集結から1週間で2曲のMVを制作
──ユニット名にはどんな意味が込められているのでしょう?
Dr.Usui:DISCOMPOの“COMPO”は“構成する”、“組み合わせる”という意味で、反対の動作を示す接頭辞の“DIS”が付くことで“組み合わない”という意味になるし、“合わない”、“会わない”といったニュアンスのネーミングが今のコロナ禍の時代に合うと思ってユニット名にしたんですよ。それにDISCOMPOから派生した“DISCOMPOSE”という言葉には“心の落ち着きを失わせる”、“不安にさせる”という意味があって、DISCOMPOが始動したコロナ真っ只中の心の有り様を表しているように思えたんです。コロナ禍前からDISCOMPOという言葉は頭の片隅にあったんですけど、今になっていろんな意味合いが込められていることに気づいたんですよね。
──DISCOMPOは世のバンドの多くがコロナ禍で活動を制限されるのを逆手に取って、オンラインでやれることをやるというポジティブさがいいですよね。コロナ禍の今だからこそやれることを敢えてやってみようという気概が感じられて。
名嘉真:「Boys, Boys, Boys.....」のMVはZOOMを利用して作りましたし、ZOOMを使ってリモートで演奏する人もすでに結構いましたからね。その手法でどうにかして作品らしく見せようというのは4人でいろいろと話し合いました。
──「Boys, Boys, Boys.....」のMVにはDISCOMPOの結成式に参加した観覧者の方々の画面映像も織り交ぜられていて、オーディエンスを巻き込みながら面白いことをやっていこうというスタンスが窺えますね。これを見ているあなたもまたDISCOMPOの一員なんだというような。
Dr.Usui:いろんな人たちを巻き込んでいくのは意識してやっていきたいですね。オンラインでこの先どうやって巻き込みの輪を広げていくかが課題ではあるんですけど。
──「Another Century」のMVはクラフトワークみたいに横並びの4人がバーチャルのステージで演奏するものですが、「Boys, Boys, Boys.....」も「Another Century」もまず楽曲自体がすごくいいんですよね。メロディアスかつダンサブルで、先ほどUsuiさんが話していた4つ打ちのエレクトロポップを現代風にアップデートするという試みがすでに理想的な形で提示されているように思えましたが。
Dr.Usui:2曲ともMOTOCOMPOの後期に作ってあった曲をアレンジし直したものなんです。「Another Century」はトラックを入れ替えてありますけどビートはそのまま持ってきていて、「Boys, Boys, Boys.....」は一からアレンジを全部やり直したんですよ。元になる曲がなければ1週間で2曲のMVを作るのは難しかったでしょうね。
──ということは、名嘉真さんの負担がだいぶ大きかった?
名嘉真:あの1週間はもう思い出したくないくらいキツかったですね(笑)。「Boys, Boys, Boys.....」はZOOMを利用して作ったのである程度時間の感覚も把握できて予定通り作れたんですけど、「Another Century」はCGのステージを一から作ることになったので作業が大変でした。
Dr.Usui:あのステージは何も土台がないところから作ったんですか?
名嘉真:そうです。
Dr.Usui:じゃあ、あれはまたどこかで使わないといけないですね。
名嘉真:そうしていただけると(笑)。構想自体は以前からあったんですよ。バーチャルのステージだったり、CGのキャラクターが演奏するみたいな映像はコロナ禍に関係なく作りたいと前から考えていたんです。なのでこれはいいチャンスだなということでこの4人でやってみようと思って。その時期は自粛期間中で仕事もなかったので頑張ってやってみようと。
──泉さんは歌入れとかオンラインの作業にぎこちなさを感じたりはしませんでしたか。
泉:いずこねこでデビューしたときも歌入れはすごく狭いスタジオを借りて、自分たちで機材を組み立てて手作業で録音していたし、ある意味その頃に戻ったみたいな感じですかね。ちょっと懐かしい感覚というか、何から何まで自分たちで一から作り上げる感じは改めていいなと思いました。
──Usuiさんと絢屋さんが仕上げたトラック、名嘉真さんが手がけた映像を見聞きしてどう感じましたか。
泉:早いなと思いました。作品はもちろん良かったし、楽曲も映像もすごくクオリティが高いなと思ったんですけど、それ以上に早いな! って。もうできたの!? っていう衝撃のほうが大きかったです(笑)。クオリティの高さとスピード感が合わさってものすごい感動がワッときた感じですね。
──「Another Century」ではロボット4体の頭がモニターになっていて、そこにメンバー4人の表情が映し出されていますが、それぞれ別撮りのはずなのに息がぴったり合っていますよね。
名嘉真:あれは賭けでしたね。モニターの映像自体は各自で自撮りしたものを送ってもらったんですけど、よくあんな具合に合わせることができたなと自分でも思います。
Dr.Usui:茉里ちゃんが最初に撮った映像をお手本にしたからやりやすかったのもありますね。
泉:自撮りしているときに「こういう感じなんじゃないか?」と思っていたものがそのまま出来上がったので、認識が合っていたようで良かったです。