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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】吉村秀樹(bloodthirsty butchers)×増子直純(怒髪天)×NARASAKI(特撮)×杉本恭一×泉加奈子(元円谷プロダクション)×中込智子(ROCK THE ULTRAMAN)(2006年6月号)- ウルトラマンは世界に誇る日本の文化です!

ウルトラマンは世界に誇る日本の文化です!

2006.06.01

ありったけの正義感をぶつけたマイティジャック

──はい。では次、特撮は“マイティジャックの歌”。これはウルトラマン・シリーズではありませんが、円谷特撮の主題歌の中でも際立っていい曲なんですよ。私ももともと大好きな曲だったんで、特撮からこの曲で、という話が来た時は、まさに渡りに舟でした。

奈良崎:いや、それがさ、ウチのリーダー、大槻ケンヂという人なんですが、彼が最初にやりたいって言ってたのが、ウルトラマンAに出てくるヤプール人が歌ってる「あっなたはわったしを信じなさい」って歌で。

一同:あははははははは!

05_ap04.jpg奈良崎:でね、でね、その曲って演奏がないんですよ。ホームレスみたいな人がただ歌ってるだけなの。しかも歌詞も4行くらいしかないんだよ! 確かにインパクトはあるかもしれないけど、演奏つけれないし、ちょっとどうかと思いますよって言ったら、「そうかー。じゃあ、キャプテン・ウルトラにしよう!」って言い出して。

──ああああ、これ、非常に間違いやすいんですよね。キャプテン・ウルトラは円谷じゃなくて、実は東映の番組だという。

奈良崎:そう! そうだったんだよ~(笑)。

──ただ、キャプテン・ウルトラ、確かに猛烈にいい曲なんですよね。私も無茶苦茶好きなんだよなぁ。

奈良崎:カッコいいよね~。だからキャプテン・ウルトラで行こうってなった時は、ほんと盛り上がってアレンジまで考えてたのに、そもそも円谷じゃなかったと判って、ほんとカクっと来たよ(笑)。

──そういや、そのキャプテン・ウルトラと、特撮が最終的に選んだ“マイティジャックの歌”は同じ作曲者なわけですが。

奈良崎:え、キャプテン・ウルトラも冨田勲なの?

──そうっすよ。じゃあ知らないで偶然選んだんだ(笑)。あの当時の冨田勲は名曲多いですよね。リボンの騎士しかり。

恭一:……マニアックな会話やなぁ(笑)。でも“マイティジャックの歌”、実際すっごいカッコ良かった。

奈良崎:ありがとうございます! ただ、ウチの看板って大槻ケンヂじゃないですか。なのにメンバーみんなで大合唱してるから、どこに大槻ケンヂがいるかサッパリ判んないという仕上がりに。

一同:ははははははは!

奈良崎:それは、とにかく「(原曲の)まんまやりたい!」っていうのがあって、イントロだけ聴いても「あああっ、懐かしい!」っていう音にしようとした感じだったからなんですが。

──確かにべらぼうにまんま感があって楽しいですよね。泉さんは、この曲はいかがでしたか?

泉:私、円谷でやっていた最後の仕事が、まさにマイティジャックのDVD化だったんですよ。

──あ、そういや丁度リリースされたばっかりなんですよね、マイティジャック。

泉:はい。で、本当に今奈良崎さんが仰ってたように、曲の出だしからグッとくる感じで。杉本さんのレオから続く感じも凄く良くて、そして大合唱がきて、本当に好きで選ばれたのが判る感じが凄く良かった。

奈良崎:僕ら、普段持ってない正義感を振り絞って、ありったけの正義感をぶつけましたからね、あの大合唱に!

一同:はははははははははははははは!

──そういえば、私の中学の同級生に滝沢聖峰というマンガ家がいるんですが、彼に本作を渡したら、やはりここ、レオとマイティジャックの曲順の並びにもシビレたと言ってくれました。

恭一:お前、してやったりだな。お前が考えた曲順やけん(笑)。

──はいー(笑)。あと、聖峰は主に第二次大戦の日本軍ものマンガを描いていることもあってか、吉村さんの“MATチームの歌”が、どこか“ラバウル小唄”を彷佛とさせてとてもいいなぁ、とも言ってましたね。

増子:さ~ら~ば~ラバウルよ~、だね。

奈良崎:聴いていると、何か夕日が見えますよね。

増子:うんうん、哀愁が見えるよね。御国のために行ってきまーす! みたいな。

05_ap05.jpg吉村:実際この歌、歌自体が特攻隊の歌みたいなんだよね。行ったっきり帰ってこないの(笑)。そんで夢もなければオチもないんだけど、でもね、凄いインパクトなんだよね。

──ですね。それで凄くいい曲で……っていうかそもそもウルトラマン・シリーズの曲っていい曲ばっかりだと思いません?

吉村:うん。大人が大人向けに作ってるっていうかさ。

増子:そうだね。話自体も意外と子供向きじゃないし。だからその分記憶に残ってるんだと思うんだけど。特にセブン。

一同:うんうんうんうん!

恭一:まぁ俺は、セブンはやっぱりアンヌ隊員が好きだったよ。我々の世代のアイドルだった(笑)。平凡パンチでヌードになった時は凄く話題になったし。

奈良崎:今、調布でお店やってますよ。

吉村:お店? 飲み屋さん? そこ行けば「ダンっ!」って言ってくれんの?

増子:ダンが行けばダンって言ってくれるかもしんないけどさぁ(笑)。

──何の話をしているんですか、何の。

奈良崎:そういえば、セブンの主題歌がスイングしてるって知ってました? 俺、知ったの割と最近なんですよ。

──え、そうなんですか? って飽きるほど聴いてるけど、意識したことなかったなぁ。

奈良崎:うん。わりとまったりした曲だと思ってたから、よくよく聴いてたら驚いて。まっさかあの曲がジャズでランニングしてるとは思わなかったんだよなぁ。

増子:俺もレコード持ってたけどなぁ。

吉村:いや、だからウルトラの曲は全部レベル高いよ。

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