳があがった。
ワンマンということもあってか、昨年のイベント時よりもまったりとした柔らかい雰囲気を感じつつも、アンコールラストの「終末論」では、壮大なサウンドと情景が浮かぶ孤独な歌詞に心がざわざわした。感動的な演奏に浸っている最中、急に現実を突きつけられるような鋭い瞬間が、毎回ライブのどこかにある。「『東京』というアルバムに別れを告げて次の旅へ出よう」。この日の「乾杯!」という締めの言葉は、ワンマンをやり切ったことだけでなく、次の旅路へ向けての祝杯のように聞こえた。完璧主義ゆえに1stアルバムを出すまでに十数年かかったそうだが、次作の完成はいつになるのだろう。楽しみに待ちながらヤスエでんじゃらすおじさんの新章に期待したい。
ヤスエでんじゃらすおじさん -1st Album「東京」Release oneman-
2026年4月1日(水)下北沢SHELTER
【SET LIST】
1. 劇場
2. 湯気
3. 泡
4. 春の訪れ
5. 魔法
6. THE MAN WHO…
7. 春獄
8. 初恋
9. 婚前旅行
10. 結燦々
11. 孤独と海
12. 黄金
13. 煌めき
14. 異世界
15. 闇光
16. 東京
en1. 再会
en2. 終末論














