地方遠征も含め、サポートを交えてのソロライブ。初恋のテサキとしての作品リリースとドラマ主題歌への起用等々...。今年に入りこれまで以上に活発な動きを見せているクボケンジ。そんな中、いよいよ本丸とも言えるメレンゲが動き出す。
彼らにとって約1年ぶりのライブとなるこの「SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARY 初恋の集い」。そもそも新宿ロフトはかつて彼らのインディーズ時代、その所属レーベルがあった場所。クボ並びにメレンゲとしても所縁深い。そんな想い入れ深いステージにワンマンとしては実に14年ぶりに立つ彼ら。それは移転20周年のお祝いはもちろん、自らの出自やホームグラウンド的な意識の再確認にもなりそうだ。
この日を迎えるにあたりクボにその胸中や意義、意気込みや目的等々に加え、彼がここぞという場面で起用し、今回もイベントタイトルにも冠された重要キーワード「初恋」についても訊いた。(interview 池田スカオ和宏)
死ぬほど恥ずかしいことをしてたなぁ
──今回のイベントのタイトルは「初恋の集い」ですが。わりとクボさんやメレンゲの中で「初恋」を冠につける場面が見受けられます。そこには何か理由等があったりするんですか?
クボ:振り返ると確かに「初恋」ばかりつけてきたかも(笑)。それこそ20代の頃は、その言葉に凄くこだわっていましたから。でもそれをつけた際は確かに他とは違った意識を持って臨んでいる部分は正直あります。より本質的になれたり、逆に気が楽にできるというか。つけると他よりしっくりとくるんですよね。
──確かに「初恋」って言葉自体、キュンとなるポイントにしてメレンゲの音楽性ともどこかリンクします。
クボ:そうなんです。初恋のちょっとした甘酸っぱさとどこか影がある部分は、メレンゲの中ではずっと大切にしてきたところでもあったし。自分たちの音楽性にしても、どこかそれらが拭っても拭い切れなかったりしました。
──ちなみにその「初恋」のどの辺りに魅了されているんですか?
クボ:正直、初恋っていい想い出だけじゃないじゃないですか。あれから何十年経っても気恥ずかしさも含め想い出しちゃう。死ぬほど恥ずかしいことをしてたなぁ…なんて後悔することも含めて。「なんで俺、あん時あんなことをしたんやろう…」みたいな(笑)。想い出すと今でも汗をかいたり。
──何かその辺り具体的に想い出すエピソードがあったり?
クボ:デートをしていた際に、お昼を買いに行った時に、なんかとんでもないメニューを注文したことがあって。
──とんでもないメニュー…ですか?
クボ:自分がその時に食べたいものを買っただけなんですけどね、今思うと。僕、昔からフライドポテトが好きなんです。で、そのフライドポテトとライスだけを注文して(笑)。今思うと赤面もんですよ。なんでそんなことしたんだろう…って(笑)。もっとメニューも色々とあったんで普通にスパゲティみたいなものでも食べれば良かったろうに(笑)。
自分の中でも新たな何かが芽生えた
──(笑)。話は今回のライブに戻って。この10/10はメレンゲにとっても約1年ぶりのステージですね。
クボ:ずっとやりたいな…とは思っていたんですけどね。でも動き出す大義名分がなくて。ここのところ特にメレンゲとして何かをリリースしたわけでもなかったし。ソロでもけっこう精力的に活動してましたから。
──ですね。クボさん自体はここ数年中かつてないほど勢力的にソロライブ活動を行なってましたもんね。ちなみに今回の「大義名分」にあたるものとは?
