
最高のライブだけをやろう
── それぞれ尊敬している部分ってどんなところですか?
一色:ツヨシくんのベースも好きだし、コーラスも良いし。あとステージ映えするよね。背もバランスよく高いから。あれで低かったら、また違う見え方になったんだろうね。そういう意味でもバンドって奇跡がないと続かないから、メレンゲは続いていく要素があるんだと思う。
タケシタ:俺、ボーカルの人でここまで話す人っていなくて、ゴーイングは高校の時からの友達でボーカリストとしての友達というわけではないから、メレンゲのメンバーとして出会って仲良くなったのは一色君ぐらいじゃないかな。やっぱり打ち上げでも楽器毎で集まっちゃうことが多いから。
一色:他のパートだと、よっぽどのことがない限り話題って難しいよね。メレンゲは特に難しいと思われるかも。クボ君に何話したらよいかわからないし。
樋口:クボ君は、レーベルで出すことになったから打ち解けてくれたけど、最初は目を見て話してくれないし、ライブ終わるとすぐ帰っちゃうし...。一色君は当時から、担当していた方も含めて社交的で挨拶がきちんとできる人だったから残っていけるっていうのもあるよね。
一色:人柄と人格のみで残ってるみたいになっちゃった...。
── 10年近くやってると、メンバー間ってどういう付き合いになるんですか?
一色:俺らの場合は、女性がいるから、付き合ってるんじゃねえの? ってすごい言われる。でもそれはどうでもよくて、家族みたいな感じ。会ったら喋るけど、メールで連絡を取るぐらいだし。メンバー全員で飲みに行くというのは、バンドを始めた当時もあまりなかったですね。打ち上げでいつも飲んでますから。今年の1月に11箇所回って11回やった時はバカなんじゃね? って思いましたよ。ただ、最近3人でやっていて、できるだけケンカしないようにしようって思った。最高のライブだけをやろうって。スタッフがいなくてワンクッションがない分、ケンカをするとめんどくさいことになるし(笑)。
タケシタ:僕らは、近づいたり離れたりみたいな感じですね。会わない時期もあれば会う時期もあって。
一色:活動休止してた時期なんて会わないよね。バンドってあくまでもバンドだから、ライブをやって繋がれる。フラストレーションが溜まっていてもライブをやるとなくなるし、ライブって大事なんだなって思う。そこで、少し強引だけど4月10日のライブはね、メレンゲしか見なくなった人も、つばきしか見なくなった人も、もう一回見てやっぱり良いなと思ってくれたら嬉しいですよね。そのためには良いライブをしないとですね。
── バンド側は気付けば10年経ってたという気持ちもあるかもしれないですけど、聴く側は10年続けてくれてありがとうっていう気持ちだと思いますよ。だから、10年とは言わずにこれからも続けてもらいたいです。
一色:俺らは続けて行く気満々ですよ。やりますよ、体力が続く限り。続けていて得られるものってたくさんありますからね。
── 4/10はセッションとか何かはあるんですか?
一色:ないです。イベントに出てもらえるだけで十分なので、セッションとかは望んでないです。オールナイトもやりますから。1日を通して楽しんでもらえればと思います。

一色徳保×ヤマザキタケシ編
他のバンドを経験したことで得られるもの
一色:クボ君、ツヨシ君と続き、バンドのことは話し尽くした感があるので、パーソナルな話をしたいんですが、休止していた間にヤマちゃんは別のバンドのバックでドラムを叩いていたけど、そういう活動をすると精神的に成長するという部分はあった?
ヤマザキ:最初の方はプレッシャーがすごくてビビリまくっていたよ(苦笑)。バンドに出会って3本目のライブが、さいたまスーパーアリーナだったから。
樋口:そういう経験を経て、自分がメレンゲのドラマーとして戻ってきて、どう向き合えたらと思えた?
ヤマザキ:前まではどっちかと言うともっと楽曲至上的な印象があったけれど、ボーカリストと曲を作ってる人が何を考えているかを、より深く掘り下げて演奏なりをする方向にシフトチェンジしました。なんでクボ君はここでこういうアレンジしたのかとか、こういう音を欲しているのかとか。ライブ見る時もそう。前まではドラマーだからつばきの奈穂ちゃんをメインに見てた節もあるけど、最近はボーカルとドラムのやりとりを見るようになった。
── ドラマーとボーカリストの立ち位置って、どういう違いがあるんですか? 他のバンドと積極的に交流を図ろうとするのがリズム隊というイメージはありますが...。
ヤマザキ:ドラムって意外と繊細な人が多いかな。人によるからなんとも言えないけど、人の目を気にするから、ボーカリストの顔色も窺うし、歌いづらそうだったら気になるし。
樋口:ボーカルが調子悪そうだと思ったら、気遣ってあげることはある?
ヤマザキ:それはあるよ。体調悪いなと思ったらタイム感をいつもよりゆったりとしてあげるとか。
一色:そんなのできないですよ。歌いづらそうだったらタイム感遅くするなんて普通できない。
ヤマザキ:でも、奈穂ちゃんもできるよね?
