『狂い咲きサンダーロード』（1980年）、『爆裂都市 BURST CITY』（1982年）、『半分人間 アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン』（1985年）、『水の中の八月』（1995年）、『ユメノ銀河』（1997年）など、映画史に残る数々の刺激的作品を公開してきた石井聰亙が石井岳龍と改名してから今年で10周年を迎えた。
『生きてるものはいないのか』（2012年）、『シャニダールの花』（2013年）、『ソレダケ / that's it』（2015年）、『蜜のあわれ』（2016年）、『パンク侍、斬られて候』（2018年）と、改名後も話題作を矢継ぎ早に発表してきた石井岳龍時代の作品を代表して、bloodthirsty butchers（以下、ブッチャーズ）とのタッグで映画ファンのみならず音楽ファンも虜にした劇映画『ソレダケ / that's it』が来たる12月4日（金）から12月10日（木）までの1週間、京都みなみ会館で期間限定公開される（詳細はこちら）。
『ソレダケ / that's it』は石井岳龍にとって『ELECTRIC DRAGON 80000V』（2001年）以来14年ぶりのロック映画で、当初はブッチャーズののリーダー、故・吉村秀樹からの熱烈なラブコールのもと企画が立ち上がった。
もともと新作リリースにあたり、石井監督による映画とのコラボレーションを試行していたブッチャーズ。それは発表前の楽曲のライブ映像を軸に、別のドラマがシンクロしていくというオリジナルストーリーだった。しかし2013年5月27日に吉村が急逝、ライブ撮影が不可能となったため映画の制作がストップ。その後、現時点でのブッチャーズの最新作『youth（青春）』が同年11月14日に単独リリースされ、封入された石井監督のライナーノーツでその計画にまつわる事実が記された。
だがその後、吉村の存在とブッチャーズの音楽から着想を得た石井監督はその遺志を受け継ぎ、まったく新たな一つの物語に取り組んだ。それは全篇にブッチャーズの音を使用した、ブッチャーズの激しさ＝攻撃的な無常感から導き出される、人間の意地を描いた物語だった。
戸籍を奪われ、アンダーグランドでもがく大黒。この底辺から抜け出す最後の手段として、裏社会の調達屋、恵比寿の財布を奪うが、予期せずハードディスクを発見する。その中には家出人、ホームレス、風俗嬢たち、地下な人々のビジネス売買用戸籍情報が詰まっていた──。
主演を『寄生獣』シリーズなどの染谷将太が務め、ヒロインを『悪の教典』などの水野絵梨奈が演じる。渋川清彦、村上淳、綾野剛といった個性派俳優たちが共演を果たしている。
なお、11月27日（金）からは同じく京都みなみ会館にて『狂い咲きサンダーロード』が公開40周年を記念して上映されることも決定（詳細はこちら）。石井岳龍の創作の原点が凝縮した傑作なので、『ソレダケ / that's it』と合わせてぜひご鑑賞いただきたい。
Live Info.
石井岳龍 改名10周年記念『ソレダケ / that's it』特別上映
【期間】2020年12月4日（金）〜12月10日（木）
12月4日（金）〜12月6日（日）15:30〜17:20
12月7日（月）〜12月8日（火）12:00〜13:50
12月9日（水）〜12月10日（木）17:30〜19:20
【会場】京都みなみ会館（京都市南区西九条川原城町110 tel. 075-661-3993）
＊『ソレダケ / that's it』特設サイトはこちら
＊無症状感染の可能性も鑑み、館内では必ずマスクの着用をお願いいたします。
＊オンラインチケットの販売は、各回3日前の0:00から上映の30分前まで。
＊上映スケジュール調整中の場合、上記に当てはまらない場合がございます。
