新宿LOFTの印象
——4月24日で歌舞伎町のLOFTは19周年となるんですが、そんなLOFTでの忘れられないエピソードを1つ教えて下さい。
唯:僕らは2桁も出てないじゃないですか。僕らは関西から来てるからLOFTって言ったら、僕らの中で聖地なんですよ。初めて出た時は、「聖地に出てるわ〜」って思いましたね。あの時からネットで見ていて、オムライスが出るのは知ってたんですよ。LOFTってオムライスが定番なんやって知ってたから、「絶対、打ち上げで食うぞ!」って思ってたんですけど、次の日に別場所でライブがあって食えずに終わるっていう。打ち上げの会場を出る時にオムライスを見たんですよ! 多分そこが一番悔しかったですね。「いつか食ったるねん!」って。2回目に出た時に打ち上げもあるってなってたから、ちょっとだけしか出れないかもだけどやっと食えるんちゃうかなって思ってたら、次の日が僕ら、広島やったんですよ。
一同:(笑)
景夕:キツすぎじゃない? 何でそんな組み方するの?
唯:広島が先に決まってたんですよ。でもそのLOFTのイベントに出たくて。結局は食べれんまま広島に行って。初めて食べたのは、去年のKraさんと一緒にここに出た時なんですよ。もう幸せやったですね。何の印象かって言ったら、出てる回数に比べて、オムライスが食えへんかったっていうのがありますね。だから一番印象が強かったのは、食えた時かな(笑)。
義彦:じゃあ5月は食えそうですか?
唯:食わせて下さい。
一同:(笑)
景夕:そこはこっちじゃなくて、umbrellaの予定によると思うんだよね(笑)。
唯:絶対空けます、僕。
景夕:11日、空いてるな、俺。
——heidi.さんは11日は空いてるんですか?
義彦:俺はあっても大丈夫な人間なんで、大丈夫です!
唯:ずっとオムライスはやってるんですか?
——確か、大皿のオムライスは前からあったんですが、ケチャップの文字は何年前かに当時いたスタッフが提案してくれて始まったんですよ。
唯:文字が途中からやったんですね。オムライスって何のきっかけやったのかなって。あんまり伝統的なのにないじゃないですか。
景夕:やっぱり一番最初に見た時は、嬉しいよね。「あ〜、バンド名を書いてくれてる!」って。
義彦:安心感がありますよね。ご飯も美味しいし、お酒もいっぱい飲めるんで。
景夕:本当に!
唯:確かにライブが終わった後の安堵感が凄かった。
義彦:テーブルもちゃんとセットしてくれて、嬉しいなって思いますね。
唯:ああいう空間を作ってもらえたら、しゃべりやすいですもんね。あの時(昨年の柊さん誕生日イベント)によくしゃべったんですよね。
景夕:そうだね。ゲームの話をしたんだ。
唯:ごっつしました。
景夕:モンハンやってる?
義彦:これは長くなりますよ(笑)。
一同:(笑)
景夕:失敗談とか思い出とかってある?
義彦:俺はあんまり過去を覚えてない人間なんですけど。
一同:(笑)
義彦:格好悪いパターンのですけどね。ちょっと忘れっぽいっていうか。最近で言えば、ミックスとの2マン(2017年11月9日)は、もう何年もやってない曲をやって。『CANNONBALL』っていうオムニバスのアルバムがあって、ミックスもそのアルバムに参加していて、結成して1〜2年くらいのその曲を、上からじゃないですけど自分的にミックスに歌ってあげたいって思って。その曲もすごく久し振りに出来たし、当時よりもいい歌を届けられた気がしたんで。きっとミックスがいての2マンだったからこそ、その曲がすげー良かったなっていう印象もあって。だから最近の話なんですけど、この日は忘れないなって思いましたね。失敗談は、ちょっと軽重な話なんですけど、俺がライブをやりたくない時期が1年くらいあったんですよ。
景夕:何で?
義彦:自分の思ってた5年目くらいの理想じゃなかったんですよね。俺はいつもこう思ってるんですけど、今いるお客さんは俺のおかげ、でも去っていったお客さんは俺の所為っていう、俺の持論なんですけど。そのバランスが悪くなって精神的にちょっと病んだ感じの時にLOFTさんでやらしてもらった時があって、お客さんの楽しい笑顔が皮肉笑いみたいに見えてしまった時期があったんですよ。
唯:悪い意味で笑われているように思ったんですね。
義彦:そうなんですよ。「そんなに俺の歌ヤバイ?」みたいに感じてしまう時期があって、その時にやって。ここからは笑うところなんですけど、『泡沫』っていう曲があって、静かになって「人は何故美しいのでしょう?」っていうソロがあるんですけど、そこでめちゃくちゃ、「オエッ!」ってなっちゃったんですよ(笑)。
一同:(笑)
義彦:それが完全にお客さんに聞こえて、お客さんも笑ってたんですけど。それが忘れられなくて、その日に初めて、「バンド、どうしようかな」って思った瞬間だったんですよね。ツアーもあったんで、それまではごまかしごまかしやってきてたんですけど、それが露骨に出た部分だったんで、お客さんは笑ってくれたから良かったんですけど、「これは限界なのかな」って思って。その頃からメンバーと普通に仲が良かったので、メンバーに相談して。そういう時期があったんで、それはマジで忘れないですね。特に『泡沫』という曲で、俺の精神状態やべーなって思って。だからスローナンバーをその当時は1曲も歌ってなくて。ツアーを回ってる時は、毎回スローナンバーが7曲目か8曲目にあるんですけど、毎回寸前でメンバーに「スロー飛ばします」って耳打ちしてその曲を飛してツアーを回ってたんですよ。
——本番中のその曲の寸前で?
