
アニバーサリーは自分達への挑戦
樋口:つばきは1月から10日縛りでライブをやってるけど、毎回ソールドアウトなんだよね。
一色:みんなの力のおかげだけど、毎回売り切れると思わなかった。そうなると、見づらいっていう意見も出てきますけど、このパターンはもうちょっと続けようと思ってます。自力でここまでできるんだってことを見せつけてやりたい。やっぱり、事務所がなくなったりすると、今まで届いていたところに届かなくなるのも事実ですからね。
クボ:でも迷いはないでしょ?
一色:うん。みんなやる気満々だから。
樋口:若い子に見てもらいたいね。どちらのバンドを見ても思うけど、若い世代にはこんなに良いバンドがいるっていう情報が届いてないんだよね。知ればすごくハマる純粋な世代でもあるから。
一色:だから若いバンドとやりたいんです。
── となると、今年は両バンドともさらに精力的に活動をしていくと。
クボ:やるつもりです。
一色:やりますよ。これを精力的じゃないと言って何を精力的だと言うんですか(笑)。
樋口:当時から見てる側からしたら、どんなペースであれ頑張ってる姿をお客さんに見せてあげられるのはモチベーションが上がるし、続けることの大事さを若い世代に伝えてあげて欲しいというのはあるな。ロフトのイベントも高校生が「見に行きます」って何人か言ってたよ。
一色:そういう世代にはぜひ見てもらいたいですよね。
クボ:"初恋の空"もAXも一緒にやって、良い意味であの頃の感じでやれたら良いと思うし、それプラス変わった感じにしたいですね。
一色:"初恋の空"の頃は、メレンゲもつばきも好きだった人が、時が経ちバンドのカラーも変わり、やっぱりつばき違うなとか、メレンゲ違うなって思っている人もいると思うんですけど、この何年間で変わった俺達も好きになれよぐらいの説得力のある演奏をお互いできるようになれば。一緒にやるのはメレンゲが復活したときのAX以来だからね。オールナイトのイベントにも遊びに来て下さいよ。
クボ:もちろん。何かできたらいいなとは思ってます。つばきの演奏で歌いたいな。
一色:つばきはいつでもスタンバっているので言って下さい。アニバーサリーと称した自分達への挑戦ですから。それが裏テーマです。

一色徳保×タケシタツヨシ編
結局は人と人との繋がり
一色:メレンゲとして出会ったところはクボ君と話したので、俺とツヨシくんが出会った時の印象も聞こうかな。
タケシタ:つばきは、徐々に仲良くなって飲んだりしだして、小川くんが寡黙な人だったり、一色くんがアツイ男だったりっていうのがわかってきた感じですね。僕がメレンゲに入ってから1年ちょっとの間に、"初恋サンセット"にも出てもらったし、"初恋の空"も一緒にやったし、合同で企画をやったバンドってつばきぐらいですね。
── 当時は、メレンゲがつばきを誘うことが多かったんですか?
一色:俺らあんまりイベントしてなかったですからね。メレンゲもそんなにイベントしてないよね?
タケシタ:イベントはしてない。俺らの企画でつばきを呼んだのも1回ぐらいだけど、同じイベントに呼ばれて対バンをよくしたよね。あと、メレンゲの復活ライブの時に一緒にやってくれたのはすごく嬉しかった。この復活ライブの時に、一色君がクボ君に言ってたのかな。「いいよな、メレンゲは。休止してても復活したらお客さんが増えるんだもんな」って(笑)。
一色:すごい言ったね。そしたらクボ君が「つばきも活動休止すればいいじゃん」って言ってたけど、俺らが休止して増えるわけねぇだろって思いましたね(笑)。メレンゲってバンドとして特殊なんですよ。そこが尊敬するところでもあって魅力でもある。他に代わりが利かない。
タケシタ:つばきだって一緒でしょ?
一色:僕はずっとジャブ打ち続けている感じですよ。いつ倒れるかな、俺の敵...って。だからメレンゲがすごく羨ましい。東京でライブをやると言えば全国から集まってくれるでしょ。
タケシタ:たくさんの人に支えられていると実感してますよ。
樋口:今できることを精一杯やることが長く続ける秘訣の気がするね。20代の頃に感じていた焦りとか不安を越えての30代を迎えていると思うから、もっといろんなことに挑戦できるんじゃないかなって思うよ。
一色:まだまだたくさんあるけど、20代の紆余曲折は味わったし、今は覚悟を決めて音楽をやってるから良いライブができるんじゃないかって。こういう活動を続けてきたから、ライブハウスの人が応援してくれるし、いろんな人と知り合えたし、力も付けられるし。
タケシタ:結局は人と人との繋がりだよね。
一色:だから、どこかで恩返しをしたいんですよ。
樋口:いろんなライブハウスがある中で、この2マンはロフトを選んでくれたし、それがどこのライブハウスにしても最大の恩返しですよ。
マネをしたところでメレンゲにはなれない
── お互いどんなところに共感していますか?
一色:作品です。声もすごく良いし、自分が持ってないものをたくさん持ってるから憧れるし尊敬する。作品で言ったら、『ユキノミチ』の頃はすごく好き。新しい曲だと『underworld』はすごいいい。ああいうのはできないし、マネしようと思っても無理。マネしたってメレンゲにはなれないから。『heavenly days』も好き。でも、最終的に惹かれるのは人柄ですね。
タケシタ:俺らもそうだよ。つばきって音楽も人も裏表がないから。自然に話もできるし、だから好きなんです。
一色:たぶん10年ぐらいバンドを続けている人たちに、かっこ悪いバンドっていないと思うんです。だから、それ以外のところでと考えると人柄に惹かれる。クボ君もあんなんだけどすごい好きだし。
タケシタ:あんなんだけど(笑)。
一色:クボ君は気を遣うよ。そういう雰囲気が出てる。ひさびさに会って、「オーッス」とか言っても無視されんじゃないかと思うことがある(笑)。
樋口:クールな感じがするけど、アツイ人だよね。
一色:アツイのはわかるけど、心のどこかではそう思ってる(笑)。そういうパワーがすごくあるんです。
タケシタ:人見知りだからね。
樋口:でも、つばきとかメレンゲの世代のバンドって、人情の厚い人が多いよね。
タケシタ:昔からずっと見に来てくれてる人なんて、本当にありがたいなと思いますよ。
樋口:私も昔からメレンゲもつばきのライブも何回も見に行ってるけど、いつ見ても刺激を受けるし、発見もたくさんあるし、いつでも新鮮なんだよね。すごくバンド力があるんだなって思うよ。仕事柄いろんなバンドにたくさん出会うのに、つばきとかメレンゲのライブは見に行きたくなる。最近40代のバンドが長年やっててヒットチャートに入ったとか話を聞くことがありますからね、そういうのはすごく夢があるし、この2バンドにもその力はある気がするよ。
タケシタ:Queの店長の二位さんが言ってましたけど、「つばきとやるみたいだね。そういうのいいよね」って。前によくやってたバンドと一緒にやることによってお客さんが戻ってくるだろうし、お客さんも増えるし、こういうのは良い動きだと思うよって。
樋口:あとは、さっきも言ったけど若い世代の子たちにも見てもらいたいよね。自分達が影響を与える側の年齢にもなってるし、30代になっても気持ちは若くても良いけど、10代の子からしたら先生より年上だったりするから。
タケシタ:いつの間にか歳を取ってるから、まだ心構えができてないという部分はあるんですけどね(苦笑)。