出待ちはゼロ!? 音楽でモテたり儲けるよりも、好きなことをやりたい
──大学のサークルのメンバーで結成されたバンドって、卒業や就職のタイミングで活動が難しくなったりはしなかったですか?
吉田:普通だったら誰か「辞めよう」って言うと思うんですけれど、誰も辞めるって言わなくて。それでまだ続いている感じですね。
澤部:僕らの世代になってくると、働きながら音楽活動をやるのはスタンダードだったんじゃないかな。
吉田:そんなにメジャーな活動を、最初から考えていなかったというか。秋葉原GOODMANで一緒に出演したかっこいいバンドと、今度は対バンしたいというような気持はありましたけれど。たとえば『ミュージックステーション』みたいな音楽番組は別世界だと思っていたので。
──でも『エピタフ』(2015年)をリリースされてからは、渋谷TSUTAYA O-nestでワンマンライブを開催されたり、『FUJI ROCK FESTIVAL』にも出演されたりと順風満帆な活動をされているように思えますが……。
吉田:その時はちょっと、もっと何かあるかな……って思っていましたけれど。でもバンドのどういう部分をどうすれば偏ったメジャーシーンに入られるのかとか、どこを変えれば一般受けできるのかっていうことをやってこなかった。バンド側で世間に合わせるようなことをしてこなかったというか……。むしろ僕らがそのまま好きでやっていることを好きになってくれる人もいるんだなって感じですね。
──澤部さんは、音楽活動で辞めたくなったりはしなかったですか。
澤部:ないですね、と言うと嘘になるかもしれないけど(笑)、僕も楽しくやっていますよ。僕の場合は音大に入ったので、ゆくゆくは音楽で食えると良いなって思って活動してきた。それが2024年7月5日(インタビュー日)現在は食えているっていうだけの話ですね。
トリプルファイヤー
──目標としているミュージシャンとかいたりしますか?
澤部:僕はムーンライダーズとかスパークスが凄く好きなんですが、彼らは60代で凄くかっこいいアルバムを出しているんです。それを見て、「自分もこうなりたい」って思った。そのアルバムを聴いた当時、僕はまだ20歳くらいだった。でも音楽をやるって決めたら、長く続けられるようにやらなきゃいけないって、大袈裟に言うと決意しましたね。60歳になった時に「もっとがっつりヒットを狙うべきだった」とか後悔するかもしれないけれど(笑)。今はとても楽しくやれていますね。
──長く活動をするっていうのが、一番難しいかもしれないですね。
澤部:正直、音楽で一発当てたいとか、音楽でモテたいっていうような欲求って僕に関してはないんですよ。
──モテるという意味で言うと、今回のライブ会場である新宿LOFTはバンドブームなどの頃は、出待ちとか凄かったらしいですよ。東京インディー三銃士も大変なのではないですか?
澤部:トリプルファイヤーとミツメに関してはわからないけれど、スカートにはいません!(笑)
吉田:うちもないですよ。
──トリプルファイヤーもスカートもサブスクリプションで楽曲を配信されています。配信によって、新たなファン層が広がったというようなことはありましたか?
澤部:僕に関しての話だと、配信のおかげって思う部分と、まだ効果がわからない部分がちょうど半々。なぜかって言うと、PUNPEEとのコラボ曲の「ODDTAXI」(2021年)が、国内だけではなく、海外でも聴かれているって言われると確かにCDでリリースをしただけだったら広がらなかったことだなって思う。でも「学生の頃、サブスクで聴いてコピーしていたんだけれど、今日やっとライブを観に来られたのでCDください」っていう人もいたんです。だから両方の意義はありますよね。僕はジャケットも込みで音楽だと思っているから、本当はサブスクではなくCDを買ってもらいたいけど。
吉田:アルバムが今月出るんですけれど、サブスク配信も同時にする予定なんですよ。これまではただサブスクに楽曲を上げているだけだったから、もうちょっとプレイリストを作ってみるとかサブスクの戦い方をやってみようかなって思っています。どうなるかわからないですけれど(笑)。
澤部:僕らも手探りですよ。サブスクに対しては。