デモとか行動を起こすリアリティーが持てていない
平野:そこで曽我部さん達に聞きたいのは、下北沢運動に参加する若い子達以外の意識ってどこにあるんだろうかまだ僕は解らないでいる。僕らが大学時代にまず大学理事達の金儲けの為にマスプロ事業があって大学の授業料値上げっていうのがあった。僕らは金持ちしか行けなくなる様な大学になるのは反対だった。そして値上げ反対闘争も頑張り続ければ最終的には「政治に問題ある」って言うことで国家権力が全面に出てきて戦うことになっちゃうわけだよな。
曽我部:そういう人情的なところは今も変わってないんだけど、違うのは平野さんの世代の学生運動が失敗したのを知ってるじゃないですか。それだけですよ。ホントに60年代の安保なりが成功して世界が変わってたら僕たちも同じ様なことをしますよね。こういう風に訴えれば変わるんだっていうことは引き継がれてることはあるけど、対権力としての学生運動は失敗してるし、資本主義がこれだけ強固な塊になってる結果であるから、それはやらないと思いますよ。
平野:僕はそのシラケは、今の日本だけの特質のような気がしてならないの。今世界は揺れている。ニューヨークやパリや、ロンドンでは20万から200万人の反戦デモが出てる。フランスは高校生が政府に反対運動やってついには抗議デモで法案を撤回させた。韓国やタイでもそう。何故か日本だけが「やっても無駄だ」ってしらけちゃってるんだと。

下北沢問題を語る内に今後の対策を練る二人。
何か曽我部氏に「革命の作法」を語るモードに席亭が…。
曽我部:心情的にはシラケてないんですよ。若者が熱いのはフランスでもアメリカでも日本でも変わらないと思うけど、デモとか行動を起こすリアリティーが持てていないし、学生運動にしてもほとんどの人が興味本位じゃないですか。言ってしまえばフェスみたいなもんですよ。でもフランスのデモとかは地元ですよ。この場を守りたい、この人を守りたい。ニューヨークも自分のアパートを守りたいとか、ものすごい身近なテーマだと思うんです。日本の問題は反体制の運動をするためのリアリティーを持たないようにさせられてるというか、ぼんやりと解らなくされてるところにあるんじゃないかな。下北のデモは僕は自分の街だから来てるだけで、それは本当に一番正しい在り方だと思うんです。反戦とか靖国のこととかいろいろあるけど、みんなそれに対して大きいデモやらないのは、リアリティーが得られないからですよね。例えば中国がこういう事言った、でもそれも報道って解らないから、ダイレクトに伝わってきてないと思うんです。フランスもニューヨークも、自分の街を愛してるっていうけど、「日本愛してるの?」って言うとそんなことないと思わされてるのか、リアリティーが持てないのか、そこが一番のポイントだと思う。地元の子って下北好きならデモ行こうよって。それだけの話。だけど「下北は週2回ぐらい来てるけど住んでないからまあいいか。」って、それでどんどん権力にうまくあしらわれてると思うんですよ、日本人は。
平野:今、僕が注目しているミュージシャンのライブの話になるけど「イラク戦争の問題」や「戦争反対」というミュージシャンが放つメッセージも、一方では結局は聞いてる連中にとっては単なるその場のフェスの場だけの、エンターテイメントの括りの中でのメッセージを聞いて喜んで乗っているだけで、フェスが終わった後とかに、今の戦争をどうやって止めるとか若者同士が論議なんてほとんどない。そうすると幾らそんなことを言っても効果はないから、方法論を変えるのも必要なのかもね。本当のメッセージが届くには。
曽我部:ホントに影響力がある人が本気で言えば影響力あるかもしれないけど、エンターテイメントの枠で言ってるから、その場では盛り上がるんですけど…。僕が言ってもそうなるんですよ。結局はライブの中ではエンターテイメントの盛り上げにしかならないから。だったら言わないほうがいいんじゃないかなって。
平野:それは大貫妙子さんも「クイックジャパン」で言ってたよな。私は政治的な発言はするけど、歌で反戦を訴える事はしない。ライブとして六ヶ所村核燃料再処理施設の前で歌う時でも、「明日も頑張ろう、嫌なこともいっぱいあるけどさ」って思える言葉を提供したいと彼女は主張している。
曽我部:その発言には僕も全く同感ですね。















