ひとつの時代、ひとつの革命を実話を元にしてエネルギッシュに描いた、脚本・宮藤官九郎、監督・田口トモロヲで送る青春音楽映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』が3月27日(金)に全国公開となる。
音楽に賭けた若者たちの青春は、革命となった

1978年。わずか1年の間に、その後のロック・シーンに大きな影響を与えた若者たちのムーヴメントがあった。スマートフォンもSNSも存在しない時代、自分たちの音楽を、自分たちの手で届けようと、楽曲も録音スタジオもレコードもすべて自分たちで創り、新しい道を切り開いていく【D.I.Y.】のスピリットで音楽業界に風穴を開ける。メジャーしかなかった世界にインディーズというスタイルを生み出し、自主レーベルを立ち上げ、着席が常識だったライブにオールスタンディングを導入し、数多のバンドが集うロック・フェスを開催。いまや当たり前となったカルチャーの原点を築いたのは、カリスマでもスターでもない──ただ、自らの表現を信じて突き進んだ、若者たちだった。そして彼らが残した火種は消えることなく、日本の音楽シーンに計り知れない影響を与えていく──。
原作者である地引雄一はその自由で生のエネルギーに満ち溢れた異世界のような音楽シーン、それを『ストリート・キングダム』と称し、自著にまとめた(その“最終版”が映画の公開当日と同じ3月27日に刊行。詳細は
こちら)。

▲地引雄一の原作本『ストリート・キングダム 最終版 〜東京ロッカーズと80'sインディーズ・シーン〜』
さる3月21日、映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』のスペシャルトークイベント付き試写会がLOFT9 Shibuyaで行なわれた。
スペシャルトークイベントでは、本作の主人公のモデルとなった原作者の地引雄一、監督の田口トモロヲ、脚本を担当した宮藤官九郎が登壇。MCは、音楽プロデューサーであり、当時のカルチャーシーンを知る高木完が担当。さらに本作の主演のひとりである峯田和伸がサプライズで登場し、観客を沸かせた。製作の裏話や特に思い入れのあるシーンなど、ここでしか聞くことのできない貴重なトークを展開し、大いに盛り上がった。
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』スペシャルトークイベント付き試写会

【日時】2026年3月21日(土)17:30 開場|18:00 開演|20:10 終映|20:20- トークイベント開始
【登壇者(敬称略)】地引雄一(原作者)、田口トモロヲ監督、宮藤官九郎(脚本)、峯田和伸(主演)/ 高木完(MC)
映画上映後、会場から大きな拍手が鳴り響く中、MCを務める高木完の呼び込みで、本作の主人公のモデルとなった原作者・地引雄一、監督・田口トモロヲ、脚本・宮藤官九郎が登場。
さらに観客にはサプライズで主演のひとり、ユーイチ役の峯田和伸が姿を現すと、客席からはどよめきとともにひときわ大きな拍手が沸き起こり、会場の熱気は一気に高まった。

▲地引雄一
撮影現場に7回ほど足を運んだという地引は、本作を試写で初めて観た際の心境について、「実際の記憶と映像が重なり、不思議な感覚になった」と振り返る。自然と涙がこぼれる瞬間もあったと明かしつつ、「最終的には物語としてしっかり引き込まれて、すごくいい映画だと思った」と手応えを語った。

▲峯田和伸
一方、峯田はそんな地引について「柔らかくてとても話しやすい方」と印象を語り、「父親より年上なんですけど、友達のように感じられて。自分と近い感じがして(地引がモデルの役を演じることについて)“いけるかもしれない!”と思いました」と振り返るなど、和やかなやり取りに会場も頷きながら聞き入った。

さらに、地引が「一番心に残ったシーン」として挙げたのが、吉岡里帆演じるサチと峯田演じるユーイチが、レコードを手に夜の街を駆け抜ける印象的な場面。
高木から「実際にもあったんですか?」と問われると、地引は「いや、なかったですね」と即答し、会場は笑いに包まれる。
これを受けて峯田は「僕にとっても人生で初めて女の子と走った経験でした」と振り返りつつ、「あのシーンを書いてくれてありがとうございます」と宮藤へ感謝の言葉を伝え、宮藤も「あのくらいないとね(笑)」と返し、コミカルなやり取りに会場も盛り上がる。

続いて、田口監督が本作を映画化するに至った経緯へ。監督は「原作を読んだ瞬間、“次に撮るのはこれしかない”と思った」と語り、その想いから約11年の歳月をかけて完成に至ったことを明かすと、会場からは驚きの声が。「どう形にするか分からなくても、とにかく映画にしたい!と思って」と当時の衝動を語り、さらに「脚本は宮藤官九郎くんしかいない! と勝手に話していた」と振り返ると、地引も「夢のまた夢の話だと思っていた」と笑いを交えながら当時の心境を明かし、会場を和ませた。

▲宮藤官九郎
脚本を手がけた宮藤は、企画初期の試行錯誤に触れつつ、見学で訪れた撮影現場のエピソードを披露。仲野太賀演じる未知ヲのライブシーンとユーイチと間宮演じるDEEPの銭湯シーン、偶然にも“裸になる場面”ばかりを見学していたことを暴露されると、「裸が見たい人みたいになっちゃって(笑)」とユーモアたっぷりに語り、会場は大きな笑いに包まれた。