一色:いや、聞いたことないですよ。俺が歌いにくそうだと思ったのを終わってから「今日歌いにくそうだったね」って言って、それで終わり。
樋口:でもちゃんとわかってるんだね。
一色:ずっとやってるから。ドラムだって客席は見えていると思うけど、フロントマンのほうが最前から後ろまで見てるじゃないですか。俺はお客さんの感じを見て合わせるじゃないけど、煽ったり煽らなかったり気にしてライブをやることはある。でも、ドラムはちょっと違って、全体を見つつプレイヤーにも意識してる。クボ君だって煽ったりしないけど、歌っていてお客さんの感じはわかるから、この感じだったらこういう風に歌おうとか、こうやってライブをしようとかって思ってるんじゃないかなぁ。聞いてみないとわからないけど(笑)。そういうのはライブ中のボーカルとドラムの違いですかね。ドラムも客席を見て感じることがあるかもしれないけれど、それよりもボーカルを見て感じて、今日はこういう感じでいくんだというのを感じてることも多い気がしますね。
ヤマザキ:僕、ボーカリストとこういう会話をしてる時が一番好きなんですよ。人によって全然違うから。ボーカリストの中には、他の楽器に自分のテンションを追い越されるのを嫌がる人もいるし、引っ張り上げて欲しい人もいるし。
一色:基本あまり気にしないんですけどね。俺はいっちゃうけど。
ヤマザキ:そこに奈穂ちゃんが押してあげる感じだ。
一色:そうだと思う。
樋口:メレンゲが休止して、リスタートしたあとのライブを見た時に、すごく変わったと思った。本当に歌を聴いてる人のドラムなんだと改めて感じましたよ。
一色:ヤマちゃんは歌をたたせるドラマーですね。この年でそんな下手くそなヤツはいないし、みんなタイプが違うけど、ヤマちゃんはここがすごい、ここがうまいっていうのがある。メレンゲはやっぱりクボ君の歌があって、ヤマちゃんのアレンジとか隙間とか空気感とかですごい曲が生きるんだよ。
ボーカリストはドラムが好き
── ドラムを始めて何年ぐらいになるんですか?
ヤマザキ:20年ぐらい。小学校6年生の時から。
一色:もうドラムしかできないね。
ヤマザキ:後戻りが利かなくなってるよ(苦笑)。
一色:いいね、潰しがきかない感じ。音楽でしか行けませんって。
ヤマザキ:"drum or die"だもんな。
樋口:思うんだけど、ボーカリストってドラマーに期待と注文をしている人が多いよね。
一色:ボーカリストは全員ドラマーに求めてる。曲を持っていって聴かせて、まずこういう感じにしてくれねえ? ってドラムに言いますから。
ヤマザキ:そう!
一色:どの楽器も重要ですけど、バンドを続ける上でドラムは重要ですね。だって一番音が大きいし、ボーカリストは確かに目立ちたがり屋だけど、ドラマーもなかなか負けてない。あと、ボーカルの人ってドラムが好きなんだよね。バンドのクッションにもなるし、言いたいことをわかってもらわないと困るし、わかってくれるし。つばきの場合、俺とベースが困ったら奈穂ちゃんに頼りますね(苦笑)。女性だから余計に精神的支柱になっているんです。
── 無理な要望でもある程度受け入れてくれる、と。
一色:受け止めないかも知れないけど言っちゃう。
ヤマザキ:逆に言ってもらってるのはありがたいことだと思ってる部分もあります。期待されてなかったら言わないもんね。
一色:クボ君って明らかにバンドの核になっているし、楽曲のアレンジまでちゃんと作り込んでるから、この曲があまり良くならないのはアレンジのせいだろうって、アレンジをすごく重視してると思う。俺は逆で、曲によって違うけど勢いで作りたい場合もある。言ってしまえばメンバーの手癖でも良くて、また似たようなのを持ってきやがってっていうのも嫌いじゃない。だから、あそこまで徹せられるのは尊敬する。1曲ずつアレンジまでやるって大変ですからね。
── こうじゃないパターンもあるみたいなのもある?
ヤマザキ:クボ君が作ってきたものに答えを出してから、こういうのもありますよっていうやり方はします。
一色:クボ君が言ってたのは、自分でもアレンジをガッチリ決めてない時があるんだけど、メンバーが弾いてくれたのがすごく良かったら「そんな感じ、俺もそう思ってたんだよね」って言うんだって。
ヤマザキ:考えてなかったことぐらい、こっちも気付いてるんだけどね(笑)。
一色:だから、さすがのクボ君でも、そういうことがあるんだって思いましたけど。うちは、リハ中俺1人が喋っていて、2人が言うのは曲に対して良い意味での文句というか意見だけですから(笑)。でも、たぶんこういう感じだろうっていうのもわかってくるんですよね。
ヤマザキ:おもしろいね。バンドはいろいろあって。