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INTERVIEW

トップインタビュー地引雄一 - 東京ロッカーズを起点とするインディーズ黎明期を克明に記録した40年前の自著『ストリート・キングダム』が18年ぶりに復刊。閉塞した時代の中で自分だけの音を鳴らすこと、自分の踊り方で踊ることを絶えず実践してきた先駆者による最後の伝言

東京ロッカーズを起点とするインディーズ黎明期を克明に記録した40年前の自著『ストリート・キングダム』が18年ぶりに復刊。閉塞した時代の中で自分だけの音を鳴らすこと、自分の踊り方で踊ることを絶えず実践してきた先駆者による最後の伝言

2026.04.28

元にいた場所へなぜか引き戻されてしまう

──写真撮影、イベント企画、レーベル運営、文章執筆、雑誌編集と八面六臂の活躍を続けてきた地引さんですが、最も楽しい表現はどれですか。

地引:やっぱり写真じゃないかな。文章を書くのは一番苦労するので物書きにはなれない。

──自身で撮影した写真で思い入れが強いのはやはり東京ロッカーズの時代からテレグラフ発足の頃が多いですか。

地引:その時代に限らないね。福島の農村の写真も好きだし、『EATER』時代に撮影したもので好きなのも多い。ここ4、5年、ずっと自宅で昔の写真をネガからスキャンしてデータ化していて、3年くらいかけて80年代の写真をほぼデータ化できた。今は日本中を放浪していた時代や『EATER』時代の写真のデータ化に取り掛かっているんだけど、『EATER』の頃に撮ったポートレートに気に入っているものが多いね。レックとか、吉祥寺の駅前で撮った大友(良英)君とか。

──今回の映画も、地引さんが48年前の写真をしっかりとデータ化していたことが製作に大いに役立ったのは間違いないですね。

地引:600枚くらい資料として製作会社へ渡したからね。こうしてデータ化しておけば、さっき言ったみたいにいろんな所へ写真をばら撒ける。自分が撮ったことは別にどうでも良くて、その写真があちこちへ広まって何らかの形で世に出たりするのが面白い。その在り方自体が一つのコンセプトアートみたいな感じっていうか。

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▲『DRIVE FROM 80s』メインビジュアル(デザイン:河村康輔)

──今月末には映画の上映、原作本の再刊と続いた80'sインディーズムーヴメント・リバイバルの総決算と言うべき『DRIVE FROM 80s』が新宿ロフトで行なわれます。今回は地引さんと高木完さんによる共同プロデュースですが、当初から映画と連動して開催しようと考えていたんですか。

地引:というか、ロフトの(加藤)梅造君がぜひやりましょうと言ってきたので。ゼルダ(劇中名:ロボトメイア)のシーンを撮影したロフトで「来年はロフトが50周年なのでぜひ」と言われてね。最初はもっと映画寄りというか、映画の公開前に開催して、そこへ役者の人たちにも顔を出してもらう内容を考えていたんだけど、純粋な音楽イベントの形に落ち着いた。

──1999年に行なわれた『DRIVE TO 2000』、2009年に行なわれた『DRIVE TO 2010』、2016年に行なわれた『DRIVE TO 2100』と比べると、1979年に行なわれた『DRIVE TO 80s』に寄せたラインナップと言えますね。

地引:そうだね。映画の公開記念を兼ねているので、最初のコンセプトとしては映画のモデルになったバンドをやっていたミュージシャンに出演してもらおうと考えた。でもそれは現実的に難しくてね。リザードはモモヨがステージに立てる状態じゃないし、レックは「楽しくなきゃやらない」って言っているし(笑)。

──ゼルダも難しいですよね。

地引:せめて招き猫カゲキ団でも……と思ったけど、小嶋(さちほ)さんは沖縄で、(髙橋)佐代子ちゃんは熊本とタイを行き来しているからね。じゃがたらも動いているけど、OTOがお茶畑の収穫のシーズンで難しいみたいで(笑)。そんなことがいろいろとあって、まずは『DRIVE TO 80s』に出ていた人たちに完ちゃんと手分けして声を掛けようと。『DRIVE TO 80s』に出演していて、今なお現役で音楽をやっている人たちに。面白いことに、一番元気なのは最年長のS-KENなんだよね。来年で80歳になるのに(笑)。

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▲1981年8月25日に行なわれた『FLIGHT 7DAYS』(撮影:地引雄一)