また、「ここまで本物にこだわるのかと驚いた」と振り返り、セットや小道具の徹底したリアリティにも言及。その言葉通り、本作では地引が提供した数百点に及ぶ写真をもとに、当時の空気感が細部まで再現されており、「映らない部分にまで作り込まれている」と登壇者たちも太鼓判を押した。
さらに地引は「一番すごいと思ったのはこれです」と語り、劇中で使用された小道具を披露。間宮祥太朗演じるDEEPが写るバンド「軋轢」のレコードと、実際にそのモデルとなったバンド「フリクション」のレコードを並べて紹介すると、その精巧な再現ぶりに会場からは感嘆の声が上がり、作品のこだわりの深さが強く印象づけられる場面となった。

▲FRICTIONの『軋轢』(左)と軋轢の『ATSUREKI』(右)の対比

▲峯田和伸と地引雄一
また、劇中に登場するミニコミ誌『ロッキンドール』の話題では、現代との共通点にも言及。
峯田は「今でも10代、20代のバンドはファンジーを作ったり、ミニ写真集を物販で売ったりしています」と語ると、高木も「40年以上前の話なのに、今に通じる部分がある」と共感。田口監督は「本当に好きなことを自分で自由にやっていいんだ、というパンクスピリットと、なければ自分で作ればいい、というDIY精神は今につながっている。YouTubeなどで自分で発信できるわけですから、そういうところで地続きでつながっていると思います」と語り、「だからこそ、あらゆる世代に観てもらいたいと思った」と作品に込めた思いを明かした。

▲田口トモロヲ
続いて話題はキャスティングへ。本作では“実際のミュージシャンが歌わない”という大胆なアプローチが取られている点について、峯田は「ハマケンくん(浜野謙太)も渡辺くん(渡辺大知)も、誰も歌わないんですよ」と明かす。これに対し田口監督は、「あえて俳優にミュージシャンを演じてもらい、それを目撃する峯田くん、という構造が面白いなと思って」とその狙いを語り、登壇者たちも深く頷きながら納得の表情を見せた。



イベント終盤には、それぞれが作品への想いを込めてメッセージ。
宮藤は「原作(3月27日に発売される『ストリート・キングダム 最終版 東京ロッカーズと80'sインディーズ・シーン』を買ったほうがい!」と一言。
田口監督は「長い時間をかけたからこそ、今のキャスト・スタッフでこの作品が完成した」と語り、「あとは劇場で自由に受け取ってほしい」と呼びかける。
峯田は「3年前に映画『アイデン&ティティ』の20周年記念イベントがここLOFT9だった(当時のレポートは
こちら)。その時にプロデューサーに『アイデン&ティティ』が大好きな人がいると紹介されたのが一緒に主演を務めた若葉竜也くん。その時はまさか若葉くんがモモヨを演じると思わなかった」と不思議な縁を明かし、「こうやって皆さんと一緒に話せて嬉しい。これがまた何かに繋がっていくんじゃないかと思います」と語りかけた。
さらに地引は、「この作品は今回の映画で大団円を迎えたと思う。この作品を観た人たちが新しい物語を始めてくれるじゃないかなという期待を持っています」と思いを明かした。

大きな拍手に包まれる中、イベントは幕を閉じ、作品の余韻とともに観客の期待感を一層高めるひとときとなった。
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』×コラボカフェ:CAFE9 Shibuya 開催情報

実施期間:2026年3月23日(月)〜4月24日(金)
〈コラボメニュー〉
「浅草六区」電気ブラン 600円
「PISTOL」黒コーラ 600円
「うめたて」ブルーバタフライピーソーダ 700円
「魔都」ペッパーハイボール 700円
〈フード〉
解剖室 豚もつのトリッパ 950円
ごくつぶし タラモサラダ 500円
新宿ロフト市松柄ケーキ(チョコ・レアチーズ)750円
商品情報
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』
峯田和伸 若葉竜也
吉岡里帆 仲野太賀 間宮祥太朗 中島セナ
神野三鈴 浜野謙太 森岡龍 山岸門人
マギー 米村亮太朗 松浦祐也 渡辺大知
大森南朋 中村獅童
監督:田口トモロヲ
原作:地引雄一「ストリート・キングダム」
脚本:宮藤官九郎
音楽:大友良英
企画製作・配給宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
©2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会
2026年3月27日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開!
【物語】
これは事実を基にした物語。1978年、偶然ラジオから流れたセックス・ピストルズに衝き動かされた青年カメラマンのユーイチは、小さなロックミニコミ雑誌「ロッキンドール」に出会い、とあるライブハウスへと足を運ぶ。そこで出会ったボーカルのモモ率いるバンド「TOKAGE」のライブに衝撃を受け、無我夢中でシャッターを押した。そこは音楽もバンドも観客たちも何にも縛られない生のエネルギーに溢れた異空間だった。正式にカメラマンとしてライブの撮影を依頼されたユーイチはモモたちと交流を重ねる。やがて彼らの音楽は瞬く間に若者たちを熱狂させ、そのムーヴメントは“東京ロッカーズ”と呼ばれ、日本のロックを塗り替えていく。世界を変えたのは、才能だけじゃない。音に賭けた、名もなき若者たちの衝動だった。
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