新ベーシスト、ベルゼブブ・ヨゴレを迎え、昨年末にはアメリカからANTiSEENを招聘するなど、ノリにノっている流血ブリザード。この6月には2度目のUKツアー、そして初となるフィンランド・ツアーを成功させた。日本と並んで世界のハードコア・シーンでリスペクトされているフィンランドに堂々乗り込むという快挙。そこで4人のメンバー、ユダ様(ヴォーカル)、ミリー・バイソン(ギター)、ベルゼブブ・ヨゴレ(ベース)、セクシーダイナマイトプッシーガロアⅧ世(ドラム)に改めて話を聞いてみた。こちらは載せられないようなヤバい(?)話以外は全部掲載した"完全版"となっております。[interview:大越よしはる]
新メンバー加入、そして2度目のイギリスへ
──まず新メンバーのベルゼブブ・ヨゴレさん、自己紹介を…。
ヨゴレ:ベルゼブブ・ヨゴレです。
──いつ入ったんでしたっけ?
ユダ様:正式に入ったのは、去年の9月。
ヨゴレ:サポートが、その前年の秋から。
──サポートけっこう長かった。
ヨゴレ:長かったッスね。他のバンドやりながら、サポートで。で、ワンマンとかでも弾くようになって、コレはそろそろ正式になってもいいんじゃないかっていう話に…(笑)。
ユダ様:そうですね。お互いそんな感じで。
──どうですか、新体制は。
ユダ様:付き合いが長いんで、やりやすいですね。毎回メンバーが替わるとカラーも変わっていくんで…前あったもんで今ないもんとか、前なかったけど今あるもんもあるかも知れないですね。演奏の面は伸びたと思います。
──UK&フィンランド・ツアーは、どういう経緯で話が来たんですか?
ユダ様:“Camden Rocks Festival”には、去年も出ているんですけど。去年の12月5日に、ポール・クックのTHE PROFESSIONALSのオープニング・アクトをしまして、彼らと意気投合して。THE PROFESSIONALSのギターのクリスが、Camden Rocks Festivalのオーガナイザーをやってて。で、その打ち上げで「お前ら来年もCamden来るか?」「2daysやるか?」みたいな。「あー、やるやる!」「OK、じゃあ来いよ!」つって、クリスが2days決めてくれて。本当は他の場所も細かく回ったりしたかったんですけど、現地のパンク・シーンあんまり知らんし。もちろん向こうのANTIKNOCKみたいなところがあるのかも知れんですけど…。
ヨゴレ:今のCamdenにはほとんどパンクスもいなかったですし…。
──そうなんだ?
ユダ様:3人だけ、『DECLINE Ⅲ』に出てきそうなガター・パンクみたいなキッズに会いましたけどね。そういう奴は、金払ってフェスなんか入らないんですよ。そこらへんでたむろって。そいつらは日本のTHE ERECTiONSが神だって言ってましたよ。「ジャパニーズ・パンクが一番だよ~!」って。
──東京みたいに、何処かしらで毎日パンク・バンドがやってるみたいな状況は、今のイギリスにはなさげ?
ユダ様:あるのかも知れないけど、俺らが見た限りでは…スパイキーに鋲ジャンなんて俺しかいませんでしたから(笑)
ヨゴレ:フェスに出ているバンドでそんなバンドはいなかった。
ユダ様:DISCHARGEの客にも鋲ジャンすらいなかったですよ。まあパンク・フェスじゃないからかも知れんですけど。とは言ってもTHE PROFESSIONALSやANGELIC UPSTARTSも出てるのに…。でも俺はDISCHARGEと同じフェスに出られて嬉しかったし、最前で観れてヴォーカルさんと写真も撮ってもらえてよかった。はしゃぎましたね。
──パンク・フェスではないんだ?
