“NMB480”のおかげで良いものが出来た
── マスタリングではけっこう直したりしているんですか?
ヒダカ:1割か2割ぐらい。
桃野:もっと直そうと思っていましたけど、意外とテイクが良かったんです。
ヒダカ:ちょっとぐらい間違えていても勢いがあるんだったらいいと思ったし、へたに直しちゃうとライヴで録った意味がないからやめようって。俺けっこう間違えてますけど、直してない曲があります。
松下:2日間レコーディング・ライヴをやって、2日目のほうが慣れてるからこっちをメインに使うんだろうなと思ってましたけど、次の日からセレクトに入ったら1日目の独特の緊張感や、間違えているところもあるけれど勢いがあったり、初々しい感じがロックな音だなというのがけっこうあって、2日目と半々ぐらいで使ってます。それが新鮮だった。自分たちの思ってる音と実際の音は違うんだなって。
── そもそも2日間だったのはどういう理由からですか?
松下:怖かったからです。
ヒダカ:保険ですね。
松下:最初はMC5っぽく録りたい日とか、ジョー・ジャクソンみたいに作り込んで録りたい日で分けるのはどうかみたいな案もあったんですけど、話を進めるうちにそれは曲単位でやればいいかって。予備として2日ぐらい欲しいかなって。
── 1日につき3時間みっちりレコーディングをされて、けっこうな集中力がいりましたね。
松下:すごく疲れました(苦笑)。
ヒダカ:でもお客さんは元気でしたね。
桃野:辛いんじゃないかなって思いましたよ。14〜15曲で3時間。曲に入る前に説明とかも多かったので。
ヒダカ:コーラスの練習もしたし。
桃野:そういう意味ではついてきてくれて感謝してます。おかげで良いものが出来たなと思います。
ヒダカ:一番大変だったのは吉村さんのお守りです(笑)。
松下:結局誰も扱えなかった(笑)。打ち上げ始まった時にはベロベロなんだもん。
ヒダカ:暴れる吉村、笑う西村(※新代田FEVERの店長)。これ15年ぐらい前のシェルターだって(笑)。
── こういう作品が出来たことで今後どうしていきたいというのは見えてきました?
桃野:吉村さんやひさ子さんとコラボして曲を作れたのは、MONOBRIGHTとして広がりが出来たと思いますし、レコーディング・ライヴという手法もしかり、ライヴでお客さんと一緒に楽しめるようなものが多かったので、それを軸に新しく作っていこうというきっかけになりました。また4人のバンドになるので。
── ヒダカさん脱退は衝撃でしたよ。2年前の加入のニュースも驚きましたけど。どうして脱退を決めてしまったんですか?
ヒダカ:2年前に加入する時は、東京事変の亀田さんや髭のアイゴンのように、パーソナルとして独立した人がバンドに入るという面白さをイメージしていたんです。今年9mmの滝がmudy on the 昨晩に期間限定で加入したノリに近い。でも期間限定と企画色を出しちゃうとやってる俺たちも面白くなくなっちゃうので、やっていく中で良い区切りが来れば良いかぐらいで特に設定もしてなかったんです。そういう意味で今回の『新造ライヴレーションズ』の出来にはとても満足しているし、古き良き昭和っぽいけど中身は新しいことが出来たんじゃないかと思います。
── このアルバムに向けて動き出した時から、ここまでかなという感じもあったんですか?
ヒダカ:大仕事になるとは思ったので。構想1年、制作は2日ですけど(笑)。
松下:構想1年。制作2日。レコーディングの1ヶ月後には試聴会があったので、盤になるまで1ヶ月。
ヒダカ:これがやれたら俺もMONOBRIGHTもなんでも出来るんじゃないかなっていうのはすごく思いました。度胸がついたなと思います。
桃野:14歳上のヒダカさんが入るというのは、レコーディング・ライヴもそうでしたけど、ヒダカさんにとっては馴染みのあるものでも僕らからすると新しく感じる手法だったり、そういうものをたくさん教えてもらった濃い2年間でした。同時にレコーディング・ライヴを経て、これから先新しいものを作っていくには4人でやっていくことも必要だなという結論に至ったんです。
ヒダカ:もう大丈夫でしょ。
松下:5人の集合体としてひとつの到達点に達したと思っています。
── ヒダカさんがいたから今回のアルバムに挑戦した部分もありますよね?
桃野:それは間違いなくあります。4人だったらそこまでの度胸がなかったですから。MONOBRIGHTに男気とか、パンク性だったりとか、精神的な強さを教えてもらおうと思って迎えたので、それをちゃんと盛り込めたアルバムだなと。ヒダカさんがいなくなることで不安と言ったらライヴでのMCだよね。僕が喋って何言ってるかわからないのを解説してくれたから。その通訳を次タッキーがやってくれるのかな。
瀧谷:………うーん。
松下:それも含めてご期待していてください(笑)。