義彦:そうです。そこからは、もう何にも折れることなくやり続けてるんですけど、その時のLOFTの感じが未だにちょっとトラウマになってますし、怖いんですけど、今は全然楽しくやらしてもらってる感じです。そういうのはないですか?
景夕:思い悩むところはあったけど、あんまり…。それこそ渋公に行く手前くらいまで、思っていた理想と道が違うっていうのはあって、親にも25歳くらいで戻ってきなってみたいな感じがあって。うちらもあんまり伸びがなかったからその方がいいのかなって思ってたら、うちの事務所のツアーがあって、そこでお客さんがいっぱい観てくれるチャンスが増えて一気に渋公に行けたから、そこで俺は辞めるチャンスを逃した。
義彦:あ、逆に言ったらですね。でもボーカルの重圧っていうのはすごいものだなと思うんで。
唯:俺も人が何でここで笑ってんのっていうのが、めっちゃ目に付くから。そうなるとすごいストレスになるっていうのが正直あります。笑ってる理由が病んでる時って、自分やと思うんですよね。僕はコンプレックスの塊やから、歌ってる時に笑われたら、俺かってなってしまうし。
義彦:こっちは一生懸命やってるのにってね(笑)。
唯:伝わってないんかとか。
景夕:めっちゃ友達とさ、笑いながら手を叩いてたりとかさ、そんな場面じゃないのに。言ってみれば真剣に歌ってる時とかは、やっぱりすごい目に付くよね。
唯:たくさんお客さんがいる中で、急に目に付くんですよね。
義彦:その時は俺もまだ20代半ばとかだったと思うんで、若かったからですよね。今は笑ってくれても全然いいし。
景夕:楽しんでるみたいな?
義彦:はい。素直になれたというか。昔はツンツンしてたりするんで、「何、笑ってるんだよ」みたいな時はありましたけど(笑)。今はあんまりないですよね。
景夕:ないない。
唯:落ち着いたんですね。umbrellaは僕が作ったバンドやけど、昔のバンドの時に他の3人が飲みに行ったりとか遊びに行ったりで孤立する部分があって、自分のやりたいこともあんまり出来ひん時があって、何で分かってくれへんのやろうって自暴自棄になってた時のライブの時に、感情剥き出しで歌いまくって。メロディーじゃないくらい叫びながら歌った時があって。
義彦:でも悔しいほどに、それがいいっていう人もいるんだよね。
唯:そうなんですよ! 今のメンバーがそれを観てumbrellaに入ったんですよ。でも「違う!」って思って。人が思ってる以上にそれが良かったりとかするから。今はそれがあったから、良かったんかなって。すごくエモかったらしくて。あの時の迫力がすごくて、「LOKI(唯の前バンド)が好きやったから入る」って言って、今のメンバーがumbrellaに入ってくれたんで。若い時って何でも出来るからいいですよね。
義彦:景夕さんの失敗談って何ですか?
景夕:LOFTでは、さっき言ったミックスとのライブの時にお立ち台を持ち上げて、ぎっくり背中になったことかな。これは多分俺、ずっと忘れないと思う。もうその体勢から動けなくて、足は動くけど腰が曲がった状態で歩くしかなくて。
義彦:それは病院とかに行かなくても、時間が解決してくれるんですか?
景夕:その時は時間だった。ゆっくり伸ばしながら戻ってっていうのを繰り返して何とか収めて。それが失敗談かな。さっきのheidi.とミックスの2マンの話で水を差す感じになるんですけど、久しぶりの曲をやってって話で、トリだったんだよね?
義彦:そうです。
景夕:seekさんから聞いたんですけど…。
義彦:(笑)あっ、分かりました。
景夕:「久し振りの2曲をやったらしいんですわ」って言ってて、その後にアンコールのセッションがあってステージに出たら、普通だったらお客さんが、「わー!」って感じになるのが、泣きすすりみたいな感じのが聞こえてきて、「何これ!」って(笑)。
義彦:ミックスとheidi.も、お互いに10年ちょっと活動してきて、この前が初めての2マンだったんですよ。そういうのがお客さん的にはあったのかもしれないですね。お互いのアンケートにも好きなバンドにお互いのバンドが結構書いてあったりしたから、ミックスが解散って決まってからの2マンだったんで。多分お客さんも、最初で最後かってなっちゃったのかなと。
景夕:それを聞いた時、ウケたな、俺。
一同:(笑)
景夕:出てったミックスの心境を考えたら、すげー面白くなっちゃって(笑)。
唯(umbrella)