ユダ様:パンクだけのフェスではないです。ASHとか、フランク・ターナーとか…。
ヨゴレ:ギター・ロックみたいなバンドが多い。
ユダ様:パンクでももっとサマソニで来日してるような、有名どころが出てる。LIBERTINESのカールとか。
フィンランド行きのきっかけはKAPPUNK
──それにフィンランドがくっついたのは?
ユダ様:去年の10月に、フィンランド・パンクのSOTATILAとか、今回一緒に回ったLAPINPOLTHAJATっていうバンドのユッカって人がKAPPUNKで観てくれて、声かけてくれて。ごっつい外国人が声かけてくれたなと思って訊いたら、SOTATILAのメンバーで。SOTATILAって俺らの中でもよく聴いてたバンドで。「うそっ、マジで?」って。SOTATILAのユッカが誘ってくれるんや?…みたいな感じで、凄い嬉しくって。で、話してるうちに7inchをフィンランドで出すことになったし、いろいろとケアもしてくれて。フィンランド4ヵ所、プラス、シークレット・ギグも面倒見てくれた。
ヨゴレ:「明日もやるか?」って。
──イギリス2本、フィンランド5本。
ユダ様:あと、イギリスのパーショアってところで、レコーディングもしました。2日間で。そのエンジニアが、THE WiLDHEARTSとかTHE PROFESSIONALSのエンジニアをしてる人で、かなり腕利きの、デイヴ(デイヴ・ドレイパー)って奴がいて。
ヨゴレ:ずっと下ネタばっかりしゃべってるけど腕は凄い。
ユダ様:そのスタジオでもTHE WiLDHEARTSのジンジャーとか録ってたりするから、そこで俺らもやってんのや…って思って、嬉しかったです。
──フィンランドの日程は、Camden Rocksに合わせて設定してもらったと。
ユダ様:そうですね。Camdenに行ってから移動出来るようにね。凄い、帳尻合わせながら…。フィンランドは超パンク大国です。パンクスめちゃ多いし。
セクシー:対バンもパンクばっかりだった。
ユダ様:観に来てる奴も、昔のダンプ松本みたいな…。
セクシー:いたね(笑)。
ユダ様:フィンランドはクレイジーでしたね。
──イギリスと全然違うんだ?
ユダ様:全然違いますね。客こんなんです(パンク・ファッションの女性客の写真を見せる)。極悪同盟じゃないんだから…。
──かっけーなあ。
ユダ様:でしょう?
ヨゴレ:がっつりパンクとかハードコアのやつと回ったから、そういうシーンでやれたのかも知れないし。ホントにフィンランドでああいうのが流行ってるのかも知れないし、それはちょっとわかんないんですけど。
ユダ様:一番流行ってんのはヘヴィ・メタルだと思いますけど(笑)。でもハードコアも強い。やっぱり日本とフィンランドは強くて。で、詳しいんですよ、対バンの人が。「ソウゴ・イシイ知ってるかー?」とか。
──石井聰互?
ユダ様:「ツカモト、ムービー・テツオ」とか。
──塚本晋也!
ユダ様:あと「ショージン・フクイ」(福居ショウジン)とか。俺それ知らんくて。それから日本のハードコアバンドにもめちゃ詳しくて。「KURO、DISCLOSE、FORWARD、DEATHSIDE」…。
ヨゴレ:日本人でも知らないようなディープな映画のこととか。
ユダ様:当たり前のように知ってるしね。まあCamdenでもそういう人はいましたけど、それはもしかしてBROKEN BONESのメンバーかも知れないですね。DISCHARGEのヴォーカル(ジェフ・ジャニアック)に日本から来たって言ったら、隣にいた人が「お、日本か。日本といえばGISMとかKUROじゃないか。いいなあ」とか言ってきて。日本のハードコアは世界でけっこう、リスペクトされてるという気がします。あの人(今のDISCHARGEのヴォーカル)がBROKEN BONESのヴォーカルでもあるんですね。そこまで知らんかったんですけど、あの人カッコいいですねぇ。