そしてフィンランドへ
──で、レコーディングを終えて、すぐさまフィンランドへ。
ユダ様:そうですね。
ミリー:オックスフォードまで車で送ってもらって、オックスフォードからヒースローに行って、ヒースローでちょっと空港泊して、それで飛び立ったな。
──ヒースローからヘルシンキ?
ミリー:ヘルシンキ。
──直行便出てる?
ミリー:うん。2時間ぐらいで。ヴァンターっていう空港があるんだけど。けっこうすぐだった。
──フィンランドで、シークレット含む5回やって?
ミリー:そうです。
──滞在は何日?
ミリー:1週間。
──けっこう、強行スケジュールで。
ユダ様:そうッスね。よくこの体力ない俺がやったなっていう感じですね。着いたらすぐ、いきなりTVOとかいうハコでライブやって。
ミリー:でもフィンランドに着いたら、みるみる体調が…。アタイも結果的に風邪ひいたけど、イギリスよりよくなっていったよ。
ユダ様:飯がね、フィンランド、優しくて美味いんですよ。
ミリー:美味かったね。
ユダ様:今回和食ロスなかったですね。
──フィンランドってどんな国でした?
ユダ様:とにかくご飯がヘルシーって感じ。
ミリー:日本人とちょっと共通点があるかな。
ユダ様:そうですね。
ミリー:性格かな。
ユダ様:優しいですね。日本人的な感じで、けっこう気ィ遣ってくれるとか、気持ちをくみ取ってくれようとしたりとか。ギャアギャア来んよな。
セクシー:シャイなんだけど、盛り上がってくれる。
ユダ様:いい奴多い。
ミリー:メタラー多いね(笑)。
ユダ様:親日だとは思います。
──暑かった?
ユダ様:ダウン持ってったんですけど、相当暑くて、夏。
ミリー:35度だったからなぁ。
──35度!
ユダ様:ライブハウスにもサウナ付いてましたね(笑)。
──え?
ヨゴレ:みんなサウナに…(笑)。
──ホントにそうなの?
ユダ様:ホントにサウナです。船にもサウナ付いとるし。こんなところにサウナ要るかっていうところにもサウナあるし。
ヨゴレ:バーで会ったパンクスは、サウナのタトゥーが入ってた(笑)。
──サウナのタトゥー?
ヨゴレ:想像しにくいと思いますけど(笑)、あのサウナが、お腹に入ってましたね。
──よくわからない…。
ミリー:カッコいいかどうかよくわからない(笑)。
セクシー:湯船がなくて、サウナで…。
ユダ様:1日目、ライブが終わった後、飯食べて。なんか、よくあるような、こういう…(ジェスチャーで)。
──ああ、昔のサッカーゲーム。
ユダ様:アレを、対バンの奴とやって。
──今、逆にないじゃん、日本に。
ユダ様:そうなんですよ。アレも何処にでもあったな!
セクシー:何処にでもある。ライブハウスにもあるしバーにもあるし。
──恐ろしい文化だな…。
ユダ様:それで、サウナに。こんなゴツいフィンランド人のおっさんと一緒にサウナ入って。で、けっこう厳しくて。「サウナは神聖やから、スパイキーもお前、ちゃんと下ろしてから入れ」って言われて。体もきれいにして。1回「やり直しや」言うて…。
セクシー:酒とかも持ってたらダメみたいな。
ユダ様:「イェーイ」とか立ち上がったら「サウナでそういうことすな」みたいな。
ミリー:厳しい(笑)。
ユダ様:石にジャーってやるやつ、アレやって、「サウナは神聖な場所で、ボスがどうとか、上司とか部下とかもなく、人が平等な。サウナというのは、そういう神聖なとこなんやぞ」っていうのをずーっと語ってて。ヤニが。
ヨゴレ:普段まったくしゃべらない男が(笑)。今回運転手をやってくれたヤニっていうのがいて。
ユダ様:ごっついおっさんなんですけど。
ヨゴレ:普段全然しゃべらないのに、サウナになると急に饒舌になる(笑)。
ユダ様:ちょっとオラオラに(笑)。「お前、まだやぞ」「もう上がるんか?」みたいな。普段はホントに気のいいおっちゃんで、ひたすら寡黙に。サウナの時だけは…。
ミリー:LAPINPOLTHAJATのドラマーのユッカも、「フィンランド人はちょっとおかしいよ。話しかける時とかはけっこうシャイなのに、サウナだったら男女全員裸でも誰も気にしないからね」確かにそれはおかしい…。
ユダ様:サウナ、男女で入ってたもんなあ。
ミリー:男女とも、裸で入るんだって、昔ながらのサウナは。混浴で。
ユダ様:オフの日に、“世界最古のサウナ”ってちょっと寄ったんです。そしたらもう、凄いですね、「サウナ、平日から賑わうか?」って思ったら、おっさんもねえちゃんもおばはんもぎょうさん来てて…。
──男湯・女湯なくて?
