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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】吉村秀樹(bloodthirsty butchers)×増子直純(怒髪天)×NARASAKI(特撮)×杉本恭一×泉加奈子(元円谷プロダクション)×中込智子(ROCK THE ULTRAMAN)(2006年6月号)- ウルトラマンは世界に誇る日本の文化です!

ウルトラマンは世界に誇る日本の文化です!

2006.06.01

ウルトラマンの誕生40周年を記念し、ウルトラマン・シリーズを中心とした円谷プロ・空想科学特撮番組の主題歌&挿入歌をカヴァーする、異色のロック・オムニバスが完成した。その名も『ROCK THE ULTRAMAN』......はい、そのまんまです、ヒネリも何にもなくてすみません。いや、これでも頭を振り絞っていろいろ考えたんですが、結局判りやすいのが一番という結論に達してこれにしたんですが、私は文章の冒頭から何を謝っているんでしょうか? 申し遅れましたが、実は筆者は本作のプロデューサーをやっております中込智子、本業は音楽ライター、遅筆で有名。すみませんすみません。あああ、話が進まねぇぇぇ! とにかく、本作でまず注目して頂きたいのが収録アーティストのラインナップ。順にLOW IQ 01、bloodthirsty butchers、RUDE BONES、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND、BAZRA、杉本恭一、特撮、FOE、Cubismo Grafico、MOGA THE \5、怒髪天、吉村秀樹 from bloodthirsty butchers、MAD3。どうすか、凄いでしょう? 自分で集めておいてなんですが、よくぞこんなに豪華なメンツが揃ったものだと思いますし、また、こうしたアイテムであったからこそ実現したと言っていい、異様な組み合わせになっているのも面白いと思うのです。でもですね、本当に凄いというか凄まじいのは、これら全バンドのカヴァーのクオリティのべらぼうなまでの高さなのです! 損はさせません。買ってください。どうぞよろしくお願いいたします! てなわけで、ロフト/ルーフトップの粋な計らいにより、全13組を代表し、bloodthirsty butchers/吉村秀樹、怒髪天/増子直純、特撮/NARASAKI、杉本恭一、そして本作の発起人である元円谷プロの泉女史を招いて、ここに『ROCK THE ULTRAMAN』対談を敢行! 初対面同士も何組かあったのですが、何故か旧友同士のような盛り上がり。これがウルトラマジックなのか? 頼んでばっかりですが、どうぞ読んでね。(interview:中込智子)

まんまウルトラマンでまんまブッチャーズ

──本日はお忙しい中、ここ渋谷カラオケパセラにお集り頂き、誠にありがとうございます! ということで、早速『ROCK THE ULTRAMAN』について語らいたいかと思うのですが、その前に。皆さんに紹介したい人物がおります。本作の真の発起人、元円谷プロの泉女史です!

吉村増子奈良崎恭一:おおーっ!

泉:よ、よろしくお願いします。

──まさにケモノの群れに放たれた可憐な小羊状態ですが、それはともかく。忘れもしない去年の4月、この泉女史から中込に「ウルトラマンのロック・オムニバスを作りたいんですが、協力して頂けませんか?」と電話が掛かってきたのが全ての発端。というわけで、そもそも何故にウルトラマンのロック・オムニバスを作ろうなどと企画発案するに至ったのか、そこから話していただけますか?

泉:はい。まず、ウルトラマンが今年で丁度40周年だったんですね。

増子:俺、ウルトラマンと同い年、同い年!

05_ap01.jpg泉:(笑)それで、40周年企画を何か考えろ、というのが当時会社的にありまして。私はロックが好きだったので、ウルトラマンとロックを結び付けるような企画をやりたいなと思ったんです。それで、ロッキングオン・ジャパンの編集部にいきなり電話して、「こんなことを考えてるんですが、どなたか協力してくれそうな人はいないでしょうか?」と相談したら、「本誌と関わりが深いライターで、非常に特撮が好きな人間がいますよ」と、中込さんを紹介されまして。

恭一:良かったね、お前ね(笑)。

──いや、マジ嬉しかったっすよ~。それで連絡を貰って速攻、当時祖師谷にあった円谷プロにお邪魔して、怪獣倉庫に連れていってもらって発狂してましたね。

増子:俺が見たいんだよ! 俺を連れてけよ!!

──はっはっは。で、泉さんとはそれから打ち合わせと称した朝までウルトラ・カラオケ大会を何度となく繰り返して大変楽しかったわけです。が、いろいろあって泉さんは昨年末に円谷プロを退社され、本作に最後まで関わることは残念ながらできなかったのですが、しかし泉さんは作品の完成を心待ちにしていて下さいました。

泉:ええ、どんな作品が上がってくるのか、本当に楽しみにしていたんですよ。発売日にHMVに行って、試聴機の前に30分ぐらい陣取って(笑)。もちろん買いました。そしたらウチに見本盤が届いていたという(笑)。

──では、出来上がった作品をお聴きになった今、どんな感想があります? 順番に行きますか。まず“ウルトラマンの歌”と“MATチームの歌”の2曲を担当したのがブラッドサースティー・ブッチャーズの吉村さんなわけですが。

吉村:(泉さんに向かって)あ、それ僕なんですよ、僕なんです!

増子:何か合コンみたくなってきたぞ。

一同:はははははは!

泉:(笑)“ウルトラマンの歌”はウルトラマン・シリーズの中でも最も有名で人気度も高い番組の主題歌ですし、だからこそきっとやりづらいんじゃないかなと思ってたんですね。でも、実際聴いてみたら、非常に原曲を生かして、違和感なく、それでいてロックとして鳴らしていて。

──ええ。この曲が凄いのは、まんまウルトラマンなんですが、同時にまんまブッチャーズでもあるということで。

増子:うんうん。しかも俺に言わせると、8年ぐらい前のブッチャーズなんだよね。アレは俺、スッゲー嬉しかった。シミ(怒髪天のベース)も喜んじゃって大変だったよ。しかもさ、この曲のようちゃんの声、子供みたいなんだよね(笑)。つうか子供の頃歌ってたそのまんまでやったろ、ようちゃん!

吉村:えへへえへへへ。

奈良崎:俺はね、この曲のアウトロが好き。特に好き。凄いカッコいい!

──はい。そしてですね、ここにいらっしゃる4名の内の3人というか3組まで、実は私の方で楽曲を選んで、ゴリ押しでやってもらったんですよ(笑)。で、泉さんが仰った通り、ウルトラマンのアレンジは非常に難しかったと吉村さんは言っていて。

吉村:そうですよ! まぁ最初ねえちゃんから「ウルトラマンでやってよ」って頼まれた時は「うん、判った」って言ったけど、いざやろうとしたら、ホント大変でさぁ。歌を残すかリズムを残すかで考えたけど、でも歌はやっぱり崩せないじゃない?

増子:うん、歌崩したら何だかよく判らなくなるし、変にいやらしくなるしね。トリビュートに限らずさ、ほら、昔のヒット曲がある歌手がさ、セルフカヴァーだっつって変にアレンジして再録して出すことがあるじゃん。俺、マッチのレコード買ってガッカリしたことあるもん。「これはマッチじゃねぇ!」つって。いや、本人なんだけどさ(笑)。

恭一:はっはっはっは!

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