‟YDO"ことヤスエでんじゃらすおじさんが新宿LOFT、下北沢SHELTERとタッグを組み、今年2月からスタートした共催イベント『環ル日々』が12月11日(木)渋谷CLUB QUATTROでついにファイナルを迎える。まず、ヤスエでんじゃらすおじさんのプロフィールから紹介したい。2002年暮れより3ピースバンド‟ベルノバジャムズ"のVo.& Gt.として活動を開始し、即興音楽集団‟ちくわテイスティング協会"、‟かおてぃっくDEドウシヨウモナイ"、小銭喜剛(ex.ミドリ、ニガミ17才)と結成した‟わっしょいキヨシ"のほか、数々のバンドで活動。‟ヤスエでんじゃらすおじさん"名義のソロでのライブは弾き語り、またはバンドを率いて行われ、過去には大森靖子も参加するなど、活動形態は多岐に渡る。そして、12月24日(水)に1stアルバム『東京』をリリースする。これまでのソロ活動の集大成ともいえる、憂いを帯びたオルタナティブで壮大な楽曲を12曲収録。QUATTRO公演ではCDを先行発売する。
この『環ル日々』というイベントは、若くして他界したSHELTERのスタッフ(上里環)とヤスエとの縁から始まり、2025年2月より2カ月に一度、LOFTとSHELTER交互に錚々たるゲストを迎えて行ってきた。そのファイナルとなるQUATTRO公演にはLOSTAGEとPEDROを迎える。この一年を締めくくる特別な日に向けて、五味岳久(LOSTAGE)、アユニ・D(PEDRO)とそれぞれ対談を実施した(アユニ・D編は後日公開)。2人の出会い、お互いの音楽について、同じグルーブを感じるという2人の共通点、人との関わり方、1stアルバムのことなどを語ってもらった。(Interview:小野妙子 / Photo:タカギタツヒト)
‟ヤスエでんじゃらすおじさん”って誰やねん(笑)
──最初の出会いはいつ頃ですか?
ヤスエ:去年の10月にSHELTERでやった『環ル日々 VOL.0』(※『VOL.1』~の詳細はこちらを参照)というか、プレイベント的なので、五味さんとMUSIC FROM THE MARSでスリーマンやったんですよね。川本さん(SHELTER副店長)に誘ってもらったから直接は面識なかったんですよ。
五味:川本さんが「‟ヤスエでんじゃらすおじさん”って知ってますか?」って急に言ってきて、「全然知らないです」って。
ヤスエ:なんの話やねんみたいな(笑)。
五味:もう名前だけでクリトリック・リスみたいなの想像してて(一同笑)。そういうちょっと飛び道具系の人かなと。でも、「すごくいいから一緒にやってほしい」って言われたんですよ。MUSIC FROM THE MARSは知ってたんで、そやったら面白そうやなと思って。共通の知り合いとかに聞いても、みんなヤスエくんのこと知ってて、いいって言うし興味あったんで、ライブハウスで初めて音楽聴いたっていう感じですね。
──そこから今年の企画にどう繋がっていったんですか?
ヤスエ:あのイベントをやって、改めて柳沢さん(新宿LOFT店長)と、川本くんと飲みに行ったんですよね、三軒茶屋に。
五味:仲良いな(笑)。
ヤスエ:仲良いんですよ(笑)。飲みに行って、1年間企画をやろうって。はじめはSHELTERとLOFTで毎月やろうって言ってたんですけど、今思えば絶対やめてよかった(笑)。それで2ヶ月に1回になったんです。流れとしては、音源を今までずっと出してこなかったんですけど、1回出した時に、川本くんとか周辺の人たちがちゃんと反応してくれて、「ああ、これ出した方がいい」って思って出し始めたんですよ。それで、出す理由が欲しくて川本くんとかと、「1年間企画をやってアルバムを作りましょう」みたいな目標を立てて1年動いたっていうのが、この企画のスタートだった気がします。
──五味さんは上里さんと面識はあったんですか?
五味:知ってる。沖縄で会ったかな? でも、イベントに呼んでもらったとかじゃなくて、なんかたまたま同じ街にいて、共通の知人がいたんで、紹介してもらって一緒に飲んだみたいな感じだった気がする。
──去年の『環ル日々 VOL.0』以降は共演はされていないんですか?
五味:1回だけやったっけ?
ヤスエ:そうですね。それ以外にも僕がライブ観に行ったりとかはしてました。あの日、SuiseiNoboAzの石原(正晴)くんとかも来てたんですよね。「なんかやろうぜ」みたいにフワッと盛り上がったんすけど、結局無くなっちゃって。それで、年末にご出演いただける機会をいただいたんで、改めてバンドでできるっていうのは、めっちゃありがたいなと思ってますね。前回は五味さんはソロで弾き語りだったんで。弾き語りもよかったけど、やっぱLOSTAGEとやりたいっていうのが前からあったから、今回実現してよかったなと思ってますね。
五味:多分メンバーも「‟ヤスエでんじゃらすおじさん”ってなんやねん」って思ってる(一同笑)。誰やねんて。
ヤスエ:メンバーもクリトリック・リス思い浮かべてますよね今(笑)。
五味:「すごくいいから」とは言ってるんですけど。SHELTERで一緒にやってすごいライブもよかったし、曲もよかったし。クアトロでやるって攻めてるっていうか、普段の感じじゃない、特別な日じゃないですか。そういうところに呼んでもらったっていうんで、そやったらね、花添えるみたいなことができたらいいかなって思ってます。
──お互いの音楽の印象はいかがですか?
ヤスエ:僕はもう昔から音源は聴いてるんですけど、僕がLOSTAGEの好きなところは、五味さんの声がどこまでも子供っぽいところ。これ褒め言葉ですよ?
五味:俺も思う(一同笑)。
ヤスエ:普段しゃべってる感じと全然違う無邪気さが凄まじくあるし。音楽も当然ね、オルタナティブなのかハードコアなのかっていうところの音楽性はすごい感じてるし、もともと自分はそういうのが好きだったから。なのに歌がちゃんと根底のど真ん中にめっちゃあるっていう、オルタナティブバンドとしての立ち位置がすごくオリジナリティがあるところがめっちゃ好きですね。昔から歌が聞こえてくるバンドが共通して好きなんですよね。それはポップスも全部含めで。
五味:ありがとうございます。俺は、曲がとにかくいいなと思って。最初にその名前聞いた時の先入観みたいなのがあったんで、そこからのギャップみたいなものが多分、ぐっと入ってくる導入になったっていうか。それで改めて曲聴いたら、すごいどの曲もいいなと思った。YouTubeに上がってる弾き語りの映像とか結構見たりしてたんですけど、LOFTのBarでやってるやつとか。今度のアルバムの音源も聴かしてもらって、曲がとにかく全部よかったですね。ボーカルについても、今自分が言われたようなこと思いましたけどね。
ヤスエ:おお、本当ですか?
五味:見た感じこういう人が歌ってる感じの声じゃない。いい声やなと思って。僕とはちょっと違うタイプの歌かもしれないですけど。独特の揺らぎがあるっていうか、繊細さみたいなのも感じました。
