ミリー:一応そこは分かれてるらしいけど、仮に混ざったとしても、基本気にしないらしくって。分かれてないところもあるんだってよ。
──不思議な文化だ…。
ミリー:不思議だよな。しかも、メタラー多いし(笑)。
──異文化に接してしまった?
ユダ様:そうッスね。そんで、2日目やったあとは、バイク屋? …バイク屋兼バーみたいな、ホンマに、イメージの中の“バイカーのアジト”みたいな、昔の映画に出てきそうな、そこで寝さしてもらってたんですね。
ミリー:LAPINPOLTHAJATのヴォーカルのトモっていう人の、“モーターサイクル・クラブ”っていうとこで、泊めてもらったんだ。
ユダ様:壁こんなんで…。(写真を見せる)
──めっさヘルズ・エンジェルス的な。
ユダ様:ホンマそんな奴ばっかり集まってる。「ホンマにヘルズ・エンジェルスちゃうの?」って奴が、たむろして。2日目もそこに泊まってたんな。そしたらそこに、別グループの不良バイカーの奴らが朝方帰ってきて、俺ら寝てたら「おう、今からパーティーするから、お前らちょっと悪いけど出てってくれ」って、叩き起こされて。「なんやねんこいつ?」って思ったんですけど、むっちゃ悪そうな奴で、めちゃ怖そうやったから、渋々…寝ぼけてんのに、「ハロー、ナイスチューミーチュー」…なんか自己紹介せなアカンのかなと思って、「マイネームイズユダ」「Oh、なんやらBig party、なんやら、もし寝たいんなら下行くか、それともパーティー今から混ざるか?」みたいなこと言ってるんですけど…。
ヨゴレ:朝の5時から寝起きでパーティーはしたくない(苦笑)。
ユダ様:でもそうなんですね。向こうはずっと明るいから。そんな時間からパーティーや言うてて。そんでよくわからん、「You callなんとか」って言うから、一人一人紹介してくれ言ってんのかなと思って(笑)、寝てるのを「ディスイズセクシー、ディスイズヨゴレ」…。
(一同爆笑)
ユダ様:向こうも、そういうことちゃんねんやろうけど「Nice to meet you」言いながら、「コイツわかってへんちゃうんか」みたいな顔になって(苦笑)。俺も「あっ、こういうことちゃうんかな」と思って、怖なってミリーを起こして…。
ミリー:寝たいんだったら下の階にどいてくれ、みたいな。みんな渋々、下のリハーサル・スタジオで寝ました(苦笑)。
ユダ様:そいつの仲間も、こーんなスキンヘッドで、スカルのタトゥーが入って、革のベスト着て、もう“ザ・モーターサイクル・ギャング”な…子供の頃に観た映画のキャラみたいな奴らばっかりでしたね。
──ちょっと『マッドマックス』っぽい。
ミリー:あそこはたまり場なんだろうな。
ユダ様:フィンランドは『マッドマックス』みたいなファッションの奴、実際多いッスよ。メタラーが多いのか知らんけど、ハードな格好してる奴が多い。
セクシー:バイクもアメリカンが多かったです。
ヨゴレ:街中見てても、アメリカンが多分流行ってる感じで。
ユダ様:ドクロのこんな…まんまヘルズ・エンジェルスみたいなカッコ。
ミリー:ロンドンではそんな、ロックな感じとかパンクな人とか全然見当たらなかったのに、いきなりフィンランドは空港降りた瞬間からそういう人がいたからね。
──フツーにいるんだ?
ミリー:普通にいましたね。普通のカッコしてるけど刈り上げのモヒカンぽい女の人とかもいたもんね。
ヨゴレ:みんな刺青入ってる。
──そのへんのコミュニケーションって、フィンランドではみんな英語で?
ユダ様:英語は、彼らしゃべれるからね。フィンランド語と両方しゃべれて、フィンランド訛りの英語です。フィンランド語だと、(語感が)本当にナメック語ですよ。
──ナメック語(笑)。
ユダ様:「パルバットプルプルキャルラット、ポルボッケ?」みたいな、そんな感じやった。
ヨゴレ:酔っぱらってくるとすぐフィンランド語になるから(笑)。アレは困った…。
ミリー:でも、凄いと思った。もともと英語圏じゃないはずなのに、みんな英語がしゃべれない人がいない。