──パンク/ニューウェイヴの先駆者ですから、昔の看板を背負って立つような懐古的な表現とは無縁な顔ぶればかりですよね。

地引:みんな第一線でやっているからね。『DRIVE TO 80s』の面々にまず声を掛けて、その後に1981年にやった『FLIGHT 7DAYS』の面々に声を掛けようと思っていたら、『DRIVE TO 80s』に出ていた人たちだけで一杯になっちゃってね。みんな快諾してくれたおかげで。本当は『DRIVE TO 80s』で東京デビューを果たしたスタークラブにも出てほしかったんだけど、移動費とかのことを考えて諦めた。

──では、来年は『FLIGHT 7DAYS インディペンデント レコードレーベル・フェスティバル』のアップデート版の開催をぜひお願いいたします(笑)。

地引:もう体力が持たないよ(笑)。10年前にロフト40周年ということでやった『DRIVE TO 2100』が僕としては最後のイベントにするつもりだったのに、なぜかこうして引き戻される。『EATER』が止まった後はホラー映画の本を作ったり、『BURST』でディープな人生を送る女性のレポ連載をしたりとロックとは別の仕事をしていたのに、『ストリート・キングダム』を復刊する話を突然もらってね。それ以降、『DRIVE TO 2010』をやりましょうとサエキ(けんぞう)君に提案されたり、ディスクユニオンからテレグラフの再発をしたいと申し出があったり、『EATER』の総集編を出したいとリクエストをもらったり……元にいた場所へなぜか引き戻されてしまった。『DRIVE TO 2100』の後に体調を崩して体力がだいぶなくなってしまったので、のんびりと余生を暮らそうと思っていたら今度は映画の話が舞い込んで。面白いものだね。

新宿ロフトで行なわれる『DRIVE FROM 80s』は“DRIVE”シリーズの集大成

──今回の『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』という映画、『ストリート・キングダム〈最終版〉』という著作は、地引さんにとって人生の総決算と言えますね。

地引:『ストリート・キングダム〈最終版〉』のあとがきにも書いたけど、70年代末期から動いてきたわれわれのインディーズ・シーンの物語がいよいよ大団円を迎える時が来たんだなという思いが強い。この先は次の世代の人たち、あるいは世代の近い別の人たちが新しい物語を作っていくんだろうなと思う。それだからこそ、僕らの過ごしてきた一つの時代の物語をしっかりと残しておきたかった。この歳になると映画の反響がどうとかはあまり考えなくて、自分たちのやってきたことを如何に残すか、どう伝えていくかを真剣に考える。時間は限られているからね。本当はやりたいことがまだあるんだよ。フリクションだけでなく、リザード単体の写真集も出したいし、noteに載せたミチロウのインタビューも一冊の本にまとめたい。昨今の価格高騰、物流費高騰で本を作るのも大変みたいだけど、その中でやれることを考えたいね。

──昨年リリースされたあけぼの印の38年ぶりの新作もテレグラフからでしたし、レーベル事業も完全にストップということではなさそうですけど。

地引:いや、レーベルはもうあれで最後。ただ、オートモッドの新作(『In The Wake Of KING AUTO-MOD』)が7月にディスクユニオンから出るんだけど、それは“TELEGRAPH II”というレーベルからのリリースなんだよ。ジュネから相談を受けていたし、ディスクユニオンの担当の人とも話をしていたんだけど、個別に話していたことが一つになったみたいで。僕は制作にはノータッチで、ディスクユニオンとしてはテレグラフの名前を継いでリリースしていきたいそうだけど、プロジェクトとして成立するかどうかまではわからない。

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▲1981年8月25日に行なわれた『FLIGHT 7DAYS』(撮影:地引雄一)

──テレグラフの最初のリリースもオートモッドの7インチでしたし、不思議な巡り合わせを感じます。自分の音を鳴らすこと、自分の踊り方で踊ることの大切さを伝えるという意味で、映画も原作本も、そして今度の『DRIVE FROM 80s』も、若い世代にぜひ触れていただきたいですね。

地引:そうだね。若い人たちに伝わらないと意味がない。あの時代を知る人たちが映画を見てもう一度元気になったり、生きるエネルギーを補うのも大切なことだけど、それ以上に若い世代の生き方に火をつけることが一番意味のあることだと思う。いろいろと大変な時代だとは思うけど、どんな時代でも困難なことは付いて回るわけだからさ。まあ、僕らの時代はお金の心配はあっても何とかなったからラッキーだったのかもしれない。その点で今の時代は物価高も止まらないしキツいよね。あと、昔は“ドロップアウト”という言葉が社会の規範から外れて新しい道を自分で切り拓くというポジティブな意味で使われていたけど、最近は落ちこぼれと同義語になってマイナスの意味で使われているでしょう? その点だけでも世の中が凄く変わった気がする。若者は既成の価値観や権威に反発するのが当たり前、自分だけの音や踊りがあって当たり前だったのに、今や何かを批判すること自体が良くないという風潮がある。でもそんな閉塞した時代に自分らしさを貫き通す、どれだけ自分だけの道を模索していけるか、そのヒントみたいなものが特にあの映画の中にはあるんじゃないかな。昨日、映画を見た若い男女がポッドキャストで『ストリート・キングダム』について話しているのを聴いたんだけど、90年代生まれだというその女の子が好きなバンドとしてガセネタを挙げていたんだよ(笑)。映画の波及効果がちゃんとあるんだなと思ったし、『ストリート・キングダム』が映画になった価値があるなと感じた。