クボ:新宿ロフトはもちろん長くお世話になってきた、いわばホームグラウンドとも言えるし、自分がかつて所属していたレーベルもありましたから、そんな周年記念ライブに出る意義もあったし…。いわゆるメレンゲってちょっと特殊じゃないですか。バンドなんだけどメンバーは2人だけだったり。なので動くにもどうしても自分たち以外のサポートメンバーが必要になってくる。そんな中、キーボードって実は僕らの中ではかなり重要だったりもして。それをサポートでお願いしていたんですが、これまで数多く弾いてもらっていた健太がムチャクチャ忙しくなって。スケジュールの確保がしづらくなったんです。そんな中、昔よく手伝ってもらっていた皆川さんと今年の春に久しぶりに2人でライブをやったんです。そうしたらそれが凄く面白くて。ああなるほどな…と自分の中で合点がいったんです。だったら皆川さんも交えて是非メレンゲとして一緒にライブをやりたいよな…って。
──皆川さんと一緒にやることで、何かメレンゲの新しい可能性みたいなものを引き出してもらえそうだと。
クボ:ですね。それはけして元に戻って、とは違った類いで。逆に自分の中でも新たな何かが芽生えた、みたいな。なので今度のライブはいい意味で作品とはまた違った感じで楽しんでもらえそうです。皆川さんとだったら今までやりたくてもやれなかったことが実現できる気もしていて。自分の中では、当時、実は作品の中でやりたかったけど、あえてやらなかったこと。それが実現できそうな気がするんです。
──なんか自由度が高そうなライブを想像させます。
クボ:自由度はかなり高いんじゃないかな。ちょうど昨日もバンドとしてのリハだったんですが、CDを再現するだけでなく。しかもやはりロフトで演るので。元々ロフトのレーベル出身じゃないですか僕ら。なので、その時代の曲をちょっと多めに盛り込んだり。
──「少女プラシーボ」とか?
クボ:ですね。Song Crux時代の楽曲も。リハをやっている時も久々だったし、今とは形態も違っていたりもしたので、改めて演ってて凄く楽しかったんです。あの頃やりたくても出来なかったものも今なら出来るようになっていたり。あと今回はメンバーもこれまでとはちょっと違っていて。ギターは松江潤さん、ドラムは今回オトナモードのドラムだったりするし。
──では、キチンと今のそれらの曲としてそれぞれが楽しめそうですね。
クボ:なんだかんだワンマンが一番楽しいですからね。もちろん他に逃げ場がないし、未だ緊張はしますが。でもやはり自分たちを待ってくれている人たちの前で歌えるのは凄く嬉しいし、冥利に尽きます。
未来も期待してもらえるライブになる
──メレンゲって凄く不思議だなと思っているところがあって。このマイペースな活動にも関わらずキチンとお客さんが待っていてくれるじゃないですか。ライブをやったり、クラウドファンディングをやってもきちんと都度実績を残せてる。この流れや移り変わりの激しいこの時代、これは凄いことです。
クボ:たまに自分でもそれは感じる時があります。対して、すみません…っていう気持ちも(苦笑)。もちろん活動している際は、「離れないで欲しい」との気持ちを込めてやってはいます。でもやはり凄くファンの方に恵まれているなとの実感はあって。なので自分はそのぶんマイペースでしょうが、いいライブをやって、いい楽曲を発表してってことをやり続けていかないとな…って。
──そうですよ。アルバムもかれこれ5年ぐらい出てないですから。そろそろ新作も聴きたいです。
クボ:曲もちょくちょく作ってはいますが、なかなか歌詞が納得のいくものが書けなくて。その辺りが上手くいけばですね。もうそれこそ、その辺りは誰か有能な作詞家さんにお願いしたいぐらいです(笑)。でも、今回、皆川さんと一緒にやったりバンドを再開することで、またあの頃の感触を取り戻せるかもって。その辺りの感触によっては、色々とメレンゲらしさみたいなものも蘇り、スラスラ書けるようになるのを期待しています。なので、まずはこの10月10日のライブ、今はこれに力を入れるだけですね。是非みなさんに今の、そしてこれからのメレンゲを観て欲しい。きっと過去もですが、未来も期待してもらえるライブになると自負しているので。