盛り上がったフィンランド
ユダ様:ライブが一番盛り上がったのはヘルシンキでしたね。メキシコ料理屋です、会場が。ライブハウスじゃなくて。でもまあ一応ステージが、小さい柵で。「え~、こんなとこでやるの?」みたいな、そういう感じやったんですよ。始まる前にメキシコ料理食べて、それからライブする。始まったら「えらい人おんなあ?」みたいな感じで。いきなり最初からウワーッと。けっこうモッシュとかも最初から起こってて。一人、緑の三連モヒカンみたいな奴が、暴れ過ぎて前の鉄柵かなんかで切って、血がドバーッと流れて。結局彼、5針縫ったんですけど。5針縫った次の日もタンペレ来てくれてた。
(一同笑)
ユダ様:バリええ奴なんですわ。
ミリー:マジでいい人。
ユダ様:ヘルシンキはモッシュが凄くて。よかったな?
ミリー:うん。
ユダ様:初めて来るのにこんな…。何故か関西弁のフィンランド人もいて、「アンコールやってや!」って。なんか、関西のおっさんが留学しておるんかなと思ったら、バチバチのフィンランド人で。「自分らメチャメチャよかったわ!」「俺京都に1年間おって」…1年でお前そんなに関西弁しゃべれるようになったんかって(笑)。
ミリー:あっちはやっぱりメタルが盛んみたいで、ヘルシンキの時はメタラーみたいなお客さんが多かったんだ。関西弁しゃべれるフィンランド人と、もう一人、メタラーみたいな子が二人で「フィンランドのメタル・バンドを知ってほしいんだ!」と言って、汗でべちょべちょのTシャツを…自分たちが着てたのを脱いで渡してくれたんだよ(笑)。「俺たちには小さかったから」って…。
──汗だくのTシャツを…。
ミリー:アタイももらったし、ユダがもらったやつはもっとべちゃべちゃで(笑)。
ユダ様:俺はそれ、もらったふりして置いてきましたけどね…。
ミリー:…アタイは友情の証かなと思って、かなり汗で湿ってるなと思いながら、頑張って着たよ(笑)。それが、コレです。(写真を見せる)
──なんか、サッカーの試合後のユニフォームの交換みたいな…。
ミリー:ねえ(笑)。
何故かエアギター
──ステージのパフォーマンスは日本と同じ?
ユダ様:今回の遠征は、少し前の流血を敢えてやってる感じを出しましたね。デフォルメして、最近あまりやってないこととかを。一時よくやってたなーみたいなことを逆に思い出して。
ミリー:ロンドンでもそうだったけど、ユダがパンツかぶったり、生理ナプキン投げたりした後に…。
ユダ様:「ウィ・アー・シリアス・ハードコア・バンド!」みたいなこと言ったら、けっこうそれが、向こうの人はギャグってわかるんでしょうね。「ウィ・メッセージ・ポリティカル!」…それがユッカも気に入ったみたいで、わざわざシークレットの時も司会やってくれて、「Japanese serious punk band!Ryuketsu!Serious punk!」…俺のギャグ“シリアス・パンク”をやたら連呼しとった(笑)。
ミリー:シリアス・パンクって連呼し過ぎて、ホントにガチのパンクスの人、帰ってしまってましたけど(苦笑)。
ユダ様:シリアス・パンク言うた後に(ミリーが)エアギターしましたからね。
(一同笑)
ミリー:エアギター・コンテストの日本大会に、4年ぐらい前に出たことがあって。決勝で8位になったんだよ。それをユッカに話したら、「エアギターやってよ!」って言われて。それでそのシークレットギグの時に、エアギターすることにしたんだ。「ウィ・アー・シリアス・パーンク!」とか言った後に、エアギターしようとしたら…その時に帰って行ってたからね、ガチのパンクスは(苦笑)。
ユダ様:そうなんですよ、やたらね、演芸を何処でもやってって頼まれる(笑)。俺も「I Love Me」、iPhoneで、ライブでもないところで何回も歌わされましたもん。まず、運転手のヤニっていうおっちゃんの娘さん。
ヨゴレ:「先週誕生日だったから、祝ってやってくれ」って言われて。
ユダ様:いきなり、家の庭でですよ。iPhone流して、「ベイベ~♪」とか、ヌンチャクをマイク代わりにして歌って。その子、ええ歌や思うたせいか、泣いてんねん…。
(一同笑)
ヨゴレ:凄い悪いことをした気分になった(笑)。
ユダ様:めっちゃ清純な子で、その子。かわいらしい。「嬉しい!」とか言って…歌詞知らんのや(苦笑)。
ミリー:そりゃ知らんだろ(苦笑)。(ユッカが)サプライズとかやってあげるのが凄い好きみたいで。最終日、みんなでヘルシンキで、普通にバーに飲みに行った時とかも、全然知らない…ユッカですらあんまり面識のない人が、誕生日だったみたいで。「二人誕生日の子がいるんだ、エアギターやってあげてくれないか?」って。
──なんでエアギター(笑)。
ユダ様:しかもね、そのバー、どっちか言うとガラ悪いんスよ。店内はガンジャの香りと小便の香りが凄くて、でも人がパンパンで、“ザ・外国映画”に出てくる不良のたまり場のバーで、明らかにまともじゃないやろっていう…「俺はマフィアや」とか自分から言う奴がおったりとかする、奴らの前で急にエアギターさせられたんです(苦笑)。
ミリー:エアギターしたら…一応「オーッ」とかいって、ちゃんとリアクションはしてくれるから、まあ…。
ユダ様:飲んでなかったらけっこう居心地悪いわ…(笑)。すげえ風紀悪いところですから。
ミリー:まあフィンランドの本場でエアギター出来てよかったぜ!(笑) エアギターの本場なんで。
ヨゴレ:ミリーさん、エアギター日本8位だったんだよね?
ミリー:うん。決勝8位。
ヨゴレ:それが、次の日になったら、なんかもう日本のチャンピオンだっていうことで(笑)。ああ、こうやって話がデカくなっていくんだなって…。
(一同笑)
ミリー:盛り過ぎ(苦笑)。
ユダ様:「ウェーッ!」って、凄いノってくれるんですよ、その悪い不良たちも。しかしコレ1位か? …って。
ミリー:1位のクォリティじゃない(笑)。
ユダ様:1位の実力にしては、悪くはないけど…まあ外人そんな野暮なことは言わないですけど。
──なにしに行ったんだ(笑)。
ミリー:確かに(苦笑)。でもフィンランドで、シークレット・ライブを急にすることになったりとか、いきなり「I Love Me」歌ったりとか、エアギターをいきなりすることで、だんだん、底力が付いてきた気がします…。
ユダ様:なんせロックですね。移動中もあいつらはずっと…自分自身がパンクをやって、今から連日パンクのギグをやって、自分もハードコア・パンクやるのに、移動中もずっとハードコア・パンクとメタルばっかりかけてますからね。凄い。「Everything is punk」って言ってたもんな。
ミリー:(笑)。
ユダ様:レミーとか凄い尊敬されてますね、やっぱり。MOTÖRHEADは凄いリスペクトされてる。
ミリー:うん。日本のバンドだったら、FORWARDとか?
ユダ様:FORWARDとか、DEATHSIDE、鉄アレイ…。
ミリー:そうだな。
──躍進ですねえ流血ブリザード。海外にも行くしANTiSEENとも対バンしたし。
ユダ様:もっと躍進しまっせ!パァァァァンク!!!!いや、カァァァァンツ♀!!!!
photo by たたみ