──なかなか引退できませんね。映画の公開によって巻き込まれ事故がこの先もまだ続くでしょうし(笑)。

地引:映画のほうがようやく一段落したので、まずは『DRIVE FROM 80s』のアピールをしないとね。昔撮ったバンドの写真をSNSで出しながら情報発信に努めようと思っている。いずれにせよ今回が“DRIVE”シリーズの集大成になるはずなので、3日ともぜひ楽しんでもらえたら嬉しいね。

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書籍『ストリート・キングダム〈最終版〉東京ロッカーズ80'sインディーズ・シーン』

著・写真:地引雄一
仕様:A5版・全360ページ(内、写真135ページ)
価格:3,600円+税
ISBN:978-4-909856-34-0
全国書店発売:2026年3月27日(金)
刊行:SLOGAN / indies press

【内容】
1970年代の終わり、ロンドンとニューヨークから始まったパンク/ニューウェイヴのムーヴメントは日本にも伝わった。カメラマンの地引雄一は、東京のライブハウスでこのインディーズカルチャーが生まれる瞬間に立ち会って衝撃を受け、写真を撮るだけでなく『Drive to 80s』などのライブイベントを企画し、主宰する「テレグラフレコード」から新しい音楽を発信した。このインディーズ・シーンの中からは、リザード、フリクション、ミラーズ、S-KEN、Mr.カイト、NON BAND、スターリン、ゼルダ、じゃがたら等、後に伝説化されるバンドがいくつも登場した。書籍『ストリート・キングダム』は、そのシーンを体験した地引が著した唯一の記録本である。
2026年3月、本書『ストリート・キングダム』を原作とした、田口トモロヲ監督の映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』が公開。1986年初版『ストリート・キングダム 東京パンク/インディーズ・シーンの記録』(ミュージック・マガジン刊)、2008年改訂版『STREET KINGDOM 東京ロッカーズと80'sインディーズ・シーン』(K&Bパブリッシャーズ刊)と更新され続けてきた本書が、この映画公開を機に写真を選び直し、新たな資料やテキストも加えた決定版の『ストリート・キングダム〈最終版〉東京ロッカーズと80'sインディーズ・シーンの記録』としてSLOGAN / indies pressから刊行された。

LIVE INFOライブ情報

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SHINJUKU LOFT 50th ANNIVERSARY|DRIVE FROM 80s
【開催日程】
2026年4月30日(木)、5月6日(水・祝)、5月7日(木)※3DAYS
 
【会場】新宿LOFT
東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 タテハナビルB2
 
【出演】
4月30日(木)OPEN 18:00 / START 18:30
《メインステージ》
ヒカシュー
ノンバンド
ホンノマジカナハル[ヒゴヒロシ(b, vo)、ラピス(gt, vo)、藤掛正隆(dr)]、ゲスト:ヤマジカズヒデ
戸川純[中原信雄(b)、矢壁アツノブ(dr)、山口慎一(synth)、ヤマジカズヒデ(gt)]
《サブステージ》
コンクリーツ
N13
kummy(ex.Boys-Boys)
たぬとわ
 
5月6日(水・祝)OPEN 15:30 / START 16:00
《メインステージ》
s-ken&BimBamBoom、ゲスト:町田康
オートモッド
突然段ボール
リザード・トリビュートバンド[宙也(vo)、Yukino(gt)、岡村静良(key)、岡本雅彦(b)、ナカムラキヨシ(dr)]
SHE TALKS SILENCE
《サブステージ》
「リンゴリラのサブステージ大作戦!」
リンゴリラ(ex.あけぼの印)、ゲスト:JON(犬)、シルエット近藤
 
5月7日(木)OPEN 18:00 / START 18:30
《メインステージ》
捏造と贋作
立花ハジメ+Hm
Here is Eden(秋山勝彦+泉水敏郎)
LUVHOTELS
《サブステージ》
AOIZO
 
DJ(全日出演)
高木完
 
【チケット】
1日券 前売5,500円 / 当日6,000円(共にドリンク代別)
3日間通し券 15,000円もあり
[発売]イープラスでチケット発売中
 
【主催】
 
【企画プロデュース】
 
【メインビジュアル】

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