見えないところで何が行なわれているかを注視すべき
遠藤:島さんは伊藤耕さんの裁判もやっていて。耕さんは刑務所で亡くなられたんですが、そのときの刑務所の酷い対応に対しての裁判。正式には…。
島:国家賠償請求訴訟っていう裁判。公務員の行為によって損害が発生した場合、国に対して賠償請求するっていう仕組みになってるの。目の前にいた公務員の判断ミスによって損害が発生した場合、あるいはそいつがどえらい悪い奴でそいつの嫌がらせで損害が派生した場合でも、損害賠償する相手はそいつ個人じゃなくて国なのね。
ISHIYA:ほー。うんうん。
島:個人は責任を負わない。まあ、それは良し悪しなんだけどね。
ISHIYA:俺からしてみれば、耕さんは懲役があるわけで。懲役あれば死なねえって、むしろ安心してたから。友達とかでも懲役あるなら最悪こいつは死なないなって、諦めからくる安心というか。それが崩れちゃったんですよ、耕さんの事件で。
島:酷い腹痛を訴えたのに放置された結果、のたうち回りながら次の日に亡くなってしまった。あまりにも酷い対応だよね。適切な対応は全くされてなかった。
ISHIYA:中ではそういうことが常識だってまかり通ってるんだろうね。
遠藤:密室の怖さ。国がそれをやってるんだからね。
ISHIYA:なんか、言い方は悪いかもしれないけど、耕さん、命を懸けてそういうことを伝えた気もする。
島:法律の世界だと、そういうのを排他的支配下って言い方をするんだけど、結局、排他的に支配されてる空間でね、自分の意思で病院に行くこともできないし、自分で自分を守ることもできないわけだから、当然支配している側が、その人の健康だったり命を守る義務があるよね。
ISHIYA:それこそ憲法でそう決められている。
遠藤:誰にだって人権はある。
ISHIYA:それこそ一つの政権が長く続きすぎてナァナァになった。自民党が長く続いた弊害だよ。
島:そうなんだよね。で、もっと言うと、どんな政党による政治が行なわれていようが、国民の意識が変わっていかなきゃいけない。
ISHIYA:うん。そこが一番デカいですよね。
島:見えないところで何が行なわれているか、社会がどんな社会なのかっていうことに、国民が意識を持たなきゃいけない。その根本的な問題提起を、この裁判を通してしていきたい。
ISHIYA:いいですね。素晴らしいですね!
遠藤:島さんが弁護人で、ロックの人が弁護人で良かったー、やったー! って思いましたもん。
島:俺としてもね、やらせてもらえるのはありがたいよ。
ISHIYA:1回目の傍聴に行ったけど、また行きますよ。
島:うん。来てよ。ただ当分オープンの場所ではやらないけど。公開法廷になったらどんどん来てよ。たくさんの人がこの裁判を注目してるんだって思わせなきゃ。
ISHIYA:行きますよ。入れない奴は表で大騒ぎして。
遠藤:そうやって集まるってことにも、日本人もだんだん慣れてきたしね。
ISHIYA:国会前とかも。絶対、中に聞こえてるから。俺らは島さんと違って、島さんは中で真正面から闘う、俺らは外から立ち向かっていく。中と外で闘う。全部が同じやり方じゃなくていい。違うやり方でも同じ方向に向かってる奴がいる。至るとこにいる。それは海外も日本も関係ないから。それはハードコアから教わって実感してる。ハードコアはそうやってつながってるから。
遠藤:前にLess than TVの谷ぐち(順)さんにインタビューしたとき、「アンダーグラウンドは上じゃなくて横を見る」って言ってて。いいこと言うなあ、って。
ISHIYA:まさにそう! アンダーグラウンドは横を見れば世界中とつながれるんだよ。オーバーグラウンドもさ、メジャーの奴らとか、ましてやインディーズの奴らとか、何を怖がってるんだっていう。言いたいことないの? っていう。アンダーグラウンドやハードコアはつながってるからね。何も怖くない。だからホントはさ、音楽ってのはすごい役立つんだよね。
島:そうだね。ロックの役割だよね。ロックの出番。
ISHIYA:どんどんノイズを出していく。やかましくしていかなきゃ。